【トトンぎつね 絵本レビュー】
今江祥智(いまえよしとも)文
植田真 絵
おはなしのたからばこ フェリシモ出版
【並べて楽しい絵本の世界】
忙しかった一日を終えて、ほっとしたい時に、ちょっと不思議で、ちょっと安心できるおとぎ話を宝箱の中にいくつか入れておくと、きっと役にたつのです。
案外人々の心のなかには、そんなおとぎ話が、自分すら気づかないうちに、入っているかもしれません。ちょっとそんな宝箱のことを思いながら、今朝は公園を朝散歩してきました。
おとぎ話って不思議な言葉ですよね。
伽って漢字で書くと、なんか大人の世界になってしまいますね。
小さな子どもは寝る前に、ぐずります。でも、きっと大人も同じなんでしょう。なんとなく意味もなくスマホをながめていたりするのは、もしかしてぐずっているのと同じなのかもしれません。
なので、私は最近、眠る前に自分の中のたからばこから、おとぎ話をとりだしてみることにしています。 そうすることによって自分におやすみなさいの本の読み聞かせをしているような感じです。
「トトンきつね」はもしかしたらもうすでに心の中にある、あなたの宝箱におすすめです。
空には三日月がでています。たくさんの星も輝いています。
ベッドで眠っている、まさこちゃん。
誰かが おもての戸を たたいている音がします。
トトン トトン トトン
おもてには、白いキツネの親子が立っています。
植田真さんの絵は、夜空の描写が魅力的です。
真夜中の空は真っ暗ではなくて、三日月の夜は、ちょうどこんな風に雲が見えます。
キツネの親子は、まさこちゃんのところに、「きょうは、どうもありがとうございました」とお礼を言いに来ました。
動物園で、いたずらっ子から、子ぎつねを守ってあげたから。
首にまけば、えりまきになる
ポンポンすれば、はたき
お庭だってはけます
戸をたたくと、トトントトンと音がしますよ といいます。
トトン トトン トトン・・・
そして、ぽんとシッポを引っこ抜いて、ていねいにお辞儀をするとさっさと帰り始めました!
おかあさん、、シッポいらないの?の心配はいりません。
いただいたシッポはおつきさまのにおいがしましたとさ。
今江祥智さんの処女作『トトンぎつね』は、きっと貴方を心地よい眠りに導いてくれる、すてきなおとぎ話です。
おつきさまのにおいのするような、まくらに顔をうずめて。
お読みいただきありがとうございます。
昨日は深夜、落っこちそうな半月を見ながら帰ってきました。
思わず、どんぶりみたいなお月様に、おっこっちゃうよ!話しかけながら・・・