【その後3】安易な「がんばれ」が心を壊す、精神疾患の患者とのベターな接し方は…?
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「精神病院に強制入院、その後…について」
退院してからの妻は、少し気分が落ち気味。
入院中は「暇でヤダ!仕事したい!」という感じだったが、いざ退院してみると調子が良いワケではないので、思い通りに行かない。
また、別マガジン「児童相談所に、子供を一時保護してもらった話」でも書いているように、長男が児童相談所に一時保護になっているような状況でもあるので、パーっと遊びに行こうか!という気持ちにもなれない。
▲最近の妻は落ち込み気味。傷つきやすい。
そんな中で、妻との会話に気を使う。
というのも、僕が下手なことを言って傷つけてしまったり、凹んでしまうような事態もちょくちょく起きてしまってるから。
よく、うつ病の人に「がんばれ!」はNGワードみたいな話があるが、実際、精神疾患にかかった人に対して使う言葉は選んだほうがいいと感じる。(そもそも、誰と接する時も言葉は選んだほうがいいけど)
僕も「がんばれ」という言葉は好きではない。
だってみんな頑張ってるもん。すでに頑張ってる人に頑張れって残酷すぎるだろ。かと言って、頑張りたくない人に頑張れって言っても頑張りたくないんだからそっとしといたら、て思う。
▲がんばれって言葉はムズカシー…
だから、人にがんばれと言われる時は気持ちだけ受け取る。けど自分では絶対言わない。似たようなことを言う時は「●●できたんだね、すごいと感じたよ」といった感じに感想を言うようにしてる。むずかしいなぁ。
妻の治療・生活を通して、NGと感じた言葉はこんな感じ。
(1)あの子はビョーキ、あの子はおかしい
僕も言われて辛かった言葉。妻は、産褥期精神病と診断されて、素人目に見ても調子が悪かった。しかし、「あなた、ビョーキ」と言われたら気分が良いワケがない。患者も家族も追い詰められるように感じた。
(2)きっと治るから、良くなるから
妻が、入院中に姉から言われて、一瞬で冷めた目線になった時の言葉。病識ない人からすると「何が治るの?病気扱いされてるんだ…」と感じるんだと予想。
(3)見放す系の言葉
調子が悪い時の妻と喧嘩になった際、何度か言ってしまった。「もう好きにすればいいじゃん」「そんなに嫌なら出ていきなよ」「君の言うことは誰にも理解されないでしょ」今見ても本当に酷い言葉。
精神疾患になった人の妄想めいた発言は、周囲から拒絶されがち。1つ1つの拒絶のサインは小さくても累積して大きなダメージを受けているように感じる。そういった状態のところに僕のように酷い言葉をぶつけるのはキツイ。本当に良くなかったと深く反省している。
このあたりはNGワードなので避けながら会話をしている。どうするのがベターなのか…?は正直わからない。自分も疲れすぎないように気を付けながら、調子を見て言いたいことを言うようにしている。
近しい人が精神疾患になってしまった人は、早めにどこかに相談できる場所を作るのが超大事だと思う。
精神的に調子の悪い状態の人と接し続けるのは、家族や周りの人にとってめちゃくちゃ負担が大きいし、治療まで時間がかかると確実に精神疾患は悪化して、僕のように地獄を見ることになる。
家族・友人・知人に話しづらいような場合は、病院や公的機関がオススメ。精神科では家族相談も受け付けてくれるところもあるし、警察の生活安全課や保健所なども相談に乗ってくれる。我が家の場合は、子供家庭支援センターも頼りになった。
▲テレビであきらかに治療が必要そうな人を見かけることもある。
テレビのバラエティを見ると、治療が必要そうな妄想を抱えてる人が街角インタビューに『面白い人』として登場するのも見かける。妄想めいた発言はひと時なら面白いかもしれないが、それが本人も気づかないうちに不幸にしていたり、周囲の負担になっていることは多いと思う。
精神疾患の本人や家族と接するのは簡単ではない。
だから「自分の手には負えない」「今は余裕ないなぁ」と感じる場合は、中途半端に何かをするよりも、完全に関わらないスタンスを取るのも1つの優しさなのかもしれない。
万人に通用するような正解はないし、本当に難しいなぁ…でも、寄り添う気持ち、見守る気持ちを持ち続けるのが大切になると思う。
つづく。