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三ちゃん食堂は異界である。
三ちゃん食堂は異界である。
「あんた何言ってんだよ」とお思いであろうが、俺にとっては異界である。
そう言い切る理由は一人飲みの定位置カウンターにある。
基本的にコミュ障なので奥の隅っこに座るが、ここは電波の入りが猛烈に悪い。
隣のふく屋さんもちょっと電波弱い席あるよね。
TwitterとかSNS全然見られない。
だから令和のご時世にアナログ状態で飲んでいられる。
さて、慢性胃腸炎持ちの俺は先日久し振りに迷走神経反射を起こしかけた。
急激な痛みに神経がパニクる、と説明するのがいいのかね。
まぁそうなると絶食になる。スポドリだけ口にする。
様子を見て消化の良い物から摂取する。
ゼリー飲料、豆腐、粥、うどん、バナナ。
こういうものは胃腸には優しいが徐々に脳がパリパリする物を欲する。
はぁー、甘いのはもういい次は塩だなとか。
やっと快復したある日、武蔵小杉まで所用があり散歩した。
ソーシャルでディスタンスなんで運動がてらあちこち歩いたよ。
ここで、俺の頭に善からぬ想いが過ぎった。
今日、三ちゃん開いてるよね?
まだ午後だから空いてるかな?
ほら、見てみたらいいっしょや。
新丸子まで迂回ルートだもん、ついでに歩いちゃえみたいな。
この御時世、換気良くする為曇硝子のの引き戸は開いていた。
やった!空いてるじゃん!
テーブル1つ置きにお客さんが座っている。
これは絶好のチャンス。
さっさと入店した。
1人なのでカウンターの奥に座った。
あー、例の如くTwitterとか拾えなくなった。
まぁいい。俺は呑む為に来たのだから。
酒とアテを組み立てるか。
病み上がりだから初手から揚げ物は自粛。
菜の花のお浸し。
しらすおろし。
それに生中。
お通しに白菜漬。
胃腸に優しそうなあっさりめスタート。
これはリハビリなのだ。
どっちも醤油かけるけど、なるべく薄く。
辛子も今日はそんなにつけられない。
菜の花って春の味だなぁ。
微かにほろ苦くて、鰹節とよく合う。
するするとビールが身に染みていき、はて?まだ飲めるのかと思いながら2杯目注文。
ここの男梅サワーは自分でステアするタイプか。
あー、これ秒殺だな。
胃腸が落ち着いてきたのかパンチが足りなくなる。
いけるかなぁ、いけることにしといてくだされ。
「すみませーん、生中と春巻追加で」
愛しのはるまきちゃーん!
熱々のところを一口、待ち焦がれてたパリパリ感。
外パリ中トロの完成形、そしてお手軽な量。
はて、付け合わせのキャベツどうやって食べようかしら。
ふとテーブル眺めると一口だけ食べ残してたしらすおろしが。
こういう時は調味料でアレンジしてみる。
しらすおろしの残り、醤油、酢。
しらすおろしの小鉢にキャベツを移し、調味料かけて軽く混ぜる。
和風サラダ風キャベツに早変わり。
パセリはしっかり食べるタイプである。
胡椒も入れたかったが、このメーカー沢山出そうな蓋しててので止めた。
三ちゃんはお客さんが無限にアレンジしていく店かもしれん。
一席空いた隣の男性はカツ丼の上だけで注文してた、それってカツとじ。
「孤独のグルメ」ではなぎらさんがカレーライスのライス抜き頼んで、コロッケインしてたよね。
以前見た初老夫婦はマグロ刺身に納豆入れてた。
ふと耳をすませば変な武勇伝が語られてたりする、まるでRPGゲームの酒場みたいに。
(でも、エレベーターで○ょ○○んはアカンよ)
若い人もオヤジさん達も楽しそうに呑む。
人生には人それぞれの楽園が必要なんだと思う。
隣に若い男性が着席し「そんなにお客さん来たんかねぇ」と振り向いたら満席だった!
入店したのが大体16時過ぎ、気付けば17時を回っていた。
1時間で混雑か。
次のお客さんも控えてるみたいだしお暇しますか。
ビール2杯と酎ハイ1杯つまみ3品で2100円、リーズナブル。
嬉しいねぇ、久し振りの一人飲み。
そして歩いて帰るから実質カロリーゼロ!
んな訳ない。
次はもう少しガッツリ系食べられるコンディションでお邪魔したいとこだね。
追記・帰宅途中、路肩の植裁にポツンと置かれたブツ。
え、こんな重いの落としてった?