「タイトル未定」に出会った夏のこと
こんにちは。あけましておめでとうございます。はじめまして。
自分はライブが好き、アニメが好き、声優が好き、お顔が好き、というのが高じて2016年辺りから声優現場に通うことが生活の一部になっています。
2023年もそれは変わらずだったのですが、夏に「タイトル未定」という北海道を拠点とした4人組アイドルグループに出会ってから、また今までとは違う体験をしました。
その体験をまとめるために今回筆を執っています。
※短くまとめようにもまとまらないので、気になるとこだけ読んでください↓
1.出会い
「タイトル未定」というアイドルグループの存在は、名前だけは知ってました。奇をてらった名前のグループがいるんだなあ程度。それ以上の情報はまったく知らない。
初めて出会ったのは2023/8/6のTIF スマイルガーデンステージのときです。
その日は、アイドルマスターシャイニーカラーズのSHHisというユニットが出演するということで、このユニットに大層熱を上げていた自分は、なら行くしかないとこれ1本(と芹澤優ちゃん)目当てで昼過ぎにお台場に向かったのでした。
会場は酷暑。野外ステージゆえに日差しが照りつけており、熱中症になりかけるも、少しでも前で観たいとの思いから3、4時間立ちっぱ。そのうち雨まで降り始め、やがて土砂降りになり、雷まで鳴りだしました。
雷鳴が轟いたところで、避難指示が出され、この次に出るはずだったSHHisのステージはあえなく中止となりました。
このステージしか出番がなかったため、彼女らのパフォーマンスを見ることはかなわず、理不尽とスタッフの態度への憤りと、悲しみと、疲労とでしばらく会場外で意気消沈していました。
散々Twitterでキレ散らかしてましたね。あとはヤニ吸って、濡れて潰れたおにぎりをもさもさ食って、ベンチでうなだれていました。さっきとは嘘のように晴れ渡った空でライブをするアイドルの歌なんか聴きたくもなかった。
1,2時間うなだれたあと、これで帰るのも後味悪すぎたし、最後に芹澤優ちゃんのステージだけ観て、いくらか取り返してから帰ろうと思って、再度スマイルガーデンへ。
Appare!あたりから見始めてました。
そこでタイトル未定のステージを初めてみることに。
そういや誰かがアイドルマスターシャイニーカラーズのノクチルというユニットと似てるとか言うてたし、どんなもんやろという興味はありました。
(4人組・青春という要素は似通っていて親和性はあるけど似て非なる、とこだと思う。両方知ってたらニヤリとはできる程度)
最初「踏切」から始まって、ああなんか他の湧き系のアイドルと違ってゆったりして心地よい音楽ね、好きだわとなり。
2曲目の「薄明光線」でガツンと頭を殴られたような衝撃。というか、歌詞や曲調は厳密には異なるものの、自分があの日抱えていたやってらんない気持ちや、燻ってる暴力性みたいなものに寄り添って、代わりにガラスを割ってくれたのがこの曲なんですよ。
3曲目「鼓動」では強制的に歌わされて知らないままに声を上げて、それが開放的で心地よくて、
ラストの「灯火」では優しく包み込まれるような感触、それでいて、2Aの冨樫優花のラップに入るとこ、静と動が切り替わる瞬間の肩の入れ方、その躍動が、2曲目のときと同じく、発散せずにはいられない衝動みたいなものを肩代わりしてくれた気がしたんですね。
とても、とても良かった。
大袈裟でなく、救われた気がした。
そんなわけで、出会い方は特殊だったが、楽曲とパフォーマンスに惹かれて、早速都内で開催される直近のイベントをチェックし、そのままズブズブ通うことになるのでした。
2.アイドル現場のこと
というわけで、TIFから10日ほど後、8/18の渋谷タワレコのリリイベを皮切りに、彼女らが東京遠征する現場はなるべく行くようにしました。
そこでまず面白かったのが、声優さんを推しているときとの違いですね。
元々自分はi☆Risという、声優とアイドルのあいの子みたいなグループを追っかけており、ライブやリリイベ、特典会(握手会・チェキ会・サイン会等)に通っていたのもあって、ある程度はその作法が流用できました。
ただ、違うところもやはりあって。
①写真撮影可
基本どのライブ行っても静止画撮影可能になっており、ごっついカメラを持ったカメコが何人もいます。
声優現場でも今でこそライブ中一曲とかは撮影可になることがあり得るのですが、ここまで全編撮影可な現場は初めてでした。
自分は撮影がド下手です。前の方から撮ってみてもまーあうまくいかない。
機材もiPhoneしかなく、機能も撮り方も知らんので、ボッケボケ画質でしかカメラロールに残らない。。
撮れたものを見返してみても、とてもじゃないけどSNSにあげられるようなお顔じゃなくて、ぐぬぬ……となることしばしば。
元々ライブ中は全身動かして全身で曲聴け派閥のひとなので、カメラ構えている暇はないっちゃないんですよ。撮影可だけどいい写真は腕のいいオタクが撮って上げるんで、それでもいい。
ただまあ、いつかは写真を覚えなければいけないかなあ、オタクやる上でも、普通の人生を楽しく歩む上でも、、とは思っているので、この機に重い腰を、そろそろあげようかなあ。。となっています。バチクソに安くて人物を撮るのに適したカメラありませんかね。。
②特典券
これ地味に戸惑ったよ。。
声優さんだと、たいていCDリリースきっかけで、CD1枚購入につき1接近が得られるシステムなんですよね(あるいは、イベントチケットに付随したお見送りとか)。
どんなに接近目当てでしかなくても特典券を得るために円盤なりイベチケなり、なんかしら現物を買っていた。
だが、タイトル未定(および類似のアイドルグループ)のライブ・対バン・イベントには必ず特典会が付随しており、それに参加するにはCD等ではなく1枚1500円の特典券(チェキ券)を購入する必要がある、と。
これライブアイドル界隈では何を今更な、言わずもがなな仕来りだとは思うのですが、最初物販並ぶまでマジで何を売ってて、何が買えるのか、何で決済できるのか全然わからんかった。できれば公式サイトとかに記載しておいてほしい。。
特典券は現金・PayPay・クレカで購入できるのですが、PayPayでいざ購入しようとしたら隣にある全然別のQRコードに反応し続けて一生特典券買えないときもあったな。。(そのときは結局現金払いにしました)
あのときは焦った。
まあほかにも、接近時間の違いとか、レギュの緩さとか、メンバーにTwitterでリプしたら基本いいねしてくれるとか色々違いはあるんですが、毎度発見と驚きと、興味深さがありましたね。
地味に対バンで複数のグループが同じ会場内で特典会やるのとか初めてでしたもんね。こんな狭いとこでチェキ撮るんだ!とか。アイドル現場の常識にいちいち驚いてた。
あとは持ち時間中一生曲やってんなーとか。対バンだと(未定に限らず)持ち時間のうちでMCを最後にしかやらない。MCのどうでもいいトークで5分費やすぐらいなら1曲でも多くやれってのは声優現場で常に思ってるけど、こっちは既にその極北って感じですね。や、それで何グループも十何曲とぶっ通しで聴かされてると、たまには普通にMC入れるグループがいてもいいかなと思うっすけど。
3.メンバーのこと
タイトル未定に所属する、4人の個性的なメンバーについて語らせてください。
語らせて言うたかて、まだ半年も経ってない程度の付き合いなので、多分に印象や憶測が含まれていますが。
冨樫優花
「タイトル未定の歌姫」というキャッチフレーズにもある通り、昭和歌謡を好む彼女の歌唱は、他のアイドルや歌い手とは明らかに違う響きと表現力をもっています。ダンスも憑依系というか、そんな言葉で説明した気にはなりたくないのですが、表情・指先まで研ぎ澄まされていて、こんな表現力の女の子がこんなところにいたのか!という驚きでいっぱいです。
対バンで登場したときの第一声は彼女が務めることが多く、「北海道からやってきました、タイトル未定です」と静かに凛として宣言する様は、グループのカラーそのものを背負っている貫禄すら伺えます。
また、TwitterでときたまUPするカバー動画を見ればわかるように、特定のジャンルに限らない歌いまわしの技術や、造詣の深さをもっていて、本当に歌を愛して育ってきたんだなと思わされます。
そんなに上手いんならアイドルじゃなくても、アーティストでもシンガーソングライターでもいいじゃん、と一瞬思うのですが、彼女は間違いなくアイドルです。
ライブ中にとびきりかわいい笑顔でレスを送るとき、その身をしなやかに躍らせるとき、特典会で初々しくも仲睦まじくお話させていただくとき、彼女はとびきりのアイドルだな、って感じるのです。
トークがどこか、いつまでもこなれないというか、初々しさが残っているところ、そうしたいい意味での”隙”のようなところも、彼女が志向する昭和のアイドルのようでもあり、そのまま「タイトル未定」を表しているかのようです。
阿部葉菜
グループの屋台骨のような人。
冨樫優花さんがグループのアイコンのような存在であるならば、彼女はパフォーマンスや言葉で堅実にクオリティを担保してくれる支柱。
MCや歌唱もしっかりしていますが、ステージ上にとどまらず、Twitter・noteで彼女が紡ぐ言葉は、説得力があり、強度があり、つい語りたくなるものばかりです。
唯一埼玉から北海道に移住してきて、アイドルをやることに並々ならぬ情熱を持っている人です。自覚的にアイドルを選んで生きている人なので、アイドルに対して自分なりの哲学のようなものを持っています。
歌唱力の高さは折り紙付きで、冨樫のそれとはまた違う、力強くて明るい、芯のある歌を響かせてくれます。最初にみたTIFの「薄明光線」で、彼女が「どうせ」と叫んだところから、このグループを観る目が変わりました。
お話し好きで、特典会でお喋りするのが楽しいです。出逢ってからさほど経っていないのに、仲いい友達とひとしきり盛り上がったような充実感があります。
谷乃愛
好きです。
TIFで始めて観てから、とりあえずメンバーのTwitterをフォローしたんですよ。
毎日精力的に自撮りをUPして、オタクのリプに光速でいいねを返すのが彼女。可愛さにあぐらをかかずに実直に王道アイドルをやってる人。
自分、谷さんのお顔もどタイプで好きなんですけど、それ以上に、そういうオタクを手玉に取るというか、オタクのことを理解して、寄り添っていくタイプに惹かれがち。これは未定さんに限らずいろんな方面の推しに共通してるとこですが。
そういうわけで、フォローして1日2日で「あ、こういうタイプか、好き」となって毎日リプして。。現地で会って顔覚えてもらって。以来楽しいオタクライフをともに過ごさせてもらっています。
ただ、彼女のよさはオタクを釣るところだけじゃなくて。
異常に自分に自信がないけど、ひたむきに歌や表現に打ち込むところ。
涙もろいところ。
単に音が取れてるとかパワーがあるとか以上に、感情を乗せるのが上手な歌声。
なんていうんだろう、彼女の歌は、単純に喉が強い、お腹が強い声じゃないんですよ。ホースを途中で締めた状態で出てくる激しい水流のような、ある制限のなかで絞り出しているような歌唱が、切実さを表す歌になって心を打つ。
4者4様で全く別の魅力ある歌唱が聴けるのもタイトル未定の大きな魅力だと思います。それぞれの声が埋もれないんですよね。混ざり合いはするけど埋もれない。
つらつら書いてても彼女の魅力のいくらかも伝えきれていないような気がするのですが、パフォーマンスを見て、特典会や日々のSNSなどを見続けるに、自分にとって一緒にいてとても心地良い女性なんですよね。好感が持てる。気が合う。アイドル。
川本空
初めて出会ったタイプ。
声が高くて、ふわふわしていて、不思議ちゃんとか天然とか言い表せそうなキャラクター。
まあその印象は別に偽りではなくて、お話するとほわほわ、毎回癒やされてニヤけながら帰るんですが。
でもそれ一辺倒ではなく、むしろメンバーの中でも唯一の現役大学生で常識人だし、たまに鋭くツッコむこともあり、ラジオではパーソナリティとしてコーナーを回すこともあって、しっかり者のイメージがあります。
お歌も、その声質自体が武器なので、感情を過度に載せなくても歌自体で成立しちゃう強さがあります。
ただ「薄明光線」の”もしかしたら自分はきっと特別な存在なんじゃないかって”という台詞や、「最適解」の女の子の芝居などもさらっとこなせるのがすごいところです。
また、最近では前以上に情感を込めて歌ってるな~と思うこともしばしば。
曲中の表情も大人になっていて、「かわいい~」から「美しい。。」て思うことが増えました。
日が空いて現場で観るたびに、魅せ方を日々研究しているな……と思わされます。
稀にゲーム実況配信をしており、アイドルの一面とFPSに真剣な面のギャップもまた面白いです。
4.楽曲の良さ
タイトル未定の何に惹かれたってやはり曲の良さですよね。
本当に、メロディーも歌詞も、真っ当にレベルが高いので、もっと広く知られるべきだし、もっと多くの人に親しんでほしい。
特に最近は、久しぶりに楽曲の歌詞を読むのが楽しいんです。
表現や、比喩が、とても気持ちいいので。
楽曲はあえてミディアム曲を志向して作っているとのことで、アイドル曲というか、普通に上質なJ-POPという印象の曲が多めです。
MIX家虎もほぼ入らないかな。クラップとか「〇〇ちゃーん!」と名前を呼ぶコールがほとんど。グループのカラーとかコロナ禍はじまりとかってのが関係しているのかしら。
正直、今発表されている26曲全て神曲なので、全曲語りたいところではありますが、抜粋して数曲だけ。
青春群像
デビューから1年後に発表されたアルバムタイトル曲であり、タイトル未定を象徴する1曲です。
2023年はUSENでもたくさん流れてて、普通にお昼に入ったお店で流れて同僚に「これこれ!」って騒いだことも。
泣けるメロディと、それでいて楽しいリズムで万人に好かれやすい一曲かなと思います。
”青春””群像”という、タイトル未定と切っても切れないような単語の表題をのせて、エモも高まりも全て受け入れるスケールの広さがあります。
声優でもアイドルでもアーティストでも、こういう1曲がないとね。。
2サビ後のCメロ(便宜上)では、それまでに発表された楽曲タイトルが歌詞に散りばめられており、その時点の集大成的な趣もあってエモいです。
個人的には、落ちサビで冨樫優花と阿部葉菜がピアノをバックに歌い上げたあとの大サビ、そのクライマックスで歌唱を支える谷乃愛さんの芯の強い歌声が好きです。
溺れる
タイトル未定は全体的には穏やかで綺麗な楽曲多めではあるものの、ときには青春のナイフのような衝動を激しく歌う曲もあって。先述の「薄明光線」もそうだし本曲もそれ。
ソロで歌い回すダウナーなAメロからはじまって、Bメロ「ただ感情を(殺して)」「自分を(騙して)」と追いかけるように声を重ねることでクールに温度を上げて行って、サビで爆発する。そこがめっちゃすきです。
ライブではラスサビで冨樫優花が「中途半端な」を吐き捨てるようながなりで歌い上げるんですけど、そこも毎回聴いてて気持ちいい。めっちゃ多動して聴いています。
花
個人的スルメ曲。
最初は2023年にはじめて全国リリースされたシングル という印象しかあまり持ってなかったんですけど、タイトル未定第2章、というコンセプトが歌詞でもMVでも表現されていて最近改めて良さを再発見。
歌詞も「あたらしい季節」と歌い、始まりを予感させる曲。
サビの「いつか君に 届くように いまはまだ名もない花」というのはそのまま「タイトル未定」のことでしょう。
MVもメンバーの阿部葉菜が他のメンバーと一人ひとり出逢って、ともに夢へと目指すストーリーになっていて。
これ面白いのが、MVのストーリーって偽史なんですよ。MVでは最初に阿部葉菜が川本空を見つけて、それから谷乃愛、冨樫優花を誘ってグループが結成されるんですけど、これは順序がおかしい。
実際は川本空は2022年加入の一番新しいメンバーだし、谷乃愛も2021年から。デビュー当初は阿部・冨樫を含めた別の4人組グループだった。
ある種仕切り直しというか、全国リリースを前提に、改めて今のメンバーを紹介するような素敵なMV。
とはいえ、すべてをリセットしたとも言い切れなくて、歌詞には「君と約束した場所」「あの日の決心」「遠回りもしてきたね 涙だって覚えている」等、確かにその前に走り続けていた道程が示唆される表現もあり。
これまでの歩みを置いてけぼりにもしていない、優れた歌だと思います。
5.おわりに
とりあえずここまで、タイトル未定の好きを書きなぐってみましたが、いかがでしたでしょうか。
既にタイトル未定を知っている人。
このにわかかがよ!という感想は全くそのとおりだと思います。ただ、自分の言葉で拙くともいまの感触を捉えておきたかった。結局まとめきれずに息切れしていますが……。また息整ったらなにか書くかもしれない。
いまタイトル未定を知った人。
なにやってるんですか!こんな文章読んでないでYouTubeをみろ!サブスクを聴け!現場に行け!
都内でもしょっちゅう対バンやってるし、5月にはZepp Divericityでワンマンもあるぞ!行け行け行け行けZepp埋めっぞ!
毎週ラジオもやってるぞ!4人の仲良さげで少しボケなトークが聴けるぞ(北海道ローカルだけどエリアフリー登録すれば全国でも聴けるぞ。。)
WEBで連載も読めるぞ!コラムと写真が月4で更新されるぞ(道新スポーツのWEBに課金すれば全部読めるぞ。。)
……まあ、道外在住なので課金するのためらう民は手始めに、メンバーと公式のTwitterをフォローしてみましょう。楽しいよ。
さて、ぼくは2023年の年末、谷乃愛さんのバースデーライブに参加するために、ついに札幌の地に足を踏み入れました。
主戦場は声優現場だし、かるーく好きになってみようかな、顔だしてみようかなと思ってイベ行き始めて1年も経たずにこれ。
やっちまったなと思わないでもないですが、札幌のハコは小さくて暖かくて、素敵でした。彼女らのホームの空気を吸えてよかった。
今回は年末だし、宿代高いし、、と思って日帰りをキメたわけですが、これ大失敗。
朝イチ新千歳入ってスグ移動して12時からライブハウス入って、ライブ本編と特典会で16時頃まで居座ったらあと何もやる時間ないなった。
トリトンも入れてないしラーメン食う暇もなかったね。
海鮮丼とソフトクリームは空港で食べたけども。うまかったわ。。
タイトル未定を楽しむにとどまらず、北海道を堪能する意味でも、次回はもうちっとじっくり過ごしたいところです。次回あるのか!?
(弊社へ。北海道への出張、全部受けます。ほんとに)
以上です。