【数字でみるコーフボール】強豪国は1-1でどれぐらい得点しているのか?
こんにちは!
VICUSコーフボール杉並のつんたろうです。
コーフボールに似たスポーツであるバスケでは、データ分析が盛んです。アマチュアファンからトップチームまで、数字に関心を持って議論することは業界全体のレベルアップに繋がります。
コーフボール界にもぜひ数字で語る文化を根付かせたいと思い、今回はプレーデータの分析を行ってみました!多くのコーフボールプレーヤーが取り組んでいるであろう、「1-1」について数字の面から解説しました!
1-1というスキルについて
ソリューションで2-1-1を作り、アウトサイドの選手が1-1で勝負をする、というのはどのチームでもよく練習していると思います。国際コーフボール協会もちゃんとした解説動画を配信するぐらい1-1は大事なスキルなので、熱心に取り組んでいる人も多いと思います!
とはいえ、たくさんある攻撃パターンの中で、1-1の練習にどれぐらい重きを置くかは各チームのリーダーにとっても判断が難しいでしょう。
また、何となく「強いチームは1-1が強い」というイメージを持っていると思います。
しかし「1-1が強い」と言われているチームが、具体的に1-1で何点取っているかを検証したことはあまり無いのではないのでしょうか?
そこで今回は1-1が試合の中でどれだけ得点に関与しているかを調べてみました!ずばり「コーフボール強豪国は1-1でどれぐらい得点しているのか」ということです!
調べたこと
「コーフボール強豪国は1-1でどれぐらい得点しているのか」という問いの答えを探るべく、コーフボールの世界ランク上位4か国と日本代表の試合をもとに、総得点に占める1-1での得点の割合を調べました。また1-1での得点に関連する数字も出してみて、各国の傾向も分析してみました!
分析した試合
分析の対象としたのは以下の試合です。
最終的には15試合379ゴール分の得点を分析することになりました!
ワールドゲームズ2022
世界ランク上位の4か国(オランダ、ベルギー、台湾、ドイツ)を、各国4試合ずつ集計しました。また相手のレベルが近い方が実態に近い数字が出てくると考え、対戦国の世界ランクがなるべく近い試合を選びました。
(試合映像はこちら)
アジア・オセアニア選手権2022
日本代表についてはワールドゲームズに出場していないので、直近で開催されたAOKCから4試合をピックアップしました。こちらも世界ランクが近い相手の試合を選んでいます。
(試合映像はこちら)
1-1の定義と分析方法
分析にあたり1-1を以下のように定義しました。多くの日本人プレーヤーが思い浮かべる1-1のイメージに近いものを、今回は1-1の定義としています。
1-1の定義
①攻撃の開始時にポストがボールを保持しており
②オフェンスはディフェンスを振り切ろうと動いており
③ディフェンスも相手に正対しディフェンドを成立させようとしている状態
分析方法
①~③すべてに当てはまる状態で得点したものを1-1による得点とし、試合映像をもとに手作業で集計しました。
※1-1でのディフェンスファウルによるペナルティでの得点も1点としてカウント(1-1に起因する得点のため)
分析結果
強豪国の傾向はどうだったか?
まず各国の4試合での総得点と1-1による得点の総数です。
世界ランク1位のオランダが4試合で合計112点を獲得しており、圧倒的な得点力であることが分かります。一方で1-1での得点比率はそこまで高くなく、1-1による得点のみに絞れば実はベルギー、台湾がオランダを上回っています!
さらに1-1での得点比率を分かりやすくするために、100%積み上げ式の棒グラフにしてみました。
割合で見てみると各国の特徴がより顕著になりました。
まずオランダ、ドイツについては1-1での得点割合が相対的に低く、様々な攻撃パターンで得点を獲得していると言えます!
ベルギー、台湾については、悪い言い方をすれば得点の4割以上を1-1に依存しているとも言えます。つまり他の攻撃パターンでの得点が少ないと推測できます。
対戦国からしてみれば、1-1に特化したディフェンスを強化することで、これらの国々に勝利できる可能性が高まるということでもあります!
また4か国平均の1-1での得点の割合は34%でした。仮に試合で10点取るならば、そのうち3~4点を1-1で取るというのが強豪国の水準のようです!
また日本も得点の40%を1-1により獲得しており、上位4か国の平均値を上回っていることが分かりました。この数字だけで見れば、日本はこれ以上1-1での得点アップを狙う必要はなく、他の攻撃パターンでの得点を増やす努力をするべき、という考え方もできそうです。
(あくまでプレーの一面を切り取った数字なので、もちろん他のデータと組み合わせた分析は必要です。)
個人的には、日本代表の数字については感覚値と一致しているのかどうか、日本代表選手の意見も聞いてみたいところです。
男女別の傾向はあるか?
次に1-1での得点について男女別の割合も出してみました。次のグラフは1-1での得点について、男女別の構成割合を示しています。
上位4か国平均での1-1による得点は、約6:4で女性による得点割合が多いという結果でした。特に数字が顕著だったのは台湾とドイツで、1-1での得点の75%近くを女性が生み出しています!日本もやや女性による得点が多いように感じます。
最もバランスが良いのはベルギーで、ほぼ男女半々での得点でした。対戦国からすれば対策が取りにくい相手と言えるでしょう。
台湾については先述の通りそもそも1-1での得点の割合が高く、またその1-1での得点の74%を女性が生み出しています。対戦国からすれば非常に対策を立て易いはずなのですが、それでも世界3位を獲得しているところに台湾の強さが見て取れます。
クオーター別の傾向はあるか?
最後にクオーター別に1-1での得点傾向に差があるのかを見てみました。
まず全ての得点方法を含めたクオーター別の総得点です。
クオーターごとの得点数に多少の差はあれど、各国とも割合に大きな差は無いように見えます。
では1-1での得点はどうでしょうか。クオーター別に1-1での得点割合を出してみました。
分かり易い傾向が読み取れるのは台湾です。4Qに1-1での得点割合が増える傾向にあります。仮説はいろいろと考えられますが、試合終盤の重要な局面では1-1で点を取る、というのが台湾の傾向と思われます。
なお、今回のテーマとは異なりますが日本代表チームの課題としては、時間当たりの得点能力だと感じました。
上位4か国が1試合で平均21点を得点しているのに対し、日本代表は平均10.75点に留まっており、彼我の間に約2倍の差があります。AOKCでは一部試合時間が短いゲームがあるなど前提条件に多少差はあるものの、世界の強豪国と肩を並べるには、同じプレー時間で現状の倍の点数を取ることが必要となります。
まとめ
今回の分析結果から、コーフボールをやるうえでとりあえず覚えておきたい数字は以下でしょう!
冒頭の「コーフボール強豪国は1-1でどれぐらい得点しているのか」についてはこちらが答えになります!個人的にはもっと1-1で得点しているイメージだったので、実際の数字をみて自分の感覚とのギャップがありました!
普段の練習でも、例えばゲーム後の振り返りで1-1で何点取れたかをチェックしてみれば、世界水準との差が分かり今後の強化施策を考えやすくなると思います!コーフボールで上を目指す人は、ぜひ自分たちのプレーの数字もチェックしてみるのをおすすめします!