秋月電子の通販サイトがリニューアルしたのでWayback Machineで歴史を振り返る
2024年1月、秋月電子通商(以下、秋月電子)の通販サイトがリニューアルしました。見た目や機能がモダンになるなど様々な変化があり、各所で話題になっています。
秋月電子のサイトと言えば、製品の入れ替わりはあれどデザインそのものはかなり以前から同じだった記憶があります。これまでどのような変遷をたどってきたのでしょうか?
そこで、世界中のウェブサイトのアーカイブを閲覧できるWayback Machine(Internet Archive)で過去の秋月電子ウェブサイトの姿を見てみましょう。
※ 筆者は2012年くらいから秋月電子を使い始めた新参なので、当時を知る方は「素人は黙っとれ――」と思いながらご覧ください。
Wayback Machineの検索結果によると、akizukidenshi.comの記録は2002年11月5日から始まり、そのキャプチャ回数は1,338回を数えます。
全ての変化を真面目に書き出すと大変なので、デザインやページ構成に大きめの変更が入ったなどの特筆すべきタイミングでの変遷を見ていきます。なお、以降の日付はWayback Machineがアーカイブを取得したタイミングであり、変化があった日とは異なります。
1998年1月19日(追記)
以前はドメインが違ったという情報をいただいたので追記です。ページに書かれた日付によると、実際の開設時期は1997年8月1日のようです。インターネット普及の序盤のころからサイトを保有していたんですね。
この時期はwww.tomakomai.or.jp/akizuki/というURLでした。ドメインがtomakomai.or.jpなのは、苫小牧電子計算センター(現・株式会社I・TECソリューションズ)というインターネットプロバイダーのドメインを借りていたためのようです。プロバイダー自体の公式サイト(http://web.archive.org/web/19980119065953/http://www.tomakomai.or.jp/ainshome.html)のアーカイブも残っていてなかなか趣深いです。
この頃は、ネット通販専用の仕組みはまだ用意されておらず、郵便で注文する際のカタログとして使える情報を掲載した「かわら版」ページがあるのみでした。
2000年10月15日(追記)
www.akizuki.ne.jpドメインへの移転が行われました(お知らせページによると、移転日は7月10日)。トップページのデザインも変化しています(ただし、アーカイブの画像の欠損が激しく、本来見えていた姿ではない可能性が高いです)。回路図をイメージしていそうなメニューが印象的です。
「秋葉原店のご紹介」ページには当時の秋葉原店の外観写真があり、当時の雰囲気が窺えます。秋葉原店の左に見えている看板は、当時3階に入っていたゲーム・同人関連ショップ「メッセサンオーIV」のようです。
2002年11月5日
Wayback Machineにある中では最古の日付です akizukidenshi.comドメインでは最古の日付です。HTMLバージョンの指定が加わりました(HTML 4.01 Transitional)。
最近のユーザも見慣れている「赤から黄色のグラデーションのロゴ」が掲げられています。ただ、現在使われているものとは形が少し違いますね。
お知らせのページを見ると、「■2002年11月1日 ホームページをリニューアルしました。買い物かごシステムがより使いやすくなりました。」とあるので、これ以前にもウェブサイト自体はあったようです。
通販トップページ(/catalog/)は、この頃は「電子かわら版」と呼ばれていました。テキストのリンクだけで構成された潔いデザインですね。
2002年12月11日
電子かわら版トップページの方に動きがありました。body要素に背景画像が追加されたようですが、画像が敷き詰められて見た目がものすごいことになっています。当時のブラウザでは正常に表示されていたのでしょうか……。
2003年2月4日
「小ロット生産者と共に歩む」という標語が追加されました。この標語は2009年ごろまで使われていたようです。
2003年3月25日
トップページの見た目が大きく変化しました。ページの横幅が設定されたほか、色調が大きく変わっています。「秋月ニュース」の部分はみんな大好きmarquee要素で、左に流れていきます。
電子かわら版の方も、ベースのデザインこそ同じですが左上のロゴなど細部が変化しました。
2003年5月31日
なんと、またもやトップページのデザインが変わっていました。再びグラデーションの秋月電子ロゴが復活です。
一方で、3月ごろのデザインのトップページも消えたわけではなく/index2.shtmlに格納されていました。わけがわからないよ
「秋月電子ホームページのレイアウトに関するご意見・ご要望をお寄せください。」と最上部に書かれているので、模索の時期だったのかもしれません。
2004年4月5日
トップページの中盤にある商品一覧メニューが3段になりました。画像の整列も意識され見やすさが向上しています。
特筆すべきは、最上部にある「注文書」「ご質問」などのカラフルなボタンです。これらのメニュー画像は、2024年1月のリニューアル直前においてもほぼ同じものが使われていました。20年選手だったのか……。
2009年2月3日
2003年から2004年にかけて何度も変化したトップページですが、その後数年間にわたってデザインに大きな変更は入らなくなっていました。
2009年1月26日、久しぶりにウェブサイトがリニューアルされました。このタイミングで、多くの人が見慣れているであろう「秋月電子のウェブサイト」の見た目が生まれました。以降、約15年間の長きにわたりこの基本デザインが使われ続けることになります。
機能面では、マイページ機能が新設され、クレジットカード決済ができるようになりました。また、従来は分かれていたトップページと「電子かわら版」の区別はなくなったようで、akizukidenshi.comへのアクセスはakizukidenshi.com/catalog/default.aspxにリダイレクトされるようになりました。
なお、このリニューアルに前後して「小ロット生産者と共に歩む」の言葉はサイト上から消滅したそうです。
2009年5月4日
トップページの横幅が802pxから980pxに広がりました。最上部メニューの「トラ技広告」と「回路図集」はこの頃追加されたようです。
2014年7月17日
それまでの通販トップページには大量の商品画像が表示されていました。これは通信に負荷をかけていたらしく、2014年の夏ごろ画像の少ないものに差し替えられました(この年はWayback Machineの取得失敗が多く、正確な時期は不明)。従来のトップページはcatalog/top.aspxに移動されました。
いちユーザとしては、Google検索やカテゴリ一覧で目的の部品をさっさと探しに行ってしまうことが多く、トップページの商品画像をしげしげと眺めるということは少なかったように思います。
2024年1月25日
2020年代に入っても、秋月電子ウェブサイトの基本デザインは大きく変わりませんでした。2023年12月29日、ついにサイトの大規模リニューアルが告知されました。
こうして、現在の秋月電子通販ウェブサイトになりました。以前の雰囲気を多く残しているものの、細部はモダンに生まれ変わっています。
内部的には、DOCTYPE宣言がHTML 4.01 Transitionalから最新のもの(<!DOCTYPE html>)に変化しました。