【絵本 にんじんのたね】
おとこの子は一言もいいません。芽が出ることを信じて、まいにち、草をとり、水をかけてあげます。「め なんかでっこないよ」って言われるけど・・・
【並べて楽しい絵本の世界】
今は手元にないけど、図書館でみかけて懐かしくて借りてきました。
男の子はにんじんのたねを土に撒き、毎日お世話をします。
みんなは、そんな男の子に
「め なんかでっこないよ」
と、いってくるのですが、おとこのこは 終始無言。
アメリカの古典名作絵本
本当に長く愛されています。その秘密は ひとえにそのシンプルさだと思います。やさしいフォルムの男の子。にんじん色の背景と色数の少なさ。どんなにちいさな子でも、興味を持ってじっと見るでしょう。絵本のとってもすぐれた要素だと思います。
今回、開いてみて なんだか昔読んだ時と、印象がちがうなぁ、あれれ?と思ったので調べみた。
かつて、私の持っていた本は、こちらの旧訳(わたなべ しげお 訳)で、タイトルは「ぼくのにんじん」
なので、ぼく が主人公です。ぼくがたねを植えて、誰に何をいわれても、もくもくとお世話するよ、というかんじの 訳になっていると思います。
「ぼく にんじんのたね まいたんだ」
今、手元にある絵本は
「にんじんのたねをひとつぶ、おとこのこがつちにまきました。」
そして、原文は
A little boy planted a carrot seed.
なんですね。
なあるほど、です。どちらがいいとかの話ではなく、古い記憶がこんな風に自分のクエスチョンになってくるんだねぇ、と言いたかっただけなのですが。
図書館には、どちらの版も置いてあって、さすがだなと思いました。
植物が大好きな長女は、私がベランダにほっぽらかした鉢植えを、お世話して再び花を咲かせたりしていました。
「もうだめだよねぇ」と私が言っても、もくもくとお水をあげたり、陽にあてたりして、翌年にはひとまわり小さな花が咲くなんてことが、よくありました。
そういう私は、相変わらず植物を育てるのがヘタクソです。
長女は嫁ぎ、今は母と暮らす毎日ですが、うちのベランダでは、私がダメにしそうになった鉢を、母が世話しています。
ほんとうは植物が大好きなんです。
でも、じょうずにできません。
やさしいフォルムの男の子が、植物を世話していた幼い長女と重なって、ちょっとしょげた母を少し慰めてくれます。