20240706 しきちゃん
しきちゃん。
小学校の同級生、しきちゃん(仮名)
休み時間になると男の子たちと外に飛び出してサッカーをしていたような女の子だった。
同性の友達はあまりいなかったように思う。
なんとも小賢しく、先生に反抗的だった。
気に入らないことがあったら泣きながら屁理屈をこねて「そんな大人最低ですね!」と言いたいことを言いまくり、対応していた当時の担任の、まさに苦虫を噛み潰したような顔が記憶に残っている。
しきちゃんは私にとって、ちょっと嫌な奴だった。
私をデブだとバカにしてきたからだ。
「アメリカンホームダイエット」と私に対して繰り返し発言するなど、腐し方が独特であった。
(アメリカンホーム保険のCMで耳にしたのであろう「アメリカンホームダイレクト」というフレーズをダイエットと履き違えていたと思われる)
当時それがちょっと可愛く思えていて、逐一「あれはダイレクトと言っているんだよ」と訂正していた。
しきちゃんは、嫌な奴ではあるけれども、たいていが陰湿ではない嫌さだった。バカにはしてくるが、ふつうの会話もたまにする。けれど一緒には遊ばない。私のことを無視するとか周囲を巻き込んで徹底的にいじめるとか、そういうことは一切ない、子供にしては不思議な関係性だった。
言いたいことを言いたいときに遠慮なく言うがそれを言ったことによって、周囲が自身をどう評価するかなど、みじんも気にしていなかったしきちゃん。
ある意味、それが羨ましくもあった。
人間性は正直敬えたものではないが、私が持てないものを持っていた。
外で走り回る活発さ、隠さない反抗心、何者にも臆さない態度。
わりと大人の顔色を伺いながら「いい子でいないとダメだ」と、ある種の呪縛のようなものにとらわれていたタイプだった子供の私にとって、しきちゃんは鮮烈に見えた。
受験をし、私立中学へと進学したしきちゃん。 私は小学校を卒業してから彼女がどこで何をしているのか一切知らない。
成人式の後の同窓会にも来ていなかった。(別の話にはなるが、私はこの会をもって、生涯同窓会に参加することはないと心に誓った。)
まぁそれでいい。今後きっと会うこともないだろう。
何故こんなことを書き始めたかというと、しきちゃんが昨夜夢に登場したからである。
本当に意味がわからない。ここ最近で彼女のことを考えたことなど、全くもってない。
大人になった現在の私としきちゃん(顔は小学生の頃のまま)が並んでおり、私がしきちゃんの肩を組んで「本当はしきちゃんと友達になりたかった」と言うだけの、ワンシーンの夢だった。
それに対してしきちゃんが、どう返事したか、どんな顔をしたかなどは全く覚えていない。
目覚めたあとも意味がわからなかった。
友達になりたいと別に思ってもいないし、現時点で仲良くない人の肩を組むとか、ありえない。
夢での自分は往々にして自分じゃないみたいで、変なの!と思う。
だけど、どうだろう。
正直どんな大人になっているのかは、気になるところではある。
しきちゃん。
別に会いたくないし、幸せに過ごしてほしいと祈るほどの仲じゃないけれど。
なんか、そのままで生きていればいいのに。