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久しぶりに更新します。マラケシュでの取材を終え、カサブランカの駅で編集者と合流し、約2週間ほどモロッコ南部とチュニジア南部のサハラ砂漠を旅していました。コーディネーター兼通訳として同行してくれたのは東京とパリを拠点に活動する映像作家・ジャーナリストのデコート豊崎アリサさん。アルジェリアの遊牧民族トゥアレグに密着し、サハラ砂漠を4ヶ月かけて横断する塩キャラバンを追ったドキュメンタリー映画『Caravan to the Future』を制作し2017年に東京のUPLINKで公開させています。
サハラの美しさと恐ろしさの両端を熟知するアリサさんに導かれ、山を超え、谷を渡り、遥か南に広がるサハラ砂漠を目指す旅。その長い道程で見つめたのは、人間を圧倒するような自然の姿であり、そこに住む人々の言葉と、その地に深く根付く知恵と暮らしでした。水を汲み、動物たちを育て、殺し、食べ、排泄し、降り注ぐような星の下で眠る。人智の及ばぬものへの信仰、敬意と恐れ。僕らもまた地球に生きる一個の動物であること。そんな超然とした感覚の湧きたちを腹の奥に呼び起こしてくれたのが、日の暮れた砂丘のてっぺんに横になり、名曲(僕は知らなかった)「砂漠の月」を歌うアリサさんの存在でした。
世界は途方もなく広く、無限に思えるほどの多様性に溢れている。甘く渋い茶を淹れる男の流れるような所作に、ラクダを撫でるささくれ立った女性の手に、そんな感覚をリアルに感じる。そんな日常の一節を、あるいは光の瞬きのような一瞬を、自分の身体の動く限りできるだけ近くでこの目に焼き付けたいと思います。この取材については雑誌が発刊された時にまたお知らせいたします。ではまた!