エッセイⅢ“おんなじ”
彼女と僕のおんなじところ、いち。
臆病なところ。
彼女と僕のおんなじところ、に。
大好きをたくさん持っていること。
彼女と僕のおんなじところ、さん。
相手に向き合えること。
彼女と僕の違うところ、たくさん。
もしかしたら
それ以外は
もう全然違うのかもしれなかった。
彼女がよく聞いてくる言葉がある。
「嫌いになった?」
僕は彼女がどうしてそんな質問をするのかわからない。
「気持ちが変わるのが一瞬だからだよ」
そんな時、彼女はそう言って少しだけ寂しそうな顔をする。
こないだは、僕も彼女にこう言った。
「一生変わらない気持ちもあるよ」
彼女は、『先のことなんてわからないくせに』
とでも言いたげな顔をしていたが
「絶対に?」
と言ってきたので
「絶対に」
と返す。
「変わらないんだね」
「変わらないよ」
「私も変わらない」
それから彼女はくしゃっと笑って
「おんなじだね」
って嬉しそうに言った。
やっぱり僕達はおんなじみたいだった。
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