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図書館の窓際で平日にラノベを読むスーツ姿の中年男性と出会う
図書館にはいろんな人がいる
そんなこと思っても見なかったけれど、時間があるといろんなことに気づくものですね
本をやたら買っていた年収1,000万円時代
仕事を始めた頃から、私の仕事の都合でよく書籍を買っていました。
新卒の時の年収は約500万円そこらだったと思うのですが、当時の会社には毎月書籍補助がついていて数万円も本が買えたのです。
もちろん、仕事に関係のある書籍でないといけませんが、そこは理由次第。
漫画など買う気はそもそもなかったので、私は専門書ばかり買ってはせっせと読み、知識を蓄えて行ったのでした。
会社を移ってもその習慣は変わりませんでした。
私は会社の経費を使うのが上手くなく、なんというか調整するのがめんどくさいから実費で書籍を買っていました。
福利厚生で提供されるなら権利化されている気分になるけれど、使えるけど相談してね、は面倒だからやりたくないのです。
それでも仕事で勉強が必要なことは変わりありません。
そんなこんなで私はしばしば数万円の書籍購入をしては、読み終わってメルカリや本の一括買取サービスに出していたのでした。
仕事がなくなってからよく図書館に行くようになった
仕事を離れてから、私は勉強と調べ物のためによく図書館に行きます。
だいたい午前中から行くのですが、たまに昼過ぎから行くこともあります。
なんというかこの生活は大学生の頃を思い出すようで、私にはとてもしっくりきていて思い出深い生活習慣なのです。
歩いて図書館に向かう道中に、Audible で小説を聴きながら物思いにふけつつ、図書館に着いたらいくつか執筆やちょっとした仕事を進めます。
その後、最近勉強している資格の勉強をするか、その時必要になる調べ物をするかのどちらか。
たまに、思いついた仮説を確かめるべくいくつか書籍を乱読して、自分の中で考えをまとめてnoteに書いたりすることもあります
大学生の時は、図書館が第2の家なのではないかというくらいに入り浸っていましたが、こういう生活もなかなかいいものですね。
平日の昼間からラノベを読んで居眠りをする中年男性と出会う
ふとある日、私はいつもの通り図書館に向かいました。
平日のよく晴れた日で、前日が大雨だったのもあってとても綺麗な青空の日でした。
図書館の近くにある公園では親子が楽しそうにしていたり、おじいちゃんがベンチで昼寝をしています。
図書館ではいつも窓際の、外が見える席に座ります。
左右には誰か別の人が座ることが多いのですが、その多くはおじいちゃんか、主婦か、学生。
平日の昼間だから自然なのかもしれませんが、正直私は異分子です。
でもこの日は違いました。
右隣に座っていたのはスーツ姿の男性。歳は私よりも少し上なように見えるけれど、もしかしたら30代半ばの可能性もあるかもしれない。
少しふくよかな体型をしていて、どう見たって仕事中にしか見えない不思議な状況でした。
タブレットとスマホを充電しながら、明らかにのんびりしています。
「何を読んでいるんだろう」とふとみると『転生したらスライムだった件』のライトノベルを読んでいます。
何巻を読んでいたかまではわかりませんでしたが、「おいおいおい」と私は思ったのでした。
私はアニメは好きですが、オタクではありません。
それでも、今期にこのアニメがやっていることも知っています。
「でも、こんなお昼時の平日にスーツ着て、ライトノベルってそんなことあるんか」
と、私は思ったのでした。
我に帰って勉強している私の傍で、彼は寝ていた
「暇でも潰しているんだろうか」
と私は思ったのです。気になって仕方ありません。
私と彼がいるのは図書館の窓際。
まるで異なる種族の窓際族が出会ったみたいに、似たもの同士なのに、なかなか距離が掴めない、不思議な気持ちになりました。
「いかん、私はやることをやらないと」
私は窓際族でも真面目系な種族でありたい、と我に帰ります。(彼も真面目かもしれませんが)
図書館の座席に荷物を置くと、今日は調べ物のため館内を周り6冊ほど本を調達して席に戻ります。
私はこの6冊のうち、ざーっと目次を読んで意味ありそうなものを中心に3, 4冊ほど読み、一人でぼんやり考えて、ノートにまとめる、そんなことを私はたまにしています。
この日は、ファシリテーションや研修について調べていました。
私がペース良く調べていると、次第に彼は船をこぐようになりました。
ライトノベルを片手に、行ったり来たり頭は忙しない。
まだ時刻は、お昼過ぎ。
ご飯を食べてきたのかわかりませんが、お昼明けに眠くなる時間なのかもしれません。
私たちが座っている机の右上にはこんな張り紙があります。
『私語厳禁、食事厳禁、居眠り厳禁』
「おいおい、守っとらんやんけ」
と私は心の中でツッコみをいれます。もしスーツ姿の彼が、仕事の間に
「外回り行ってきます。終わったら直帰します」
と行って営業所から出てきているのだとしたら、なんという時間の使い方をしてるのだろうと。ある意味、贅沢ですが・・・
彼は突然ハッと目覚めて、突然消えた
正直、この図書館の冷房は少し寒い気が私にはしています。
それは私がスポーツウェア中心で、半袖でそこにいるからもあるのですが、どうもお腹が冷えそうで怖い場所なのです。
でも、スーツでくればきっと涼しいと感じるでしょう。
お金もかからないし、面白い(であろう)小説も読むことができるし、昼寝さえできる。しかも無料で。
私のイメージでは、車の中とかで仕事をサボるイメージがあったのですが、いろんな仕事のサボり方があるのですね。(彼が仕事をサボってることに勝手にしてますがご容赦ください)
しばらく船を漕いだ後、「ハッと」突然彼は目を覚まします。
多分…時々夢の中でハッとする出来事で目を覚ますあれでしょう。気持ちはわかる。
周りをキョロキョロして、彼は荷物をまとめて席を立ちました。
「あれは、なんだったんだろう」
と私は思います
出会ったからと言って別に幸運になるわけでもないのに、なぜか覚えてしまうチンクルのような彼は、突然どこかに行ってしました
また出会う時があるかはわかりません。
が、次にあったら間違いなく私は「チンクルがいる!」と心の中で叫んでしまうでしょう。
世の中にはいろんな人がいるもんだなぁと思ったのでした。
追伸)
チンクルの隣で、私が6冊もの本をどかっと置いた時、彼は訝しげに私を見て、
「お前ほんまにこんな量の本読めるんか?」
と見つめられました。「なめんな」と内心思っていました。