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インパクト投資に取り組む際の落とし穴
はじめに
昨今、「インパクト投資」について、おかげさまでお問合せいただく機会が増えています。金融庁・金融業界・地方自治体などで様々な取り組みが見られ、日本経済新聞をはじめニュースでも頻繁に取り上げられているからかと想像しています。
インパクト投資とは、以前のnote記事でもご紹介させていただきましたが、「ポジティブで測定可能な社会的及び環境的インパクトを同時に生み出すことを意図する投資行動」のことをいいます。
このようなインパクト投資が注目を集めてきているのは、とても喜ばしいことです。それを踏まえたうえで、今回は、この盛り上がりについて、「インパクト設計・マネジメントの専門家」の視点から感じたこと、考えたことを書いてみたいと思います。
「インパクト」を考える際にまず必要なこと
インパクトの設計・マネジメントのいわばスタートラインになるのは、「明確な意図があること」です。言葉にすると当たり前にも見えますが、実は、意外にできるようでできないことのひとつでもあります。
「自然環境にポジティブな活動をしたい」「高齢者の介護の状況を改善したい」といった「思い」を発端とし、誰にどのようになってもらうことを目指すのか、具体的な形に磨き上げていく。そして、目指すインパクトを創出するための道筋を明確にしていく。それが私が「インパクト設計」と呼ぶものです。
インパクト投資とは、投資家が、自らが「意図する」インパクトを創出するために、それを総体として実現できると見込んだ複数の企業に投資するものです。投資家と投資先が共通の想い・理念・目的を共有し、協働の形ででインパクトを追求していく仕組みとも言えるかもしれません。形は「投資」であっても、明確な意図と道筋を持ったインパクト設計が大切である点は、公共セクターや非営利セクター、企業の新規事業などのインパクト創出と共通しています。
インパクトを考える際には、どんな社会をめざすのか、誰がどんな状態になることを理想とするのか、それを具体化することが第一歩といえます。
インパクト投資に取り組む際の落とし穴
一方で、時々お受けするご質問の中には、「どのような条件を満たせばインパクト投資になるのか」「正しいインパクト投資とはどういうものか」といった、コンプライアンスに近い側面に焦点が当てられているものも存在します。
私は、インパクト創出において、携わるそれぞれのプレーヤーが自らの想いや理念を形にしていく中で、基本を押さえながらも、自由に様々な試みや対話を重ね、独自の形を編み出していくところに醍醐味があると考えています。「規則だからやる」「このポイントをクリアしておけば大丈夫」という発想ではなく、「これをやりたい」という意思を持った上で、「やりたいことをどのように実現していけるか」を追求する姿勢が重要ではないかと考えます。
インパクト投資をめぐる議論の中でしばしば取り上げられる「インパクト測定・マネジメントのコストを誰が負担するべきか」という点についても、自らの意思で実現したいことを追求する中でいわば当然必要となる経営ツール、という捉え方ができるのではないでしょうか。実際、事業を通じたインパクトの創出を目指す「インパクト企業」が、インパクト測定・マネジメントを有用なガバナンスのツールと位置づけている例もあります(「日本におけるインパクト投資の現状と課題 2021年度調査」レポートで取り上げられている株式会社CureAppなど)。
最後に
「社会にポジティブな影響を与える」ことをビジョン・ミッションの形で打ち出す企業は着実に増えていて、今後も増えていくと考えられます。こうした企業たちが、どのようなインパクト創出によって自らのビジョン・ミッションを実現していくのかをしっかりと考え、計画し、それを投資家やその他のステークホルダーと上手にコミュニケーションしていけるようになることを期待しています。そうすれば、それぞれの企業が創出するインパクトの相乗効果によって、社会は確実に良くなっていくと考えています。
当社のインパクト投資との関わり
トークンエクスプレス株式会社は、「インパクトを、企業から」をビジョンに掲げ、社会的インパクトを創出しようとする企業向けに、インパクトの設計・マネジメント支援サービスを提供しています。
創業初期から、日本のインパクト投資市場の育成に取り組んでいる一般財団法人社会変革推進財団(SIIF)様の事業に継続的に貢献してきています。インパクト測定・マネジメントに企業として取り組む際の方法等についてご関心ある方はお気軽にご連絡下さい。
筆者のTwitterでは、インパクトに関する企業の取り組みを紹介していますので、よろしければご覧ください。
本記事、及び当社にご関心ある方はこちらからお問い合わせください。
企業のインパクト面での課題と解決策について、三菱総研の主席研究員の方(元外務省)によってわかりやすく説明されている記事です
— 紺野貴嗣@トークンエクスプレス (@TakatsuguKonno) November 10, 2022
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