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+41日|顔も見えない、名前もわからない、そんな誰かを想うとき

2020年、ドナーとして骨髄採取の手術を受けました。
下書きにずっと眠っていた文章を久しぶりに読み直したすえ、やっぱり公開したいと思い立ち今にいたります。
ドナー登録に迷っている人の背中をそっと押せるような存在になれたら嬉しいです。

手術から41日。
だいぶ期間が空いてしまった、、、。
術後検診も終わり、ヘモグロビン値も落ち着いてきた。
いつもの、普段の、日常。

道路を歩くとき、渡るとき。
ご飯を食べるとき、ご飯を買うとき。
人とお出かけする予定を立てるとき、実際に遊んでるとき。

何をするにも、必ず患者さんのことが頭の中心にあった。

患者さんが待ってるから、今事故に遭うわけにいかない。
患者さんが待ってるから、不健康な生活をするわけにはいかない。
患者さんが待ってるから、自分勝手に行動するわけにいかない。

県外への外出は禁止、県外に滞在していた人との接触も控える。
毎日鉄剤をとって、身体に良いものを食べる。
睡眠もしっかり。

全部、「患者さんが待ってたから」。

けど、今、退院して手術も終えてみて思うこと。
「患者さんはもう待ってない」。

これしちゃいいけない、あれしちゃいけない。
そんな制限から解放された生活。

常に患者さんというもう一つの命を意識して生活していたからこそ、
なんだかすごく寂しい。

今どうしているかな、元気にされているかな。
ちょっと気になるけど、本当は実際にお会いして見たいけど。
ぐっと堪えて。

顔の見えない、お名前もわからない。
そんな患者さんのことをこれからも覚え応援し続けたいなって。

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