ありがとう宮部みゆきさん

オーディオブックのサブスクに加入して初めて聴いた小説でした。
宮部みゆきさんの「火車」。

生まれて初めて"楽しく"一冊の本を読み(聴き)終えることができたのがこの作品。

あまりにも有名で、読書嫌いな自分でも著者名もタイトルもよく知っている。それだけ人気な作品なら自分も面白く聴けるかもしれない。
おすすめに出てきたこの小説を、そんな淡い期待を込めてダウンロードした。

途中までは通勤電車で半分寝ながらぼんやりと聴いていたが、途中、事態の不可解さが一気に増す場面でグッと心を鷲掴みにされてしまった。(※弁護士事務所で写真の女性を知らないと言われるあの場面です)
そこからはもう真相が気になって仕方なく、通勤電車だけではなく、なんと家でも続きを聴き始めた。読書が苦手な自分にとってこれは大きすぎる変化だった。今までは"持て余した時間を使って頑張って読む(聴く)"ものであった読書が、自分の生活におけるエンターテイメントに少し近づいた瞬間だった。

それでも途中集中力が途切れ途切れになる箇所も何ヶ所かあり、しかし真相が気になる心が打ち勝ち、何日かかかって終盤に差し掛かったのはとある日の深夜。
次の日は仕事だったが、気になりすぎてそのまま聴き続け、聴き終えたのは午前3時頃だった。
漫画やゲームや海外ドラマでは何度もやらかしたこの体験。
まさか大の苦手な読書で体験することができるとは思わず、作品の面白さと、初めて"読書を楽しめた"現実とで高揚してしまった。

この体験は自分にとって非常に大きかった。
何よりも、このままオーディオブックによる読書練習を続けられる自信が湧いたし、今後練習が行き詰まった時にはまた宮部みゆきさんの本を読めば良い、という心の支えのような存在になった。

こういう体験や変化を記していこうと思う。
ありがとう宮部みゆきさん。


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