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これまでのレンティオの歴史と今後のプラットフォーマーとしての展開

レンティオでCTOをつとめています神谷(@kmy4_)です。かれこれnoteに投稿するのは3年ぶりとなってしまいました。

さて、レンティオは2024年4月にRentifyというサービスをリリースしました。RentifyはレンタルECサイト構築プラットフォームであり、Rentifyを利用することでレンタル・サブスクサービスをオペレーション面含めて立ち上げることが可能となります。これによりレンティオはプラットフォーマーとしての第一歩を踏み出したこととなります。

レンタルECサイト構築プラットフォーム Rentify (レンティファイ)

プラットフォーマー(Platformer)とは、企業や個人がインターネット上でビジネスを展開する際に、その基盤(プラットフォーム)となるサービスやシステムを提供または運営する事業者のことです。

https://www.ntt-west.co.jp/business/glossary/words-00236.html

当社は創業から今に至るまでの9年間、レンティオというプロダクト一本でやってきた会社です。

外からの見え方としては一レンタル事業者という捉え方もできる一方で、我々の視点からは一レンタル事業者 → サブスク事業者 → メーカー支援事業者 → プラットフォーマー、というように業態を変化させつつ運営を続けています。そういった背景もあり、外から見たレンティオと中から見たレンティオとでは大きな隔たりがあると認識しています。

今思えばうまく時流に乗りながらサービスを変化させることができたのはあるかなと思いまして、私から見たこれまでのレンティオというプロダクトの位置づけを振り返りながら、今後のプラットフォーマーとしての展望について書いてみようと思います。


これまでのプロダクトの位置づけを振り返る

2015年4月〜 一レンタル事業者としてのレンティオ

2015年4月に創業とほぼ同時にレンタルECサイトとしてレンティオというサービスをスタートさせました。当時はAmazonなどで仕入れた家電製品をECサイト上で注文を受けて例えば一週間貸し出すといったシンプルなビジネスでした。

当時は今ほどスケールする想像は一切しておらず、スモールビジネスとしてやっていくつもりでスタートした商売だったのですが、早期に多くの注文をいただくことになり以後の展開に繋がることとなります。
今思い返してみると、世の中にも類似サービスはあったのですが、当時はあまりUI/UXの優れたサービスはなく、Webでレンタル注文が完結するだけで十分差別化ができていたのかと思います。

ちなみに当時は登場したばかりのノンフライヤーやお茶を粉末状にして飲むお茶プレッソという家電がありまして、そういった物珍しい物が借りられるだろうという目論見だったのですが、普通にカメラが多く借りられることとなりました。

ちなみに最初期はレンティオというサービス名ではなく、カデンレンタルドットコムという名前でした。

2017年8月〜 サブスクリプション事業者としてのレンティオ

順調にレンタル注文が増え続けていたものの、当時のレンティオは3泊から長くて2週間程度のレンタルが主だったため、レンタル代金に対して配送料の比率と商品をメンテナンスする頻度が高く、収益性を圧迫していました。
そこで、それらのボトルネックを回避しつつ収益性をあげるための展開として始めたのがサブスクリプション型の「月額制プラン」と呼んでいるものです。

月額制プランの仕組み

レンティオでは、ユーザーのニーズに合わせて数日間のワンタイムプランと、サブスクリプション型の月額制プランの好きな方を選んで注文してもらうサービス構成となっています。そして今ではレンティオにおける流通高の大部分をこの月額制プランが占めるまでに成長しています。

なお、この翌年くらいからいわゆるサブスクビジネスブームが起こることとなりますが、流行りに乗るカルチャーの会社でもなかったことからあまり意識はしていませんでした。ただ、一般消費者がサブスクというものを少しずつでも意識し始めてくれたのはある意味追い風だったのかなとも思います。

2019年8月〜 メーカー支援事業者としてのレンティオ

順調に月額制プランの貸出も増えてきていたものの、それまでは自社で仕入れた在庫を貸し出すビジネスだったため、高額な家電製品を大量に仕入れることによるキャッシュフローの悪さが課題でした。また仕入れるうえで家電メーカーのコネクション強化も避けては通れないものでした。

そこで始めたのが家電メーカーとパートナーシップを結び、お預かりした在庫をレンティオに出品して貸し出すといった業態です。我々としては上記の課題を解消しつつ、製品とエンドユーザーとの接点を創出したり製品のフィードバックを集めるなどの価値を家電メーカーにお返しします。それにより、家電メーカー、エンドユーザー、レンティオの3者でWin-Win-Winの関係を構築することを狙いとしています。

今ではたくさんの家電メーカーをはじめとした事業者とパートナーシップを結び、マーケティングや製品開発のお手伝いをさせていただいています。

2020年〜 コロナ禍でのレンティオ

これは外部要因ではありますが、コロナ禍を迎えてレンティオの業態は大きく変わることとなりました。
マイナス面としてはカメラをはじめとした旅行需要が大きく減ったこと、プラスの面としては自宅での時間を充実させるための家電のニーズが大きく増加したことがあります。
結果、一時的に流通高は減少したものの、新ジャンルの立ち上がりが好調で数ヶ月後には流通高の最高記録更新を続けることになります。これは軌道に乗っていた月額制プランのおかげとも言えそうです。
コロナ前はカメラ系の商品に大きく依存していたレンティオの流通高ですが、これによりポートフォリオの多角化が進んだと言えると思います。

コロナ禍前後の流通高構成の変化

2024年4月〜 プラットフォーマーとしてのレンティオ

以前より、お付き合いのある企業からレンティオのシステムを提供してくれないかという要望をいただくことがありました。それはレンタルやサブスクサービスを展開するためのノウハウやシステムはまだ十分に確立されておらず、一事業者として立ち上げるのはハードルが高いためです。そんな中でもレンティオは築いてきたシステムやオペレーションが評価され、そういったお声がけをいただくこととなりました。

そういった状況を受け、レンタルやサブスクといった消費行動を更に世に広げていくための打ち手として必要なシステムをオールインワンで提供するRentifyというサービスをリリースし、プラットフォーマーとしての第一歩を踏み出すこととなりました。そして有り難いことに多くの事業者様から申し込みをいただけており、我々としても非常に手応えを感じているところです。

Rentifyの概要

ここまで何度も出てきているRentifyというプロダクトですが、具体的なイメージを持ってもらうためにキャプチャを交えながら概要をご紹介します。

ストアフロント

商品情報を入力することで、次のようなレンタル・サブスクに特化したウェブサイトを立ち上げることができます。

埋め込みボタン

オプション機能として、Rentifyによるレンタルボタンをウィジェットとして別のサイトに埋め込むことができます。これにより、既存のECサイトやウェブサイトを活用しながらレンタル・サブスクサービスをそのオプションとして組み込むことができます。

Shopifyで構築したサイトにRentifyによる「お試しレンタルする」ボタンを埋め込んでいます。

管理画面

事業者様向けの管理画面も同時に構築されます。ここで注文情報を確認したり、各種マーケティング活動が可能です。

オペレーション構築

Rentifyの具体的なイメージを持ってもらうために表向きの機能をキャプチャ付きで紹介しました。が、これ以外にも物流や与信、カスタマーサポートといったレンタル・サブスクビジネスの裏側も同時に構築することができ、Rentifyの真髄はむしろこちらと考えています。

ストアフロントや管理画面系の構築は既存のECサイトをカスタマイズすることでどうにかなる場合もあります。しかし上述したような裏側の仕組みはそうはいかず、我々も今でも日々手探りでベストプラクティスを探しているところです。その9年間のPDCAで得たノウハウをRentifyに展開しています。

プラットフォーマーという道を選択した理由

レンティオがRentifyをはじめる理由

ビジネスの成長角度を上げるためです。
レンティオ単体で成長を続けるには、資金繰りや物流面など多方面への調整を行いながらトップラインの成長を支え続ける必要があります。しかしプラットフォーマーとしてパートナー企業の力を借りながらであれば、我々のノウハウとエンジニアリングの力によってそのキャップを外すことができ、非連続的な成長も期待できると考えています。

加えてなんらかの理由があってレンティオに出品できない企業も、Rentifyによる独自ドメイン展開であればパートナーシップを結ぶことができる場合もあり、より広い事業者のお手伝いをできることとなります。

結果的に、我々がミッションとして掲げている新しい消費行動、つまりレンタル・サブスクサービスをさらに広げることができると考えています。
このあたりは代表もnoteを書いていますので、興味をお持ちいただけたらそちらも合わせてご覧いただけたら嬉しいです。

事業者がRentifyを使う理由

上述の通り、事業者がレンタル・サブスクサービスをゼロから自社で立ち上げる場合、多くのハードルがあります。例えばサービスサイト構築にはじまり、社内向けシステムの構築、物流やカスタマーサポートのオペレーションの構築などです。与信の仕組みなども必要となります。

Rentifyでは、それらの必要な機能群をオールインワンで提供します。社内でオペレーションを構築できない場合、物流やカスタマーサポートの部分をレンティオが担うことも可能です。

また、既にECサイトを自社で保有している場合、そのサイトにRentifyによるレンタルボタンを埋め込むことも可能です。それにより、事業者は既存のECサイトをこれまで通り活用しながらレンタル・サブスクサービスをスタートすることができます。

今後のプロダクト開発の方向性

Rentifyを始めるからといってレンティオのほうは手を抜くということはありません。レンティオの運営で確立したベストプラクティスをRentifyへ展開していくことが我々の競争力に繋がると考えていますので、それにはどちらかが欠けても成り立たないと思います。

プロダクト開発の展望としては、これまでは一事業者としてのスケールを考えておりましたが、よりプラットフォーマーとしてスケールしやすい仕組み作りというのがテーマになると思います。

例えば、
- オペレーションの部分ではまだまだ人力に頼っている箇所がありますが、こういうのを規模の力を活かして自動化していきます。AIの活用なども良さそうです。
- 管理系のシステムでも、レンティオの中の人だから理解できる作りとなっている部分があるので、標準化を進めることで属人性と暗黙知を減らしていき、誰でも直感的に操作できるシステムを作っていきます。
- 機能追加についても、必要に応じて別のSaasをインテグレーションして使ってもらうアプローチも考えています。クライアントビジネスにはなりますが、SI的な動きよりもSaas的な展開ができることを意識したいです。
- 上記から繋がる話ですが、最終的にはRentify APIを開放して開発者エコシステムを構築するのも目指したいです。

ちなみに、上述はしておりませんでしたが物流面でもプラットフォーム化の第一歩としてR-OMS(Rentio Operation Management System)という物流パートナー向けシステムを2022年にリリースしていました。R-OMSによりレンタル物流に必要な機能を提供することで、物流パートナー企業がレンティオの物流、例えば発送やメンテナンス、レンタル品の保管などを担うことができるようになります。
ビジネスがスケールした場合、レンティオ自社運営の物流一本で支えるのは現実的ではありません。物流パートナー企業やRentifyのクライアント様のリソースも巻き込みながら物流量のスケールに対応する体制を作っています。

最後に

すでにRentifyによるサービスも世に出始めており、これから世に出ていくサービスも多く控えていることから、プラットフォーマーとしての方針について我々としても手応えを感じています。

とはいえプラットフォーマーとしての第一歩を踏み出したばかりでもあり、上述しているような構想に対してまだまだ最低限の機能しか提供できていません。これらの構想を早期に実現するためにも、我々と一緒にRentifyとレンティオを成長させてくれる仲間を募集中しています。タイミングとしてはとてもおもしろいタイミングと思いますので、もし興味があれば是非お声がけいただけたら幸いです!

ちなみにレンティオの技術スタックについてはこちらの記事でも解説していますので、興味があればこちらもあわせてご覧いただけると嬉しいです。


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