企業が社会的インパクトを追求できないのはなぜか
「企業が社会的インパクトを追求できないのはなぜか」この疑問の対する自分なりの答えには、3年間のエジプト駐在中、企業とともに活動する中でたどり着きました。
それは「開発援助業界で当たり前に用いられるインパクトの設計、測定、マネジメントの考え方が、企業の間で活用されていないから。」というものです。
中長期でインパクトを創出するためには、その「地図」をデザインし、意思決定の際に活用する必要があります。しかし、社会的インパクトを測る指標やその策定の方法が周知されていないため、意思決定時の拠り所とはならず、多くの企業は社会的インパクトを追求する事業に踏み込めないのだと感じました。
企業が担う役割は、私がエジプトに駐在していた頃(2013-2016年)とは変わっていることは明らかで、社会的価値創出への関心も高まっているように感じます。一方で、インパクト設計や測定、マネジメントの考え方(これらインパクトに向かう考え方を当社でへ「インパクト思考」と呼んでいます。)は、まだ企業で一般的になっていないように思います。
実際、インパクト思考は、財務面の判断軸と両立する考え方であるのに、活用されていないことはとてももったいないことだと感じました。例えば、米国の民泊仲介企業として有名なAirbnbは、インパクトにつながる指標を上手く活用して、インパクト思考と財務面の判断軸と両立してきた企業だと、私は考えています。Airbnbは、2008年に設立され、2020年に米国のNASDAQに株式を上場した企業で、「すべての人が、どこであっても居場所があると感じられる世界」というビジョンの実現を目指し「旅のすべてについての、人と人が直接つながる場の創造」をミッションしています。今では年間3億回以上、広義の異文化体験を生みだしています。
では、Airbnbはどのような点でインパクト思考を実践していると言えるのか、次回の投稿でご紹介します。