20220827 / 不埒な様相
いつもより広くなった部屋の中から外の景色を拝めば、どっかの誰かとは相対的に、勇敢に見えた空が、蒸し暑いアスファルトの駐車場と対峙しているようだった。
身軽になったカーテンレールも。床に転がるエアコンのスイッチも。去るものを引き止めてくれなどはせず。
真っ黒になった換気扇と、うす暗い水場に別れを告げようとしたが、やけに荷物が重いのだ。
あなたは考えすぎだから、見えないものしか見えないの。
そんな声が聞こえた気がした。
鍵穴を回す音が気持ちよかった。そのまま勢いにまかせて、鍵をポストに放り込んだ。
ぼろぼろになったガードレールを飛び越え、川が、散っていった落ち葉どもを運ぶが、今日は流れる水が足りていないようで。
詰まってはそれを避けてを繰り返し、それを駆けるように蝶が舞って、不埒な様相がそこにはあって。
ただ、痛ましい。
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