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不動産の「価値」を評価する

こんにちは。

士業による士業のための共創型・士業勉強会
「Knowledge Cross」の佐藤律子です。

私たち、Knowledge Cross(通称:ナレクロ)では、

士業が実務を進めていく中で出てくるさまざまな本音や悩みを相談したり、

情報提供しあう場を提供しています。

そんなナレクロの2024年10月の勉強会。

「不動産価値評価」というテーマで、

不動産鑑定士で、アンビ株式会社代表の雨宮 竜介(あめみや りゅうすけ)さんにお話いただきました。

ただ、この「不動産鑑定士」という資格

普段、法人さん向けにサービス展開をしている士業にとっては、

少し馴染みも薄く。。。

ということで、

まずは、

東京都不動産鑑定士協会で広報委員活動をされている雨宮さんに、

「不動産鑑定士」のお仕事や資格についてお話をうかがってみました。

■「不動産鑑定士」という資格

「不動産の値段を決める人」とうイメージのあった不動産鑑定士。

開業してすぐの頃、

武蔵溝ノ口駅の七士業合同無料相談会でご一緒した記憶はあるものの、

それ以降はなかなかお会いすることが少ない資格です。

それもそのはず。

不動産鑑定士の方の登録人数は、

士業の中でもとりわけ少なく、1万人を割っています。

そんな不動産鑑定士の試験は、

「短答式」と「論文」で構成されているようです。

論文の試験日数は、なんと・・・

3日間。

民法をはじめとした「不動産に関する法律」ばかりでなく、

鑑定をするうえで必要な「会計学や経済学」も、

試験科目となっているのも特徴的です。

「不動産の価値を適正に決める」には、

いろんな知識や経験が必要なんですね。

そんな試験を経ている不動産鑑定士。

そのお仕事は、

「不動産の値段を決める」ことだけにとどまりません。

実は、もっと幅広いようです。

■不動産鑑定士の仕事は、思った以上に幅広い

毎年、銀座の地価が高いことが注目される「地価公示」。

適正な価格での土地売買を促すことなどを目的に、

国が行っているこの調査も、

不動産鑑定士の方のお仕事の一つです。

銀座ばかりが注目を浴びがちなこの調査ですが、

実は、各都道府県の各地域で、

不動産鑑定士の方が、

「そのエリアでの適正な土地の価格」を算定しているのですね。

そして、

その鑑定に必要なバックボーンの知識を元に、

・店舗などの貸物件の賃料の評価

・ゼネコンを対象にした再開発のコンサル

・企業が事業展開するときの土地の調査

なども行われているのも、不動産鑑定士さんならではです。

大手事務所での実務経験が豊富な雨宮さんも、また、その経験を活かしたお仕事をされています。

ちなみに、

今年発生した能登半島地震では、

不動産鑑定士協会から派遣される形で、

不動産鑑定士の方が何人も被災地支援に行かれたそうです。

本当に、「土地」とは切っても切り離せないお仕事なんですね。

■不動産の価格はどう決まる?

では、肝心の「不動産の価格」。

どう決まるのでしょうか?

なんとなく、

情で決まると思っていた不動産の価格ですが、

いろんな事情を踏まえたうえで、理論的に決まっているようです。

例えば、サッカー選手が海外に移籍するとき。

その選手の体の強さやテクニック、

その国の物価などで、年俸が決まってきますね。

不動産の値段の場合も、いろいろな要素で決まってきます。

例えば、

・その建物を作るのにどのくらいのお金がかかったか。

・似たような物件や土地が、他ではいくらで取引されているか。

・その不動産で、将来見込める収益はどのくらいか。

など。

そうしたことを総合的に勘案して、不動産の価格を決めるそうです。

銀座の地価が高く評価されるのは、

・銀座が持つブランド力

・高い家賃を払えるハイブランドが集まる場所という特性

ということも背景にあるようです。

不動産鑑定士試験に経済学が入っているのもなっとくですね。

雨宮さんのお話によると、

「そのエリアで最も輝く土地の活用方法を考えながら、
 不動産の価値を鑑定する」

とのこと。

そのエリアの経済が見え隠れする「不動産の価格」。

ブラタモリ的に、

町の経済性を考えながら町ブラすると楽しそうです。

■「不動産の価値を評価する」場面とは

不動産の値段は、不動産屋さんに行けば分かりますね。

そんな中で、

「不動産鑑定士の方に、不動産の価値を鑑定してもらう」必要がある場合。

それは、

・相続の遺産分割をするとき

・企業が不動産を購入したり売却するとき

・家賃の交渉をしたいとき

といった時のように、

税務署や会社の役員、大家さんなどの第三者に、

土地や建物の「価値」を客観的に伝えるときです。

人を説得したいときには、

いろんなエビデンスをもとに、

価値を証明してくれる不動産鑑定士の方は欠かせないですね。

会社がM&Aをするときにも欠かせなさそうです。

ちなみに、、、

不動産鑑定士さんは、士業には珍しく、

「株式会社」での ”事務所登録” ができるそうです。

一見してそう見えなくても、

実は、不動産鑑定士ということがありそうですね。

■今後のテーマ

しばらく「企業の出口戦略」を見てきたナレクロ。

12月からは、

フリーランス新法やDXなど、

士業の事務所運営に必要ないろんな情報を、さらにお伝えしていきます。

士業の幅を広げていくナレクロを、お楽しみに。

※会員の方は、過去の動画と資料をすべてご覧になることができますので、会員のみなさんは、そちらもご覧くださいね。


<今回の講師のご紹介>

・雨宮 竜介さん(不動産鑑定士/中小企業診断士)
旅をすることが好きな不動産鑑定士さん。
フットワーク軽く、クライアントさんにとって最善の策を見出すことを大事にしておられる気さくな方です。


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佐藤律子@Knowledge Cross
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