見出し画像

【絵本 うまれてきた子ども】

うまれたくなかったから うまれなかった 子どもがいた
これが主人公。毎日その辺をうろうろしていた。宇宙の真ん中で、星のあいだを歩き回っていた。

【並べて楽しい絵本の世界】


なぜ うまれたくないかは説明されていない。
彼は熱いも痛いも感じない、生まれてないから 関係ない。

ある日子どもは地球にやってくる
生まれてない状態で。
地球上でも、当然怖くもないし、痒くもない。

この子どもはなんだろう?
佐野洋子ワールドの子どもだ。

関係ないものを じろじろ見るばかり。

犬が一匹やってきて、うまれなかった子どもの匂いをかいで
どこまでもついてくる・・・
ぺロペロなめられても くすぐったくもない
うまれてないんだから かんけいない

ひろばで 犬をつれたおんなの子に出会う。
「こんにちは」
かんけいないから うまれなかった子どもは「こんにちは」なんかいわない。

…………

どうにも同調しにくい主人公なのだ

おんなの子の犬は、不思議なこの子と犬を 不信に思っただろうか?

うまれなかった子どもについてきた犬は、おんなの子の犬とケンカを始める・・・
うまれなかった子どもは、それをじろじろながめていた
かんけいない

うまれなかった子どもとはなんだろう・・・
なにかに違和感を感じながら、生きている人
傷ついた心、深い悩みや 悲しみや寂しさを抱えている人
そんな人の心の中の少年のような気がする。

ときに生まれてなんか来なければよかったと思うことがあり、
自分と世界が切り離されているような感覚になったり、
離人感に絶望するような時間を生きている人がいる。
生きられる時間を、生きることなく無為にすごしてしまう。

うまれたくなかったから うまれなかった 子どもがいた
この設定はそんな人の心を表現したものなのだろうか。

行動を起こすのは 少年についてきた犬だ。
おんなの子の犬とケンカし始めて、女の子にも噛みついてしまう。
おんなの子の犬も、まけじとうまれなかった子どものうでやあしにも噛みつくが、うまれてないから いたくない。

「おかあさーん おかあさーん」と走り出すおんなの子、
飛び出してくるおかあさん。
そして、おかあさんは 犬をおいはらい、おんなの子をきれいにあらって、バンソウコウをはってあげます。

それを見ていた 

うまれなかった子どもは、バンソウコウをペタリと はりたくなった
「バンソウコウ バンソウコウ」と うまれなかった子どもはさけんだ。
うまれなかった 子どもはうまれた
「おかあさーん」

画像1

うまれてきた子どもは、かまれたところが痛い。
おなかもすいた
笑った さけんだ
おかあさんは やわらかくて いいにおい


さて、もうひとつの設定を思いついた。

空の上で生まれる順番を待っている子どもがいて

どのおかあさんのところにうまれようかなと
思っている子がいたとして
うまれたい!と思ってこの子がきた

という読み方もできるのだろうか?

画像2

佐野洋子さんだったら
どっちでもいいよ
好きに読んで。

っていうかもしれない。



サポートいただいたお金は本の購入に使わせていただきます。その本は沢山の子どもたちのもとに届くように使わせていただきます。子どもたちへの応援よろしくお願いします。