若手街弁の生存戦略③ー一見顧客中心の営業スタイルー
紹介必要派vs一見顧客派の対立(?)
弁護士業界は、2000年まで、業務広告が厳しく制限されていました。
そのせいもあってか、弁護士の主な受任ルートは紹介経由であることが多いとされ、現在でも、相談・依頼にあたって紹介を求める文化が根強く残っています。
(おそらく、この傾向は東京よりも地方が顕著なのではないかと思います。)
その一例として、日弁連が運営している弁護士情報提供サービス「ひまわりサーチ」に掲載する弁護士の情報には、「紹介の要否」という項目を設定することができます(https://www.bengoshikai.jp/search/detail.php?kai_code=1&id=41133)。
他方で、一見顧客の集客を中心とする営業スタイルについては、弁護士の主な受任ルートが紹介経由であることが多かったことの裏返しなのか、業界内にノウハウがあまり蓄積されてこなかったのではないかと感じることが少なくありません。
例えば、営業の方法について弁護士同士で話をしても、「一見顧客からの相談・依頼を受けるべきか。」「事務所のホームページを作るべきか。」といった「え、そこから!?」と思うようなことが話題になったり(そして、最後までそのレベルの話にとどまったり)します。
「目の前の仕事をとにかく一生懸命やる。そうすれば、相談者・依頼者が別の相談者・依頼者を紹介してくれる。」というのが、弁護士業界における「王道」ともいえる伝統的な営業スタイルであるのに対し、ホームページ等の広告媒体による一見顧客の集客を中心にしたそれは、ともすれば「邪道」とみられることさえあります。
(私は独立してから現在まで、ホームページ経由の一見顧客が中心の営業スタイルですが、年配の同業者から「そんなことやってるの?」と蔑まれたことが何度かありました。)
このように、弁護士業界には(きのこの山派vsたけのこの里派のように)紹介必要派vs一見顧客派という、営業スタイルについての教義をめぐる対立(?)が存在するのです。
一見顧客中心の営業スタイルで生き残る戦略
上記のとおり、主な受任ルートが紹介経由であることが弁護士業界における営業スタイルの王道とはいえ、紹介ルートの構築には、そのための時間と実績作りが必要です。
勤務弁護士として経験を積む間に数年単位で紹介ルートを構築し、その上で独立という手順を踏めればよいですが、それができない即独・早期独立組が、独立直後からいきなり紹介中心の営業スタイルでやっていくのはやはり難しいものがあります。
そうすると、一見顧客中心の営業方法にならざるを得ませんが、こちらについては、果たしてそれで事務所を維持できるだけの集客ができるのか、といった不安が付き纏います。
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