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20220827 / 不埒な様相

いつもより広くなった部屋の中から外の景色を拝めば、どっかの誰かとは相対的に、勇敢に見えた空が、蒸し暑いアスファルトの駐車場と対峙しているようだった。 身軽になったカーテンレールも。床に転がるエアコンのスイッチも。去るものを引き止めてくれなどはせず。 真っ黒になった換気扇と、うす暗い水場に別れを告げようとしたが、やけに荷物が重いのだ。 あなたは考えすぎだから、見えないものしか見えないの。 そんな声が聞こえた気がした。 鍵穴を回す音が気持ちよかった。そのまま勢いにまかせて、鍵

20220101 / 追慕、受胎。

疾うに沈んだ夕日の残響が、黄昏に反射して照らす紅色の惨禍。今日も今日とて、僕は何も成せずして過ぎ去った今日に置いていかれる。 護岸ブロックに染み出した影が、僕を見限ってコンクリートの壁の向こう側へと歩き出した。残された僕は辛くなる前に、そいつのことを見限って返す。川に不法投棄された自転車を見て、途端に、信じることと期待しないことの違いが分からなくなる。 僕が僕であるということを、いくら僕が理解しているとしても、君が誰だか分からないと言われれば、それを説明するのは難しい。愛