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事業再生支援の現場とは|事業が傾き始めた企業の支え方

こんにちは。

士業による士業のための共創型・士業勉強会
「Knowledge Cross」の佐藤律子です。

私たち、Knowledge Cross(通称:ナレクロ)では、

士業が実務を進めていく中で出てくるさまざまな本音や悩みを相談したり、

情報提供しあう場を提供しています。

そんなナレクロの2024年11月の勉強会。

「事業再生支援の現場」というテーマで、

中小企業診断士で、株式会社3Rマネジメント 代表取締役の渡邊 賢司(わたなべ けんじ)さんにお話いただきました。

いろいろな背景があって「事業が傾き始めたとき」

いったん、キャッシュフローが悪化すると、
企業が傾くのは本当に早いですね。

それを、ただただ眺めるだけというのは、ほんとうに歯がゆい。

そこで、今回は、

事業再生支援の実務経験が豊富な渡邊さんに、

「経営状況が悪化している企業の支え方」についてお話をうかがってみました。

■コロナ明けで変わった「資金繰り」

企業の事業活動は、特に、世の中の流れの影響を受けますね。

「事業再生」するには、
そうした世の中の流れをうまくキャッチアップする必要がありそうです。

リーマンショックが起こったのは、2008年。

とても大きな金融危機を受けて、
その翌年の2009年に、金融円滑化法という法律ができました。

中小企業の資金繰りを支え、

企業の倒産を防ぐことを目的に、

「融資返済中の中小企業から助けを求められたら、
 金融機関は融資の返済について柔軟に対応すること」

などを定めたこの法律ができて以降、

中小企業は、融資の返済をリスケしやすくなりました。

資金繰りが苦しいときに、毎月の返済をストップできるのは嬉しいですね。

ただ、一方で、、、

一時的に返済をストップできても、
本質的な「事業の収益化」の改善ができずに苦しむ企業は多くありました。

そんな中に到来したコロナ禍。

コロナ禍が明けると、

そうした「事業の収益化」が整えられていなかった企業は、
より窮地に
陥ることとなります。

■企業が潰れないために

企業が潰れないための一番大事はポイントは、

資金繰りよく、お金を回していくこと。

事業をしていく上では、

・入ってくるお金(収益)
・出ていくお金(支出)

がありますが、

事業再生の段階では、その双方をしっかり見据える必要があります。

コロナ禍には、コロナ融資や補助金など、
いろんな「入ってくるお金」がありましたが、

アフターコロナでは、それらはなくなります。

そればかりか、

「コロナ融資」や「延滞していた社会保険料」の返済が、
重くのしかかってきますね。

最近は、そこに「物価高」も加わるようになってきました。

体力のない企業は、
収益と支出のバランスが、今まで以上に大事になってきそうですね。

■キャッシュ改善の優先順位

では、企業のキャッシュが悪くなったとき

どんなところから手をつけて行くのがいいのでしょうか?

・社会保険料の延納

・給与の減額

・取引先への支払いをやめる

などなど、いろんな方法が浮かびますね。

ただ、これらはいずれも、将来へのツケが大きそうです。

例えば、社会保険料の延納は、
一時的にはいいですが、その額は雪だるま式に大きくなっていきます。

延納している期間が延びれば延びるほど、
将来の返済が苦しくなってきますね。

社労士の私も、

コロナ禍に、社会保険料の延納の相談をいくつも受けましたが、
そこに、計画性の難しさを感じたことが何度かあります。

将来へのツケや、金融円滑法のことを考えると、

初めは、「金融機関の借り入れ返済のリスケ」を考えた方がよさそうです。

■「事業を立て直す」ために一番大事なこと

事業のお金の計算は、
結局のところ、「足し算」と「引き算」。

事業再生では、「事業の収益化」が欠かせません。

ただ、体力が弱っている企業にとっては、
この「収益化」は、とても高い壁の一つです。

収益を得るためには、

・取引先に値段交渉をしたり、
・何かを整理したり

することが必要になってきますね。

そうすると、従来の形を変えることになるので、

「値段を上げると、お客さんからつきあいを切られるのではないか」

という恐怖心とも戦うことになります。

渡邊 賢司さんのお話によると、

事業再生の現場では、
「その事業主の行動を促すこと」が一番大事とのこと。

「だいじょうぶ。
 まずは恐怖心を押さえて、一度やってみよう」と、

思える環境を作ることが必要になってきますね。

■事業主を後押しする

「会社が危ない」と分かっていても、

自分自身の役員報酬が下げられなかったり、

「この業界はこうだから」という思い込みから逃れられなかったり。

例えば、

営業職の発言権が強い企業では、

・一度断られた相手にはニーズがないという思い込みを持つ。

・楽な相手にばかり営業する。

・営業成績が個人に依存する。

といった「あるある」があるそうです。

そうした企業は、

「営業担当者の意識と仕組みを変える」とうまく行くことも。

ただ、そうした仕組みも、
実行されなければ、意味がありません。

事業主や企業のたがを外し、行動を後押しすることが、
事業再生の一番の肝だということですね。

■今後のテーマ

しばらく「企業の出口戦略」を見てきたナレクロ。

12月からは、

フリーランス新法やDXなど、

士業の事務所運営に必要ないろんな情報を、さらにお伝えしていきます。

士業の幅を広げていくナレクロを、お楽しみに。

※会員の方は、過去の動画と資料をすべてご覧になることができますので、会員のみなさんは、そちらもご覧くださいね。


<今回の講師のご紹介>

・渡邊 賢司さん(中小企業診断士)
起業体験ボードゲーム「ナンバーワン・ベーカリー」やM&A体験ボードゲーム「M&A戦国時代」なども開発。
趣味は「お笑い」で、落語に挑戦したり、M-1グランプリにも出場経験が。
まじめな仕事の中に、ちょっとした遊び心を大事にする中小企業診断士さんです。

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佐藤律子@Knowledge Cross
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