脊髄損傷者の「拘縮」と「姿勢不良」予防の最終回
全4回YouTubeにてお伝えしてきました、脊髄損傷者の「拘縮」と「姿勢不良」の予防について、最終回は、『スタンディングフレーム』のご紹介をさせていただきます。
スタンディングフレームの特徴
立位をとることができない方が、自身の身体の状態に合わせて補助パーツを選べるので、いろんな状態の人が使える!!ことです。
1,膝の固定
2,座面と臀部の固定
3,腹部の固定
4,胸部・体幹部の固定
5,足の前後運動
1,膝の固定
膝を自力で伸ばせない方が使用します。
パッドが柔らかく、膝全体を覆うので、圧を膝全体に分散しつつ、膝の伸展を維持します。
ベルトで留めるので、うっかり膝がぶれて抜けてしまう心配もありません。
2,座面と臀部の固定
座った状態から、座面が動き立位の姿勢までもっていってくれます。力を使わなくてもバーを動かして徐々に上げられるので、姿勢を確認しながら立位姿勢になることができます。
座面も柔らかく、全体的に圧が分散されます。
3,腹部の固定
起立性低血圧(LBP)が起きやすい上部損傷の方も、腹部の固定によって腹圧を高められ、おきにくい状態で、立位姿勢が取れます。
また反り腰になってしまいがちな方も使用することによりより正しい姿勢を保つサポートになります。
4,胸部・体幹部の固定
胸部をサイドから固定することもできます。側弯や身体のねじれ、傾きをサポートしよりよい姿勢を保つことでできます。
5,足の前後運動
両手のバーを前後に動かすことにより、連動し、足も交互に前後に動かすことができます。自力で脚を動かすことが難しい方も、歩行動作を行ったり、股関節のストレッチをさらに促すことができます。
スタンディングフレームの効果
●拘縮の予防
●姿勢不良の予防
●内臓、排便・排尿機能の向上
が期待できます。
●日常的に車いすを使用している方にとって、立位姿勢をとることにより、拘縮しやすい、股関節・膝関節を伸ばすことができます。
さらに、
●正しい姿勢を取りやすいようについたサポート機能によって、体のねじれや側弯などを正した状態で立てるので、姿勢改善にも繋がります。
●見た目ではわからない効果ですが、立位姿勢をすることによって、内臓の位置が整い、身体の循環が整い、排便・排尿の機能の向上にも繋がるといわれています。スタンディングフレームで立った後は、いつもトイレに行ってすっきりします!という声も聞きます。
両手のバーを動かすことによって、足も前後に動かすことができ、歩行動作、CPGの刺激にも繋がると考えられています。歩行、CPGについては、以下の投稿またはYouTubeの動画をご覧ください。
スタンディングフレームの使用手順
➀自力で移乗、またはリフト
➁膝の固定
③立ち上がる
④腹部の固定(腹圧アップ)立位姿勢の保持
(⑤グローブの使用)
⑥動かす
➀自力で移乗、またはリフターや補助してもらいリフト
座面を一番下まで下げた状態で、移乗します。
➁膝の固定
ここで大切なのが、足の位置です!立った時、地面から垂直になるよう鏡をみたり誰かにチェックしてもらいましょう。
※場合によっては、膝・股関節への悪影響や怪我の原因になってしまいます。
③立ち上がる
おしりのぶれに注意。鏡をみたり、誰かにチェックしてもらいながら行いましょう。
④腹部の固定(腹圧アップ)立位姿勢の保持
正しい姿勢をサポートし、起立性低血圧の予防にも繋がります。正しい姿勢を自力で維持することも大切です。自力でできる方は、腹部の固定を使わず、自分の筋力で正しい姿勢を維持してみましょう。
(⑤グローブの使用)
手の麻痺があり、握ることが難しい方は、グローブなどを使用し、手をバーに固定します。安心して立てるだけでなく、上半身を保持するための上肢のトレーニングにも繋がります。
⑥動かす
立位姿勢がうまくできたら、歩行パターン、手足の協調運動も行ってみましょう。車いすに座っている状態では、身体をひねる動きや左右交互に動かす機会が少なくなります。
さらに股関節の可動域を広げストレッチ効果も増します。
起立性低血圧が起きやすい方にも非常におすすめです。下肢を動かすことにより、血液の循環がよくなり、起立性低血圧が軽減できる効果もあります!
今回ご紹介したのは、「イージースタンド」というスタンディングマシンです。
J-Workoutでも取り扱いしておりますので、お気軽にお問い合わせください。