見出し画像

【絵本 空とぶライオン】

立派ななたてがみを持ち、勇ましい声で空駆けるライオン。
そんなライオンは、しきりに感心する猫たちに頼まれると、疲れて休みたいのに、本当は昼寝が趣味なのに、断ることができない・・・

【並べて楽しい絵本の世界】


それを見ている猫たちの顔・・・
なんだかとても意地悪な笑顔ではないでしょうか。
ほんとうは、ライオンがとても疲れていることも、頼まれたらイヤだと言えない性格であることも、ちゃんと知っていながら、おだてているように見えます。

ねこたちは、まいにち やってきます
疲れたライオンがねているところにやってきて
ぼくの しゅみは ひるねでね。
と言っても、どっと笑い、
りょうりも じょうだんも いちりゅうだね

黄金のライオン

しかたなくライオンも笑い 地面をけってまた空へ・・・でも、

その よ ライオンは「つかれた」といって
さめざめと なきました。

ある ひ、もうライオンは、おきあがれませんでした

ライオンは、きんいろの いしに なって いました

とりかこむ猫たちは目を見開いて、ライオンを見つめています。
自分たちの、してきたことに気づいたでしょうか。
作者はそんな風に描いていると思います。

美しいライオン

ああ、なんて胸が痛いのでしょう。

もし、この絵本を子どもたちに読んであげるなら・・・
おとなの私が読むのなら・・・
そんなことを考えてしまいます。

画像1

佐野さんは、人の目を気にしてばかりで、自分を大切にできずにいる人をちょっと叱ったのかもしれない。

もしかしたら、旦那さんにやさしくできない奥さんを 叱ったのかもしれない

もしかしたら、親をいいように利用するなと 子どもたちを叱ったのかもしれない。

もしかしたら いじめっこにコツンとげんこつをくらわしたのかもしれない。

もしかしたら、それでも家族のためにがんばるよ、という人に
しょうがないよね、といいながら、

優しい言葉をかけることって、ほんとにたいせつだよ
それだけで、人は救われるさ!
って言いたかったのかもしれない。

佐野洋子さんの力強い絵で描かれた、嘘のない絵本です。

こねこがあらわれて、寝ているきんいろの石のライオンに、

きっと つかれたんだ

と言ったとき、ライオンはまた よみがえります。
その ひとこと だけでよかった。

毎日の仕事に疲弊しきっている大人が読んだら、涙ものです。

今日もおつかれさま。

いいなと思ったら応援しよう!

s.suzuki
サポートいただいたお金は本の購入に使わせていただきます。その本は沢山の子どもたちのもとに届くように使わせていただきます。子どもたちへの応援よろしくお願いします。