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[ライブレポート] Mr.Children tour 2024 miss you arena tour 2024.9.26 埼玉公演

2024年9月26日(木)、さいたまスーパーアリーナで開催された、Mr.Childrenのアリーナツアー「tour 2024 miss you arena tour」埼玉公演の1日目に参戦しました。アリーナツアーに参戦した感想を忘れないうちに書き留めます。

アリーナツアーに先立ち開催された、miss you ホールツアーの東京公演にも参戦し、『miss you』の世界を体感したうえでのアリーナツアー。Mr.Childrenが創り出す『miss you』の世界はさらに進化し、"優しい驚き"に満ち溢れたとてつもない空間でした。

筆者は音楽批評家でも古参のファンでもありません。Mr.Childrenの曲を聴くようになって数年の未熟な大学生なので、大層なことは書けませんが、いちファンのライブレポートとしてお楽しみください。

また、この文章にはセットリストやネタバレを含みます。これからツアーに参加される方、ネタバレを見たくない方はブラウザバックを推奨します。


※以下ネタバレを含みます※











開演前

もう9月末というのに真夏のような日差しが照りつけた日のさいたまスーパーアリーナには、多くのファンが押しかけていた。さいたまスーパーアリーナの収容人数は、およそ22,000人。ツアトラの前に集まる大勢の人や、物販待ちの長い列、久しぶりの大規模ライブに、半世紀へのエントランスで訪れた日産スタジアムを思い起こした。

17時半前に入場が開始し、アリーナ内へ。今回の座席はスタンド200レベルの17列、スタンドの中段でステージからの距離はそこそこ。ステージ上の人の表情がなんとか読み取れるくらいの距離。さすがに、前回のホールツアーのような特等席ではなかったものの、会場全体を俯瞰できるような位置でした。

ステージのレイアウトは、メインステージのみのホールツアー同様シンプルな構成。ステージ後ろのスクリーンはホールツアーの時よりも大きくなっていました。会場内BGMとしてゆったりとした洋楽が流れるなか、観客の入場が続々と進み、18時30分、いよいよ開演。


0. Opening

スクリーンには、「miss you」のTeaserやSpot CMの映像のような霧のかかった山々や森の景色が映るシーンからスタート。ススキのような草原を駆け抜ける足音や息を切らす声(おそらく桜井さん?)が聞こえ、メンバーのシルエットがスクリーンに映し出されると、桜井さん以外のメンバーが登場。桜井さんはまだ画面の中にいました。


1. 叫び 祈り

ドラムとギターが鳴り始め、オープニング曲のイントロアレンジかな…と思ったのもつかの間、これ聞いたことあるぞ…!?と。1曲目はアルバム「HOME」から『叫び 祈り』。まさかのインスト曲で、開幕早々から度肝を抜かれました。この曲は今回のツアーで初めて披露された曲ですが、曲の不気味で不完全な感じが、孤独や不安など様々な感情が入り混じった「miss you」の世界観にフィットする曲でした。

約1分間のインストの間に、桜井さんが登場。桜井さんが登場したと思ったら、ステージ両端から大きな鉄格子のようなスクリーンが現れ、メンバーを覆ってしまいます。檻にとらわれたような演出で、次の曲がスタート。


2. I MISS YOU

「寝苦しい夜 汗ばんで~」と曲がスタート。今回のアリーナツアーが、ホールツアーから続く「miss you」の世界の続きである答え合わせのような1曲でした。アルバムタイトルと共通する曲名で、「miss you」の世界を形作る骨格の曲の1つである『I MISS YOU』は、ホールツアーでは未披露でした。アリーナツアーでは必ず披露すると思っていましたが、オープニングでしたね。

"I miss you, I miss you"とフレーズを繰り返すところの優しい歌い方や最後の「殺したいくらい嫌いです」の力強い歌い方が、印象的でした。この曲を一発目ではなく、あえて『祈り 叫び』を入れたのは、「miss you」というアルバムが、30年に渡り第一線で活躍してきた桜井さんやMr.Childrenの「祈り」であり「叫び」であるのではないかとふと思いました。

何が悲しくって こんなん繰り返してる?
誰に聴いて欲しくて こんな歌 歌ってる?
それが僕らしくて 殺したいくらい嫌いです

『I MISS YOU』/ Mr.Children


3. REM

「miss you」の世界に引き込まれていくのかと思いきや、3曲目はまさかの『REM』。最高にロックでハードな攻めた曲には痺れました。イントロが始まって、曲に合わせて手拍子しながら、「本当に、歌うの…???」と思っても歌っちゃうんですよね、桜井さん。

『REM』は、2015年の未完ツアー以来の演奏。未完ツアーの日産スタジアム公演は、大雨で、ずぶ濡れで、天然の加湿器効果で声の調子も最高だったんですが、それを越えてくるとは・・・。正直、キーが高すぎてもう聞けないのかなと思っていたんですが、高音もシャウトも絶好調。桜井さん、年々若返ってますよね??? 今、本当は何歳ですか…?って聞いてみたいです(笑)


4. アンダーシャツ

マジで・・・!!????
ヤバい・・・・・・ (頭の中真っ白)

曲が始まって、意識が吹っ飛びそうになりました。いや、もうね、エグい(語彙力)。アンダーシャツを披露するのは、ツアーでは1999年のDISCOVERYツアー以来25年ぶりとのこと。1999年なんて、まだ自分は生まれてないんですよ。そんな歴史的な瞬間に、周りにいた歴戦のファンの方々共々、発狂しました。そして、この曲を聞いて、今回のセトリが玄人向けに振り切っていると確信しました。ホールツアーも結構玄人向けのセトリではあったんですが、それを優に超えています。今回のセトリ、本当にヤバい。

この曲の最大の見せ場は、間奏のギターソロ。桜井さんがソロでギターを弾き鳴らすのもカッコいいんだけど、その前の田原さんとの共奏も素晴らしかったです。90年代の凸ったMr.Childrenも良いけど、年を重ねて深みを増した2024年のMr.Childrenも最高に格好良かった。


5. Everything (it's you)

ここは、本当に2024年のライブ会場ですか!?!?

1990年代、2000年代にタイムスリップしたかのようなセットリストが畳みかけます。『アンダーシャツ』に引き続き、ギターソロがあり、ギターの存在感を感じる1曲。田原さん→桜井さんと繋ぐギターソロが最高でした。ポップでキャッチーな曲もあるけど、Mr.Childrenはロックバンドだよねと再認識させられる曲。田原さんのギターや桜井さんのボーカルが際立つけれども、その後ろには安定感のあるナカケーとJEN(+SUNNYさん)のリズム隊がいる、これがMr.Childrenの創り出す音楽なのだと実感しました。

"STAY~"の部分は観客も一緒に「ステェーーーーーーーーーーーィ」と叫びました。(叫ばせてくれました笑) ホールツアーの時よりもオーディエンスの声がパワーアップしていて、やっぱり声の出せるライブっていいな。


オープニングからノンストップで駆け抜けてきましたが、ここで短いMCが入ります。桜井さんは「ずっと会いたかった、1秒でも、一瞬でも早く今日が来て欲しいと思っていました。久しぶりにやる曲を、聴いてほしいと思います。20年前の曲です!『靴ひも』」とひと言。


6. 靴ひも

もう、イントロが流れるだけで涙…。『靴ひも』はライブで聞きたい曲のひとつだったけど、まさか披露されるとは。この曲が流れ始めたら、"靴ひもも結ばずに、駆け足で"飛び出したくなりました。20年前の曲だけど、全く色褪せないし、次のポカリスエットのCMソングでもいいんじゃないかなと思うような曲です。

愛しくて 切なくて 君の色で濁っている
その部分が 今一番 好きな色 僕の色
あぁ 一秒でも早く君の待つ場所へ
あぁ 一瞬でも早く君の待つ場所へ

『靴ひも』/ Mr.Children

一秒でも一瞬でも早く会いたいと衝動に駆られる甘酸っぱい曲は、君に会いたいという感情が溢れる"miss you"な曲ですね。

曲中のバックスクリーンは「靴ひも」のような糸が流れる映像で、演奏が終わるとバス停→学校の教室→黒板と場面が移り変わり、糸がまとまって「Fifty's map」の文字が映し出されます。


7. Fifty's map ~おとなの地図

20年前にプレイバックした後、再び2024年に戻ってきました。この曲は、今アルバム「miss you」の中でも、今現在のMr.Childrenの姿を表した1曲だと思います。サビの部分では、モニターにメンバーの姿が映し出され、この4人がMr.Childrenですよと主張しているかのよう。ギターとボーカルで構成されるシンプルな曲もアルバム「miss you」には多いですが、やはりバンドサウンドが好きですね。


8. 青いリンゴ

タイトルの『青いリンゴ』のようにさわやかな曲調。でも、『靴ひも』の甘酸っぱい青春のような爽やかさではなく、未熟ではない落ち着いた爽やかさを感じ取りました。ここまではモノクロの世界でしたが、初めて映像に色が入ったのはこの曲で、会場に「彩り」を添える1曲でした。

ホールツアーでは、サポートメンバーに山本拓夫さんが演奏に深みを加えていましたが、今回はサポートメンバーがSUNNYさんだけだったので、サックスは音源でしたね。JENが観客に手拍子を促して、会場全体で曲を作り上げる空気感が良かったです。


9. つよがり

SUNNYさんのピアノアレンジからのイントロ。「miss you」の曲が続くと思いきや、まさかのアルバム「Q」から『つよがり』。桜井さんが歌い始めると、その声に圧倒されて涙腺崩壊…。SUNNYさんの伴奏とハモリも、桜井さんの歌声に華を添えて、涙が止まりませんでした。歌詞を噛み締めながら聞くと「miss you」の世界観に合ったもので、選曲にも納得です。

映像と照明の白と黒のコントラストが素敵だったので、ここは円盤化に期待です。『つよがり』だけでなく、『アンダーシャツ』や『靴ひも』も映像化が待ち遠しすぎます。


10. Are you sleeping well without me?

ここからは再び「miss you」の世界へ。桜井さんは椅子に座って歌い始めます。桜井さんの後ろには、夜の寝室の景色が投影され、眠れない夜更けにひっそりと歌う感じが印象的で、ホールツアーの時よりもこの曲の世界観に浸ることができました。

桜井さんとSUNNYさんの2人だけの演奏で、より寂しさや感傷に浸る感じが際立ちます。


11. LOST

アルバム「miss you」の曲の中でもお気に入りで、ホールツアーでのライブ化けが凄かった1曲。今回のアリーナツアーではさらにアップデートしていました。スクリーンに電球が振り子のように揺れる映像が投影されると、田原さんと桜井さんにスポットライトが当たり曲がスタート。田原さんがアコギを掻き鳴らします。田原さんは、普段は淡々とギターを弾くイメージですが、アコギを力強く引く姿を見ると、皇帝・田原健一の新たな顔を見たような気がします。

今回のライブバージョンは、ホールツアーの時と比べて低音が強調されていました(多分…)。ラスサビ前からはナカケーも加わり、一気にバンドサウンドへ。もうこの瞬間、鳥肌が立ちました。CD音源とは比べ物にならないほどの壮大さ、演奏の深みが出ているので、是非ライブ音源もCDで出して欲しいですね(笑)

ホールツアーでは、全力でハンドクラップできなかったのが唯一の後悔でしたが、今回はJENが観客に手拍子を促していたのもあって、全力でハンドクラップできました。


12. アート=神の見えざる手

『LOST』の次は、やっぱりオーディエンスをざわつかせたこの曲ですよね。前曲の余韻に浸る間もなく、演奏スタート。今回の桜井さんはステージのナカケー側で椅子に腰掛け、歌い始めます。正直、最初にこの曲を聞いたときはあまり好きじゃなかったのですが、ホールツアー、今回のアリーナツアーと生で聞くにつれてこの曲の解像度が上がりました。演奏開始してから加速度的に狂人化していく桜井和寿とその後ろに響くバンドサウンド、これは絶対ライブで聞くべき曲No.1ですね。

今回は、ステージ裏の大きなスクリーンを存分に生かし、黒と白のモノクロの世界に血を連想させる赤色が加わることで、ヒステリックさをさらに際立たせていました。これも、映像化が楽しみな曲のひとつです。

気になるあの場面では、今回もちゃんと"ピー音"が入っていました。しかも、スクリーンに映し出される桜井さんの姿にモザイクまで付く完璧な仕様。しかしながら、ホールツアー同様、桜井和寿の声はピー音を突き抜けていました。


13. 雨の日のパレード

『アート~』が終わり、雨音のSEが流れてから、血の雨を傘で受け止めるような映像が流れ、イントロがスタート。前曲があれだけ尖った曲だったので、サビ前までの落ち着いた感じは汚れた心が洗われるような感覚です。

ここまで「miss you」の曲をアルバム通り、ホールツアーのセトリ通りに演奏してきたので次は『Party is over』かなと思っていたのですが、『雨の日のパレード』が終わっても雨音のSEが続くので、あれっ!?となりました。

雨音がフェードアウトして『雨のち晴れ』か、もしくは"物憂げな6月の雨に打たれて"から『innocent world』歌っちゃうのか…?と色々な想像を膨らませていたら、SEが雨音から心臓の鼓動に変わり、心臓の拍動が映像に現れるとSUNNYさんのピアノがスタート。


14. 血の管

アルバム「シフクノオト」から『血の管』。イントロのピアノで「えっ!?」ってなりましたけど、確かにこの曲の不気味さや孤独感が「miss you」の世界観にマッチしますよね。『アート~』、『雨の日のパレード』から続いた血の表現が、この曲に繋がるのも納得です。しかしまぁ、感情がジェットコースターのように動かされる曲が続きますね。緩急をつけたセトリに物凄く心が揺さぶられます。


15. Party is over

再び「miss you」の曲に戻ります。『Party is over』はアルバムの中でも大人しい曲です。ホールツアー同様、桜井さんと田原さんの2人が向き合って、2人のアコースティックギターだけで演奏するシンプルなスタイル。シンプルな曲だからこそ、歌詞が心に沁みます。最後の"過去にこだわって~"からは一段と音程が高くなりますが、桜井さんは苦しい顔もせず歌いきっていました。


16. We have no time

ここまでは割と静かな曲や暗い曲が多かったですが、ここからスロットルを全開にしていきます。この曲で1番好きなのはJENのドラムかな? 普段のJENはお茶目で「顔で歌うドラマー」なんて言われていますが、JENが放つドラムの1音1音が、心臓の鼓動のように全身に行き渡る感じが最高でした。

ホールツアーでは、山本拓夫さんのサックスソロが暴れまわっていましたが、あれは贅沢すぎましたね(笑) 今回は、ホールツアーの何倍ものオーディエンスの手拍子が楽曲に花を咲かせていました。


17. ケモノミチ

「miss you」ワールドの最後は『ケモノミチ』。CD音源で聞く『ケモノミチ』とライブで聞く『ケモノミチ』では、印象が全く違います。ライブで聞くバンドサウンドの方が、圧倒的に、何倍も壮大さに磨きをかけています。"君にLove Songを送ろう"や"月に爪弾いた 孤独のメロディ"といった歌詞を桜井さんが叫ぶように歌うこの曲は、やはり「miss you」という世界観の締めくくり、フィナーレに最も適した曲でありました。スクリーンには、ホールツアー後に公開されたLyric Videoのような映像が流れ、長く続いた「miss you」ワールドは幕を閉じます。


18. 365日

イントロ無しで、桜井さんがアカペラで"聞こえてくる 流れてくる"と歌い始めます。圧巻だったのはその後。"君が好き"というストレートな歌詞とともに、他のメンバーの演奏がスタート、更にはスクリーンに「miss you」という文字が現れ、もうここで涙がぶわっと溢れ出ました。今回のライブで1番泣いた曲です。"君が好き"、"君に触れたい"、"君と出逢いたい"という真っ直ぐな言葉に、心を打たれました。『365日』は2017年のThanksgiving25以来7年ぶりの演奏、久しぶりに聴いたラブソングはとても素敵でした。

背景の映像には『靴ひも』から続く糸に「彩り」が加わり、やがて虹色の鳥となって羽ばたいていく様子が映りました。虹色の鳥、どこかで見たことがある演出だなと思っていたのですが、この後で大きな意味を持つことになります。


19. 記憶の旅人

続いては、映画「青春18×2 君へと続く道」とのタイアップで制作された新曲『記憶の旅人』。前作のアルバム「miss you」は、攻めた曲が多かったので、久しぶりのMr.Childrenらしさを感じる正統派なバラードです。「miss you」の世界を堪能した後の、『365日』、『記憶の旅人』と続く曲順は、なるほど、こう繋げるのかぁ~と感心しました。どちらの曲も「miss you」の曲ではないけれど、寂しい、会いたい、恋しいという感情があふれるもので、まさに"miss you"な曲。桜井さんが創り出す歌詞や音楽に対する考え方のひとつコアとなる部分に"miss you"があるのでは?と個人的には思いました。

『記憶の旅人』は、本編ラストで演奏されると予想していました。実際、ここまでの満足感はすさまじく、この曲の演奏が終わって、桜井さんが「どうもありがとうございました。Mr.Childrenでした!!」と言ってステージを降りても不思議に思わないレベルの満足感。しかし、予想は良い方向に外れ、Mr.Childrenの音楽を浴びることのできる至福の時間はもう少し続きます。

『靴ひも』からMCを挟まず、ノンストップで演奏を続けてきましたが、ここで短いMCが入ります。桜井さんは、「最近は叩き合ったり蹴落としあったりばかりの世の中だけど、今日は(みんなで)讃え合おう」とMC。


20. The song of praise

「ライブでのコール&レスポンスを想定した作った曲です」
桜井さんがホールツアーで、そう話していたこの曲は、"讃える歌"『The song of praise』。『Everything (it's you)』以来、久しぶりのコール&レスポンスで会場の一体感もさらに高まります。桜井さんも「一緒に歌って!!」と言って会場を盛り上げていました。じっくり聴く曲もいいですが、やっぱり一緒に歌って叫べる曲はテンションが上がるし、ライブの醍醐味だと思います。

バックスクリーンには、コーラス中、半エンのアー写のような4人のどアップの顔写真に「Oh !」「Wow !」と吹き出しが添えられているのが面白かったですね。桜井さんとJENは全力笑顔、田原さんとナカケーは若干やらされてる感があって、コール&レスポンス中に笑いそうになりました(汗)

誰もひとりじゃない きっとどっかで繋がって
この世界を動かす 小さな歯車
誰もひとりじゃない だからどっかでぶつかって
この世界で藻掻く小さな そう小さな歯車

The song of praise / Mr.Children

観客の「Oh~ Wow~」というコーラスに合わせて、桜井さんが歌うこの部分は特に良かった。2万人以上いる観客のコーラスが形作る、会場の一体感は、ホールツアーよりも何倍にも増した力強さを感じました。


21. End of the day

曲前のMCでは「久しぶりに聴いて、いいなと思った曲です」と桜井さん。
「いやいや、こっちのセリフですよ、桜井さん・・・」と言いたくなるような、久しぶりに聴いて改めて感動した曲です。『End of the day』、こんなに背中を押してくれる曲だったとは。ライブが終わってから、鬼リピしている曲のひとつです。ブラオレ、不作とか不人気とか言ってしまって、ごめんなさい…。

「エーンド オブ ザ デーーーイ」と「Oh! NO! Oh! YES!」は飛び跳ねながら叫びました(笑) 観客が一緒に歌える曲で『innocent world』とか『Tomorrow never knows』など超有名曲を選択しなかったのにも、今回のセトリの凄さを感じますね。

”もっと もっと 羽ばたける日が来る きっと来る"、この歌詞が次の曲に繋がります。


22. 未完

桜井さんがギターを鳴らしてイントロがスタート。曲が始まると会場は今日一番のどよめき。今日は、本当に「マジか!!」の連発です。イントロだけで驚きのあまり昇天しそうになりました。

ここまで何度か、スクリーンの映像に「鳥」が映し出されていましたが、ここで伏線回収。虹色の鳥は、2015年の未完ツアーで登場したあの鳥でした。未完ツアーは、自分が初めて買ったライブDVDであり、オープニングのロックで力強い『未完』を映像で見た時の記憶が一気に蘇ります。生で聞いた2024年の『未完』は、2015年よりも一段と力強さを増していてMr.Childrenは常に進化を続けているんだと印象付けられる曲でした。

ラスサビ前の間奏では、半世紀へのエントランスの『終わりなき旅』のように桜井さんのMCが入ります。

「2年前、30周年を迎えて半世紀へのエントランスというツアーを回り、半世紀へ向けて踏み出しました。もしかしたら、途中で力尽きるかもしれない。でも、ライブの時は畳んでいた羽を開いたような感覚に、どこまでも飛んでいけそうな気になります。みなさんも、ここに来て、背中や心に羽が生えた気持ちになって、それが1秒でもいい、1日でも1週間でも続けばいい。もし、羽があることを忘れたら、ここに帰ってきてください。僕たちはここで待っています。」

MCの内容は大体こんな感じですが、こんな事言われたら泣くに決まってるじゃないですか…。
MCが終わると静かに"いっそ飛べない鳥の羽なんか もがれちまえばいい そう ほざいてみたって試練は手を緩めちゃくれない"と桜井さんが歌い出します。

"だから もうユニフォームを脱いで 脱いで~"で一気にバンドが入り、ボリュームMAXに。その後の「自由 自由 自由」は、全身から力を絞り出すように叫ぶ桜井さん。もうね、カッコよすぎます。最後にとどめを刺されました。

さぁ行こう 常識という壁を越え
描くイメージは果てなく伸びる放物線
未来へ続く扉 相変わらず僕はノックし続ける し続ける

未完 / Mr.Children

彼らの音楽を探求する旅は、30年という節目を越えてもなお"未完"であり"終わりなき旅"であることを示しているのでしょうか。Mr.Childrenというバンドは、半世紀、50周年という"胸の中の約束の場所"、さらには"常識という壁を越え"てその先へ、自由に羽ばたいていくのだと確信しました。これからも自分たちの創りたい曲、響かせたい音を追い求めていくという決意をひしひしと感じるもので、涙せずにはいられません。今回のツアー、どの曲も素晴らしかったのですが、その中でも1番を決めるとしたら『未完』でしょう。それくらいインパクトは物凄く、鳥肌が立つほど痺れました。


23. 終わりなき旅

『未完』で本編ラストかなぁなんて思っていたら、桜井さんがブルーフラワーを持っているではありませんか・・・!!???? 
まさか、あの曲をやるのか….と固唾をのんで曲が始まるのを待ちます。

桜井さんがギターを弾き鳴らし、イントロがスタートした瞬間、2022年6月12日にプレイバック。初めてMr.Childrenのライブに足を運んだあの日、オープニングで聴いた『終わりなき旅』の身体中に響き渡る桜井さんの歌声とバンドの力強い演奏の衝撃を、昨日のことのようにはっきりと思い出しました。

最後の最後で『終わりなき旅』を演奏するのは、反則じゃないですか…。泣かないわけないでしょ。辛い時、苦しい時に自分自身を奮い立たせる曲はやはり『終わりなき旅』。個人的に、最近はやるべきことが多すぎて、心が押しつぶされそうになりながらも、アリーナツアーに参加できることをモチベーションにここまで頑張れてきました。ライブが終わってしまったら心が空っぽになってしまうのではないかと心配していましたが、そんな心配は無用でした。『終わりなき旅』を聞いて、明日からも頑張ろうと決意したとともに、Mr.Childrenの音楽は常に自分たちのそばにいると改めて感じました。

半世紀へのエントランスで、桜井さんが
「どんなもものにもきっと終わりがあるのだと、今は思っています。でも、だからこそ、いつまでもずっと続いていくことを願って。だからこそ、今ある情熱のすべてを、エネルギーのすべてを、音に変えて、声に変えて、人生最高の音をお届けしたいと思っています。」
と話していたMCが脳裏によぎります。Mr.Childrenが30年も第一線で活躍してきたのは、並々ならぬ覚悟と情熱を持ちステージに立ち続けてきたからに違いありません。半世紀へのエントランス、miss youホールツアー、そして今回のアリーナツアーと参戦して、"人生最高の音"を上書きしていく彼らの姿は、この先どのように進化していくのだろうとワクワクさせてくれます。半世紀、更にその先の景色を一緒に見たいと心の中で誓うのでした。

一方で、『終わりなき旅』が今回のセットリストに入ったのは正直意外でした。しかし、半世紀へのエントランスでは観客が声を出せなかった『終わりなき旅』を、今回のツアーでは観客も一緒になって声を出すことができるという事実からふと思いました。Mr.Childrenが歩みを進める"終わりなき旅"は、彼ら4人だけではなく、我々観客も欠かすことのできないピースのひとつであると暗に示しているのではないかと。この曲はMr.Childrenから観客へのメッセージだと解釈しました。


演奏が終わると桜井さんが「Mr.Childrenでした、どうもありがとう!!」と話して、メンバーも一旦退場。気がついたらここまで、インスト曲を含めて23曲とホールツアー全編よりも多い曲数を演奏してきました。MCもほとんど挟まずにひたすら演奏してきたのであっという間でしたが、彼らの表現したい世界観、ストーリーは各々の曲やセットリストに込められていたと思います。

アンコールの拍手の中、ステージに登場したのは、桜井さんとSUNNYさん。最近のライブでは定番となった桜井さんの弾き語りスタイルのアンコール1曲目です。


24. Hallelujah [encore]

MCで「小編成でアルバムQから『Hallelujah』を演奏したいと思います」と桜井さん。「Hallelujah」は、「神をほめたたえよ」という意味。ユダヤ教にルーツを持つ言葉で、宗教的な意味合いを持ちます。この曲の神聖な感じが、これまでとは違った気色で、新しささえ感じました。

最後のコーラスからはJENとナカケー、田原さんが登場。ナカケーと田原さんは、ドラムのような打楽器を叩くという新たな演出でした。

2005年の「I ♡ U」ツアーの時のように、コーラスで合唱しているところに別の曲を繋げるのかな….?と一瞬思いましたが、今回はコーラスがフェードアウトして終了。間髪入れずに次の曲が続きます。


25. 優しい歌 [encore]

イントロがスタートすると会場全体から拍手がわきました。ホールツアーでは弾き語りスタイルで演奏されたこの曲、バンドでの演奏では180度違う印象を受けます。今回は、原曲通りの演奏であり、繰り出すバンドサウンドには、これこそMr.Childrenだなぁと安心感を感じました。

"Wow wow~"のコール&レスポンスもあり、会場中みんなが笑顔になりましたね。


26. Sign [encore]

SUNNYさんのピアノイントロが始まると会場がわっとなりました。今回のツアーで披露された数少ない定番曲ですね。これまた意外な選曲でしたが、アンコールに差し掛かり、楽しい時間もそろそろ終わるという状況でちょっぴり感じる寂しさを表現したそんな1曲でした。

『Sign』の演奏終了後、桜井さんがメンバーを紹介。今回は半世紀へのエントランスよりも多い全27曲も披露し、時間が押しているのか、メンバー個人の発言は無し。JENのおふざけMCを見れなかったのは残念でしたが(笑)、彼らの伝えたいことは、楽曲の中から十分伝わりました。

メンバー紹介の後、「一番新しい曲をやります、『in the pocket』!!」と桜井さんが話すと鐘の音がなり、最後の曲が始まります。


27. in the pocket [encore]

今ツアー中にリリースされた新曲『in the pocket』がラストでした。最初の鐘の音、映画のSEかと思いましたが、Mr.Childrenサイドで曲に挿入したんですね。

映画「きみの色」の主題歌で、主人公たちがバンドを組むという映画の世界観に合わせた曲なんですが、ライブでは、主題歌を歌うMr.Childrenがまるで主人公の先生のような、30年バンドをやってきた自信に満ち溢れた演奏でした。ポップな曲なのに、少し寂しさを感じるというミスチルらしい一曲。聴いていて安心するし、何よりこれがMr.Childrenという"バンド"なんだと印象付ける曲ですね。配信で初めて聴いて「これ、JENはニッコニコでドラムを叩いているだろうな~」って思ったのですが(笑)、予想通りライブでJENは笑顔でドラムを叩き鳴らしていました。

アンコールのラストに、自由で、背中を押される曲を持ってくるのも良いですね。しかしまぁ、『in the pocket』のように鮮やかで爽やかな曲を作る人間が、「miss you」のようにダークで重苦しい凸ったアルバムを作る人間と同一人物なのか疑いたくなるほど、桜井さんの表現力や引き出しの多さに驚かされました。


演奏終了後はいつも通り、ステージの色々な方向に向かって挨拶し、「Mr.Childrenでした!どうも、ありがとう!!気をつけて帰ってください!!!」とお馴染みの言葉を残してステージを降りていきました。退場曲は『in the pocket』で、メンバーが退場すると曲もフェードアウトして終演。

終演後の満足感は半端なかったです。約2時間半、27曲の演奏でしたが、本当にあっという間で、開演から一度も座ることなく、気づいたら終演していましたが、Mr.Childrenの放つ音を1音も逃さずに聴けたという充実感がありました。

満足感と同時に、ライブが終わっちゃったんだ…という寂しさも少しありまます。それでも、明日への活力を得て、自分の中に"羽"が生えたような気持ちになりました。その"羽"がいつまで続くか分からないけれど、また彼らに会えると信じて、前へ、一歩その先へ進んでいきたいと決意するのでした。


まとめ

最後に、今回のアリーナツアーに参戦して思ったことを簡潔にまとめます。

・完成度の高いセトリ
・映像化に期待のかかる演出
・さらに進化を続けるMr.Childrenの姿

ホールツアーから続く「miss you」ツアー。アルバムの楽曲が多く、再び「miss you」の世界に浸ることができました。今回のツアーは、「miss you」の曲以外の選曲も素晴らしく、定番曲をほとんど演奏せずとも、会場の一体感や雰囲気を形作ることができると証明してくれました。特に『アンダーシャツ』と『つよがり』、『靴ひも』が披露されるとは思わず、イントロが流れた時は頭が真っ白になりましたね(笑)どの曲も「miss you」の世界観に合った曲で、セットリストの繋ぎ方にも、メッセージ性を感じる、非常に完成度の高いセトリでした。”ミスチルの曲って、200曲あんねん”って誰かに言われそうなほど、曲のレパートリーがあるので(実際はもっとあります)、二十数曲を選ぶのはとても大変だと思いますが、今回のセトリはここ最近で一番良いと感じました。

ホールツアーとアリーナツアーに参戦して、ホールツアーはどちらかというとコンサートのような、映像や照明はシンプルにして、音を聴かせるという感じがしました。一方のアリーナツアーは、Mr.Childrenの奏でる音にバックスクリーンに映し出される映像が加わって、映像が彼らの音をより魅力的なものにしていました。映像化に期待のかかる演出なので、ライブDVDの発売が待ち遠しいです。

半世紀へのエントランス、miss youホールツアー、アリーナツアーと参戦して、桜井さんがどんどん若返っているような感覚に陥ります。今回のツアーでは、27曲も披露し、さらに『REM』や『未完』という非常にハードな曲も難なく歌う姿には本当に痺れました。Mr.Childrenというバンドは、30年という歴史を感じる凄さがある一方で、本当に50代のおじさんかと疑いたくなるようなエネルギー、バイタリティを感じました。さらに進化を続けるMr.Childrenの姿を見て、自分も頑張らなきゃと思えるし、次はどんな姿を見せてくれるんだろうとワクワクしています。


終わりに

Mr.Childrenにとって、30周年は、到達点ではなく、音楽を追い求める"終わりなき旅"の始まりに過ぎないことは、「半世紀への"エントランス"」という30周年ツアーのタイトルが証明している。

90年代、00年代とヒット曲を連発し、一躍有名になった彼らは、大衆的な"ミスチル"として社会に必要とされる曲を作ってきた。それは、国民的なバンドの宿命であり、競争の激しい音楽界で活躍しつづけるのに必要なことだったのだろう。しかし、大衆受けの良い「売れる曲」を作ることは、理想とする音楽なのかと、彼らの心の片隅にどこか矛盾があったのかもしれない。

30周年を迎えて初めて発売したアルバム「miss you」は、鬱々とした雰囲気でタイアップ曲も無い、今までとは毛色が違うアルバム。このアルバムを聴いて、はっきりと感じました。彼らは、国民的バンドとしての役割を終えて、自分自身の創りたい曲、届けたい音を追求するフェーズへ移行したのだと。

アルバム「miss you」を引き提げて開催されたホールツアーとアリーナツアー。彼らの奏でる生の音を聴いて、このアルバムの解像度がグッと上がったような気がする。これが、彼らのやりたいこと、表現したいことなのだろうか。Mr.Childrenの理想とする音楽を追い求める旅は、まだまだ道半ば。進化を続ける彼らの今後に期待が高まるばかりだ。


ライブレポートは以上です。拙い文章を最後まで読んでいただき、ありがとうございました。

アリーナツアー、本当に最高の時間でした!!!


セットリスト

Mr.Children  tour 2024 miss you arena tour
2024.9.26 @さいたまスーパーアリーナ

1. 叫び 祈り
2. I MISS YOU
3. REM
4. アンダーシャツ
5. Everything (it's you)
6. 靴ひも
7. Fifty's map ~おとなの地図
8. 青いリンゴ
9. つよがり
10. Are you sleeping well without me?
11. LOST
12. アート=神の見えざる手
13. 雨の日のパレード
14. 血の管
15. Party is over
16. We have no time
17. ケモノミチ
18. 365日
19. 記憶の旅人
20. The song of praise
21. End of the day
22. 未完
23. 終わりなき旅
24. Hallelujah [encore]
25. 優しい歌 [encore]
26. Sign [encore]
27. in the pocket [encore]














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