-3日
手術まであと3日。あっという間の1ヶ月間だった。
ここ数日間、自分の中にある想い。それは、患者さんに生きてほしいということ。
もしもプレゼントする骨髄と患者さんの身体が合わなかったら。何か拒否反応を起こしてしまったら。もしも私の骨髄に不具合があったら。
もちろんここ2ヶ月間ほどは、これまでにないくらい健康的な食事を意識した(頑張った)し、いろんな方からサポートをいただいて応援してもらって調整してもらって、生活してきた。
病院の先生からだめだよって言われたこともちゃんと守った(特に問題ないだろうと思っていたけど、実は地味に辛かった)。両親含め、周りの人も体調を頻繁に気にしてくださって、その心遣いに本当に感謝しかなかった。
それでも「もしも」を考えてしまう。でも、移植が終わっても、何も分からない。移植手術が成功したのか、患者さんは無事なのか。私には何も知らされない。無事だと知ることができたら、心から嬉しい。想像するだけでも泣きそうになる。きっと一生忘れない喜びだと思う。
でも、もしもその逆がおとずれたとしたら。それこそ一生忘れることのない記憶になるはずだし、きっと一生自分を責めると思う。術前の自分に後悔すると思う。最後のチャンスとして私に希望をかけてくれていたのにそれに応えられなかった責任を重たく受け止めると思うし、もしかすると受け止めきれないかもしれない。
逆がおとずれてしまったときを考えるだけで胸がぎゅっとする。苦しい。どうか、どうか生きていてほしい。
患者さんの住んでいる地域、年齢(世代)、性別はすでに教えてもらっている。なんだろうね、相手のことを知れば知るほど相手への想いが膨らむし、感情移入がより深まる。
1ヶ月前に患者さんの年齢と性別を聞いたとき、相手への想いも変わった。「私とHLA型が一致した患者さん」ではなくて、もっと具体的な相手になった。だからこそ生きてほしい、これからの人生が幸せであるように心から祈りたい。
今、患者さんはすごく頑張ってる。移植前処置が本格化し、準備を進めている。その頑張りにも、期待にも、ちゃんと応えたい。
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ちょっと暗くなってしまったから、個人的ににやける話を挟んでみる。
術前3日ということで、柔らかい座椅子のようなものをオーダーした。ローテーブルを使っているからこれまでは床にそのまま座っていた。でも術後はどれくらい早く回復するかわからないし、傷跡も早くは塞がらない。お風呂に入る時も、傷跡に防水テープを貼らなきゃいけないらしい…大変そう。腰に負担をかけたくないから、ちょっとでも身体にやさしいもの、そして次に引っ越す時にお荷物になりすぎないものを選びたいなと思った。結果、座り心地は最高。しかも丸っこくて包まれてる感じがあるから落ち着く。座っていると眠くなる感じもとても心地よい笑。
そして、座椅子をオーダーすると同時に、1日だけのポイントカラー用着色料もぽちっと。色はもちろん緑色(実際はオリーブカーキ)。高1の冬に初めてカラーをして、その時の色がオリーブグリーンだったのがもはや懐かしい思い出。そんなお年頃の時もあったな。
とにもかくにも、みどり最高。ラメが入っているのもまた可愛くて好き。これつけて外を歩いたらキラキラするんだろうな…わくわく。早くお散歩して、太陽の下でどう発色するのか見てみたい。いい感じに発色したら、次は青か赤にしようかな。ふふふ。
やりたいこと、食べたいもの、たくさんあるなぁ。未来を考えてにやにやできるの、めちゃ幸せ。
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さて、ちょっと話を戻す。
今回ドナーになったことで、これまで持たなかった感情を経験することができた。
予め動けなさそうな時期を周りの人に伝えておいて、ちゃんと引き継ぎを行っておくことの大変さを学んだ。引継ぎ資料を作るのは少し大変だったけど、後々やらなければいけなかったことを前倒しに行っただけなのでラッキーだったのかも。
これから1週間、周りの人にはたくさんの迷惑をかけると思う。本当に申し訳ない…。でも引き受けるよって言ってくださった多くの方々には感謝でいっぱいです。しっかりと感謝を行動で伝えられるように、退院後もがんばろ。
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手術の前日から入院することになっているから、入院前にやらなきゃいけないこと、やった方がいいことをまとめてみる。
部屋の片付け。荷物まとめ。いろんな人への連絡。食事と睡眠。体温の測定。ストレスをためない。
ストレスをためないのめっちゃ大事。昨晩37.2の熱があって、37.0を超えることなんて滅多にないからかなり不安になったけど、翌朝には36.2まで下がっていたから多分違ったのだと思う。昔から無意識のうちにストレスを感じると発熱する傾向があるから、それかな、と。やるべきことはしっかりとやりつつも、しっかりと気分転換してストレスとばいばいしよ。
「。」