20230108 / 白線から飛び出したときの胸の苦しさを,もう何年も感じていない気がする.
それは,夜も更けた冬の,冷たく重い寒空の下で.
月明かりに見つめられながら僕は,誰が決めたわけでもないのに,落ちたら負けだと思いながら,ぼんやりと照らされた白線の上を辿った.
総じて,道は自分が行きたい場所には続いていないから,いっそ負けでもいいやって,線の上から飛び出したときの胸の苦しさを,もう何年も感じていない気がする.
帰るべき家は,途切れた白線の向こう側.いつかのように飛び出そうとしたその時,どこからともなく現れた幽霊が,僕の手をそっと引いた.
どこか僕の姿に