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日常に潜む非日常②「コリアンタウン殺人事件」

映画の中には色んなジャンルがある。それは音楽と同じくらいに。
ラブストーリー、ホラー、ミステリー、アニメ、コメディ、サスペンス。
最近の流行りは人気マンガの実写化か、感動の実話を謳うノンフィクションとか?
けれども今回各SNSで話題となっている映画「コリアタウン殺人事件」(2020)はそのどれにも当てはまらない。アマプラでもこのジャケットが一際異彩を放っていた。やばい、これ絶対怖いやつだ。本能がそう言っていた。
人間の最もヤバい所は、好奇心で死にに行くことがある所だ。本能が危険信号を発していても気付かない。気付かないふりをする。


この「コリアタウン殺人事件」はファウンドフッテージ(発見された未編集の映像)、いわゆる擬似ドキュメンタリー映画の一種になる。
撮影者が行方不明等になって埋もれていた映像が掘り起こされたり、無関係な第三者の手に渡って日の目を見ることとなった、そしてこの手法を使うジャンルは、大体ホラーである。
1番この手法で有名な映画は「ブレア・ウィッチ・プロジェクト」「パラノーマル・アクティビティ」シリーズだろう。


アメリカのコリアタウンで発生した妻による夫の殺人事件。
無職で『朝起きる理由が欲しい』なんていう安易な理由から独自に事件調査とビデオ撮影を始めた撮影者(語り手、顔は一瞬しか出ない)。けれども一般人に探偵の真似事なんて不可能で、調べられる事なんてたかが知れていて、すぐ壁にぶち当たる。というか、行き当たりばったりが過ぎる。
同棲してる恋人からは調査を打ち切って求職したら?と持ち掛けられるが、その場返事で彼は事件の調査ビデオを撮ることを辞めない。寧ろ執着を強めていく。何者かに取り憑かれたように。そして撮影者は1人のホームレスの男と出会う……。
ストーリーはサスペンスとしては至って単純。だけれど、一人の人間がここまでおかしくなっていく様を明確に描いたのは流石なんじゃないか?
退屈は猫を殺すが、行き過ぎた好奇心は人間を殺す。この撮影者は事件の真相を追い求める内に、どこかで精神を病んでいったのだろう。
そして彼は次第に、確実に狂っていく。前半のダレた展開が嘘のように。最早殺人事件なんて関係ない。偶然か必然かが重なり合って、彼を狂わせるスピードを早めて行く。
全編スマホ撮影っぽいんだが、これがよくブレる。あまりにも全編ブレているため、途中休憩を挟みながら鑑賞した。あまり映像で酔うタイプでは無いが、これは流石に堪えた。
お前、韓流ドラマの貧乏主人公だってスマホは一丁前に最新モデルだぞ(だから貧乏なのかもしれないが)。
そしてジャケットにも念押しされるくらい出てくる被害者の夫の写真が中盤以降事ある事に出てくる出てくる。なんか夢男と同じレベルでトラウマになりそうな勢いで。

約80分くらいの映画だが、見終わった率直な感想を述べる。


たかだか80分がこんなに長く感じるなんて思わなかった。
私は好奇心に負けて死んだのだ。

この作品の凄いところは監督、キャスト、スタッフ 全てが伏せられていること。アマプラにも「監督;わからない 主演;わからない」としか書いてない。脱帽。
この事件、つい最近コリアタウンに実際にあったんじゃないか?とか言うニュースリンク(全編英語)もあるにも関わらず(これは各自検索してググッて欲しい)
映画のラストには非常に細かい文字で念押ししている。「これは陰謀論や説教者へのパロディ(批判)です。この事件について調べても無意味です。ただの映画です」


……これ、マジでヤバいやつじゃない?

こうした鑑賞後の後味の悪さもファウンドフッテージの醍醐味ということで。
たまには好奇心に負けてみるのも悪くないですね、お陰で多少体調が悪くなりました!胸糞!

頼むからフェイクである事を切に願いたい。そしてこれを企画し、脚本を書いた人間に悪趣味と賛辞を送りたい。

ご閲覧ありがとうございました

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