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【絵本レビュー スイミー】ちいさな かしこい さかなの はなし

スイミーに込めたレオの思い。絵本は道しるべ。絵本は処方箋だと思ったこと。

【並べて楽しい絵本の世界】

松岡希代子さんのこちらの本を一緒にご紹介します。
今日はスイミーを一緒に読んでいきます。

私は、レオ・レオニという作家の絵本を『フレデリック』を通じてはじめて知りました。ずいぶんと遠い昔のことです。

フレデリックはずっと私を支えてくれました。
そのことは以前記事にも書きましたので、読んでいただけたらうれしいです。

そしてフレデリックとともに、スイミーもいつも傍らにいてくれました。

スイミーのストーリーは、実際にレオが目にしたさかなたちの行動から生まれた。レオ一家はマサチューセッツ州のある島に滞在していた。ふと海面を見ていたら、小さなさかながたくさん泳いでいるのが見えた。さかなたちは、ぐるぐると自由に動いていた。ちょっと観察してみようと目をこらして見はじめたとき、突然大きな音がした。すると、小さなさかなたちはある1匹を中心にして集まり、みなで1匹のおおきなさかなの形をつくったかと思うと、一斉に海の底に沈んでいったのだ。

レオ・レオニ希望の絵本をつくる人より

どうしてちいさなさかなスイミーは賢くなったのか。
ひとりだけ黒いスイミーは  おなかをすかせた大きなマグロに 赤い仲間たちが食べられてしまったことで、ひとりぼっちになってしまいます。

スイミーは およいだ、くらい うみの そこを。
こわかった、さびしかった、とても かなしかった。

スイミー

けれど うみには すばらしい ものが いっぱい あった。

孤独なスイミーは海の中で、いろいろな生き物に出会います。ひとりぼっちのスイミーは いっとき、自分が世の中の異分子のような体験もしたかもしれません。自分だけが仲間と違って真っ黒だし。でも、様々なものをよく見る目を持っていました。

SEEとTHINK
見ることと、考えること。

ふたたび 仲間たちと出会ったスイミーは、岩陰にかくれているかれらに呼びかけます。

Let’s go and swim and play and SEE things!
(中略)
Wee must THINK of something.

スイミー原文

SEE とTHINKは大文字で強調されています。

スイミーはかんがえた。いろいろ かんがえた。 うんと かんがえた。


I’ll be the eye.
ぼくが、めに なろう

これはみんなで力を合わせて大きな魚に立ち向かうというお話です。
でも、芸術家になりたかったレオは、はっきりと言っています。


この物語でもっとも大切なところは、「ぼくが目になろう」というところにある。とレオははっきりと語っている。主人公のスイミーは、ほかの小魚とは違う。そんな異分子の「ぼく」が「目になろう」というのである。それは、自分がほかのものとは異なっているとことを認め、自分にしかできない役割を担うという決意表明だ。レオは、人にはそれぞれの個性と役割があること、そして芸術家としてほかの者が見えないものを見ることのできる人間がいることを伝えようとしている。

レオ・レオニ希望の絵本をつくる人より


黒いおさかなは、絵を描く人に似ているとは思わない?この絵本をつくったような絵描きさんに。

小さなスイミーは自分の心のなかに大きなさかなのイメージを持つことができたということである。

レオ・レオニ希望の絵本をつくる人




昨日 私は指にできた奇妙なコブのようなものを調べるためにMRI検査を受けにいきました。
私は閉所恐怖症なので、とてもとても怖くて目に涙が浮かんできました。
でも技師の方があらかじめ用意してくれたオルゴールの音をかすかに聞きながら、ずっと「スイミー」と「フレデリック」のことを思って小一時間の検査を乗り切りました。

絵本の持つ力が、勇気をくれました。
【並べて楽しい絵本の世界】にはそんな絵本処方箋をいっぱい詰め込みたいと思っています。

帰り道、がんばった自分へのご褒美に 新しい「フレデリック」を買ってきました。以前持っていた本は孫の家にあるので。

ここまで読んでいただきありがとうございます。
絵本があなたの勇気にもなりますように。

ぜひ『フレデリック』の記事もお読みください


【絵本 フレデリック】~私に行動させていたのはきみだね|s.suzuki|note






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