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感想文 カメラを止めるな

皆様から映画のリクエストを受け付けて感想文を書くこの企画。記念すべき1作品目は上田慎一郎監督「カメラを止めるな」

すごいですねー。無名の監督と無名の俳優陣、超低予算の作品がSNSを中心に口コミで大流行。これだけでなんだかめちゃくちゃ今っぽい肩書きです。昨年ブラックボックス展に行った人はこの作品も観るんだと思います。
わたしはこの流行に乗ったわけでは決してなく、好きな男に連れていかれたわけでもなく、あ、あくまでも「リクエストされたら断らない」企画のために観ただけなんだからねッ!!

わたしの映画感想文、ネタバレなんて露ほども気にせず書き進めていくスタイルでございます。以下ご覧になる際はお気をつけください。とはいえネタバレそれ自体をメインコンテンツとする記事は書きません。
あくまでも映画を通じてわたしの感じたこと、わたしの頭の中を覗く記事だと思ってください。きみすきちゃんは自己顕示欲の塊なのです。

第一印象

ボロクソに書きますがちゃんと読んでください。この感想文は二度始まる。

いやもうほんとに最悪ですよ。こういうやり口は本当に良くない。誰ですかこれ観ろって言った人は!先生怒らないから出てきなさい。もうね、開始10分あたりの私

「あいつ(リクエストしてきたフォロワー)は映画終わり次第スパブロ」

とかそんなことを考えていました。ネタバレ厳禁とかいうから一切情報入れずに行ったんですよ。劇場調べるときもすっごく注意して、余計なところ読まないように。その結果がこれです。やられましたね。

何の話か分からないと思うので、公式サイトに書いてある程度のあらすじをざっくり説明しておきます。

山あいの廃墟でゾンビ映画の撮影をする一行。ところがリアルな恐怖の表情を求めた監督が禁断の儀式を行い「本物」を呼び出してしまう。迫りくるゾンビ、狂気に歪む監督の顔。聞こえるは悲鳴とそして「カメラを止めるな」の怒号。真の恐怖はゾンビか、人間か。血の儀式で呼び出された伝承の怪物の正体とは。


ツイッターで相互フォローになって一か月もたたないうら若き美少女(自称)にね、これ勧めます?本当に頭がおかしい。せめてホラーだって言っといてくれよ……。マジで怖えよ……。
ゴリゴリのホラー映画をみせて反応を楽しむ、たちの悪いドッキリを仕掛けられたと本気で思いました。今頃にやにや薄ら笑いを浮かべながら、めそめそ泣いてるきみすきちゃんを想像してるんだろうなと。映画代どころか慰謝料請求してやろうと心に誓って気合を入れました。

さてそんな被虐趣味のドSフォロワー君にとって幸運だったのは、わたしが実はホラーめっちゃ大丈夫という点と、そしてゾンビ映画としてストーリーが悪くなかった点です。そんなわけで退席せずに我慢した結果、開始40分くらいの時点で慰謝料請求は思いとどまりました。よかったな!!!!

鑑賞後の印象

そんな最悪な第一印象から話は進み、総評としては上映時間分めいっぱい楽しませてくれる、密度の高いエンタメだったと思います。余計なロマンスもドラマも政治メッセージもなく、ただただワクワクする時間。贅沢ですね。
家ではなく劇場での映画って、ストーリーよりも映画館で過ごす快適な時間を買ってると思うんです。一切家事をあきらめた時のテレビのバラエティ番組のように、何も考えずだらだら楽しい二時間。
反面、途切れず楽しい時間を作り上げるために、緻密でスキのない設計も感じられます。思い返しても「あのシーン無駄だったな」という瞬間がなく、一秒も見逃せない映画でした。作り手の立場に立ってそういう部分を深読みしていく様な、何度観ても楽しめる奥深さも併せ持った映画じゃないかなと思いました。
うーん、SNSで拡散大ヒット?というのはちょっとわたしには分かりませんでしたけど。自分で納得できる映画が好きなので、人に映画を勧めようという文化があまりないんですね。まぁでもこの監督の次作が出たら観てみようというくらいには楽しめました。

人間は騙される

わたしはですね、どんでん返しモノが嫌いなんですよ。ラストの一発に全力を注いで、それまで二時間の苦行に耐える。これが無理。〇ックスセンス(※注1) とか、ユージュアルサスペクツとか、苦手でしたね。ドヤ顔で「悔しかったらもう一回観てね~」という感じ許せない。
ラストの返しが最高だったのはララランドくらいのもんです。道中が綺麗で眺めてるだけでも楽しめるからアリだった。
セブンとソウ3は好きです。あれは世間的にはどんでん返し系ですが、落下に向かうジェットコースターです。明らかにそれとわかる確定した未来にむかってジワジワ迫っていく、きもちわるいドキドキが良かった。

で、「カメ止め」もある意味どんでん返しモノなんじゃないですかね。どうなんでしょう。ただ嫌いじゃないのは、返しがめちゃくちゃ早くに出てくるんですよ。出題パートと解決パートに分かれた、推理ものにも近いかもしれません。「もう一回観てね」ではなくで、懇切丁寧な解説付きなんですよ。だから悔しくならない。清々しい(※2) 気持ちで遠慮なく楽しむことができました。

ところが事件は最後のスタッフロール中に起こります。ここまでも十分ネタバレしましたが以下完全に決定的なネタバレです注意。

この映画、ざっくりいうと

1.ゾンビ映画

2.ゾンビ映画撮影チームの背景

3.ゾンビ映画撮影の種明かし

というざっくり3パート構成なんですが、最後に

4.種明かしパートの撮影風景

これがスタッフロール中に流れる。ずるくないですか。当然3のシーンを撮ってる時には、さらにそれを撮る人がいるわけです。考えてみれば当たり前の話なんですけど、それを映画の最後に流してしまう。じゃあスタッフロール映像を撮るチームが、さらにその外側にいるわけですよね。

我々は3のシーンで「人は騙され、あれだけ散りばめたヒントにも気づかず、そして視点を変えればこんなに面白い」と学んだばっかりです。気になっちゃうじゃないですか。想像しちゃうじゃないですか。あのシーンどうやって撮ったんだとか。メタのメタのメタはずるい。もう明日からのわたしは、目に見える物事の裏側が気になってしまう人間になるのです。マトリックスを観終わった中二病のように。

あとがき

長くなりましたが、きみすきちゃんと映画を観よう企画の第1回としてばっちりの映画でした。リクエストされなきゃ絶対自分で観ないタイプですし、SNS映えしますしね。
1800円でわたしに映画を奢り、感想文を書く企画。感想文はこんな調子のやつが出てきます。万が一気に入っていただけましたら、こちらのnoteよりご依頼お待ちしております。

※注1 〇に入る文字を答えよ

※注2 読み方を答えよ



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