【W2】指標による化合物フィルタリング_01_概要
【本パートの目的】
Magattacaさんが日本語訳してくださったTeachOpenCADDのPython版のT2と今回から扱うW2は基本的には目的が一緒ですので引用します。
ChEMBLから取得した化合物 (talktorial 1)をリードライクネスのクライテリアに基づきフィルタリングします。我々のスクリーニングライブラリーから薬らしくない分子を取り除くのが目的です。
• 化合物の生物学的利用可能性(バイオベイラビリティ)に関連するパラメータを計算(リピンスキーのルールオブファイブ)
• ルールオブファイブのクライテリアに基づきChEMBLから集めた化合物をフィルタリング
• レーダーチャート形式でパラメーターをプロット
W2の場合の入力データは
W1で収集し、絞り込んだ化合物リスト(下記記事を参照)
そして出力は
ルールオブファイブ(Ro5)のクライテリアでさらに絞り込んだ化合物リスト
です。
W2で得られる化合物データをその後のW3-7で利用するため、ここでどのような化合物へ絞り込むかが重要です。
またPython版(T2)ではレーダーチャートを実装していましたが、KNIME版W2では
代わりにBox PlotとTable Viewのみで可視化しています(ページのトップ図参照)。
【メタノードの中も見てみよう】
次回以降はKNIMEでどのように実装できるのかを見ていきます。
例によってメタノードは開いて中を見ておきます。
W1よりはかなりシンプルそうですね(慣れてきた)。
Step1: Calculate MW, HBD, HBA, and LogP
Step2: Filter dataset by Lipinski's rule of five
Step3: Visualize dataset properties with box plot
以上の3部構成ですね。
Step3はメタノード内から外に出力しない各種分岐がありますので、Python版とも比較しながらいろいろ見ていけたらと思います。
次回はStep1から始めます。
むしろ本題かも知れないおまけ:
【リードライクネスについて】
リード化合物らしさと訳せばいいでしょうか。
類似の考え方としてドラッグライクネス(薬らしさ)があります。
バーチャルスクリーニングでは、ある化合物が特定のターゲット分子に対して結合し、相互作用するかということを予測することができます。ですが、新しい医薬品を見つけ出すためには、その化合物がターゲット分子に到達し、最終的には体内から好ましい経路で取り除かれることが重要です。したがって、化合物が実際に体の中に取り込まれ、ターゲット分子に到達するためのて特定のバリアーを通過することができるかということも考慮しなければいけません。
先述のMagattacaさんの記事には
理論
• ADME - 吸収: absorption, 分布: distribution, 代謝: metabolism and 排出: excretion
• リードライクネスとリピンスキーのルールオブファイブ
が丁寧に記載されています。全てを引用するのはさすがにはばかられるので、各自の興味に沿って一読いただけたらと思います。
そして、もう一つ、ぜひともお勧めしたいのが、y__samaの遺された
「Druglikenessについてのよもやま話」です。私個人は折に触れ何度も読み返してきました。
薬らしさを指標で評価するためにRO5を選ぶ際の限界や心がけ、そして創薬化学分野で20年以上議論や検討が続けられてきたより適切な薬らしさの評価方法への模索を知ることができます。
あえて引用はしません。全てを掲載したくなります。
後世にも伝えたいので紹介させていただきました。