AIは妥協の産物

生成AIを含むAIがブームですが、誇大広告が多く、AI凄いと言いつつ、別になくてもいいと言う状態が続いています。でも、いずれAIは人間を超えると盛んに宣伝する人たちがいます。この文章ではその理由を探っています。

AIで何が変わったのか?

ニューラルネットワークを使用した機械学習がハードウェアの進歩とともに非常に進化し、その集大成ともいえる生成AIが登場しました。これらのAIは人間の世の中に凄い進歩をもたらし、経済を発展させると言われていますが、本当にそうでしょうか?
AIでタンパク質の構造を見極める、将棋や囲碁で人間に勝つ、確かにこれらは人間の限界を突破しているように見えます。しかしこれらは正解を見つけたわけではありません。単に合格点を見つけただけです。その合格点を短時間で見つけ出しているのは素晴らしいですが、本来見つけ出せるはずだった正解を見落とす可能性もあります。大量の学習データによる機械学習は、たどり着くはずの正解ではなく、手っ取り早く見つけられる最大の妥協点を見つけることを得意としています。
例えば、ミーティングの概要が作成できるというのは、そもそも概要を作成しないといけないような必要ないミーティングをやらなければいい、ミーティングの最後に成果をまとめればいいだけで、概要を自動で生成するのは正解ではなく妥協点です。(生成文書が正しいかどうか不明ですし、結局その内容に対する合意を参加者から得なければいけません)
これと同様のことは今生成AIが活用できると言われているすべての事柄で発生しています。

突き詰めることは悪いこと

この最大の妥協点を非常によいコストパフォーマンスで見つけられるAIが浸透すると、コストパフォーマンスが悪く費用対効果が見込めない、突き詰めて正解を導き出す行為が難しくなります。
そして今の世の中は、タイパ、コスパ、持続可能性など妥協を進める言葉が使われているため、突き詰めることは悪となります。はやった言葉で言うと「2番じゃだめなんですか」になります。もちろん1番であることの意義を説明できない側にも問題がありますが、直接利益やリターンのないこともたくさんあります。これらを潰すのに最適なのは「AIを使った…」です。事実、これでいいじゃないと言う成果は得られますし、それ以上を突き詰める意味を見いだせる人もいないでしょう。

シンギュラリティとは

8割(合格点)にたどり着くのが早くなったのは事実ですが、それを正解としてしまうと、次のアクションのゴールは8割の8割…という形になっていきます。そうなると、人間がたどり着くゴールはどんどん低くなっていきますが、ある程度落ちたところで下がらなくなります。しかしこの時点で、人間がやれることはほぼなく、その限界を突破することは全くコストに見合わなくなり、誰も手をつけない状態がやってきます。
これが私の考える「シンギュラリティ」です。世の中で言われている、AIが人間を超えてなんて言うのは永遠に来ません。AIは妥協の産物であり、合格点が正義で、正解を求めることを放棄したものだからです。人間が費用対効果や省力化、持続可能性などを求めることで、何も生み出すことができなくなった時点がシンギュラリティといえます。
本当は突き詰めれば見つけられたはずのアルゴリズムや理論を放棄し、確率と統計で最大の妥協点を見つけるようになった。その妥協点を見つけるための学習データはどんどん劣化していく。インターネット上のデータをほぼ学習に使ってしまった現時点が、今のAIの頂点です。ニューラルネットワークを使用した大規模学習を使っている限り、ずっとこのままゴールは下がっていきます。
これを良しとしない人たちはいて、本来見つかるはずのアルゴリズムや理論を追い求める人たちはまだいますが、「老害」「無駄」「時代について行けてない」などと言われます。これらの人たちも生活するためにはお金が必要ですから、妥協し、8割を受け入れるようになるでしょう。

最後に

8割論が正しいかどうかは別にして、Web3同様に、宣伝やコンサル、インフルエンサーにだまされ、無駄にコンピュータリソースと金を食い潰す企業が増えるだろうなとは思っています。私自身はこのようなだまされる被害者を救う気はありませんし、救う活動をしたら、陰謀論のおかしい人と言う評価になります。

私は好き勝手に生きますし、「腹八分目なんてくそ喰らえ」と考えています。

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