アイドル嫌いだった私が欅坂46に教わったこと〜彼女たちに感謝を込めて〜
もともとアイドルを毛嫌いしていた私が、欅坂46と出会ったのは今から2年4か月程前のことだった。
TVに映るのは華やかな衣装に身を包んだアイドル。
音楽番組は勿論のこと、バラエティ番組やドキュメンタリー番組にも登場し、365日どのチャンネルを付けても、何かしらのアイドルがそこに映っていた。
当時はアイドルやそのファンのことを冷やかな目で見下していた。毎回毎回TVや雑誌などのメディアに出ていて、とてつもなく鬱陶しかった。
そんな私でも、前田敦子ちゃんや生駒里奈ちゃん、白石麻衣ちゃんは確かに可愛くて綺麗で、ついつい見てしまうフシはあった。まぁその程度だった。
それでもCDを何百枚も買うファンの馬鹿らしい言動や、アイドルの良さなんて到底理解が出来なかった。
私には長くファンであるロックユニットがいて、その世界こそが至高と思っていた。しばしばアイドルとそのファンの世界と比べては、度々軽蔑していた。
2018年6月。
転機が訪れた。青天の霹靂だった。
いつものように某音楽配信サイトで、次にどの楽曲をDLしようかとチェックしていた時だった。
『サイレントマジョリティー/欅坂46』の文字が目に留まった。
「また何とか46か…」
いつものようにスルーしてiPhoneの画面をスクロールするはずだった…
今でも覚えているくらい実に不思議なことに、その「何とか46」の楽曲を視聴どころかDLしている私がいた。
この時からアイドルへの価値観がガラッと変わっていった。
私にとっての記念すべき脱アンチソングは、欅坂46にとっても特別で記念すべきデビューシングル『サイレントマジョリティー』であったのである。
単純に楽曲が素晴らしい、カッコいい…そういった印象だった。気づいた時にはMVも繰り返し視聴しているザマだった。
そしてそのうち、メンバーひとりひとりのことが段々と気になるようになった。
Google様やYouTube様のお力を借りては、彼女たちのことについて詳しく検索していったのである。
こうして無事、沼にハマった欅坂46のオタクがこの世にまた1人誕生したのであった。
そのうち『欅って、書けない?(テレビ東京)』もチェックするようになり、推しメンも直ぐに見つかった。
「長濱ねる」
可愛すぎるルックスに心を奪われた。セカンドシングルフォーメーション発表回(神回)は泣いた。リアルタイムで観たかった。
基本的には箱推しだが、推しメンを中心に他のメンバーもどんどん好きになっていった。
渡邉理佐ちゃん→小池美波ちゃん→鈴本美愉ちゃん→and more…
こうなったらもう誰にも止められない状況になっていった。
生で欅坂46を観たかった。
でも握手会はハードルが高い…
そもそも握手会っていつあるんだ…
何も分からなかった。
しかしその頃、『アンビバレント』をリリースし、夏の全国アリーナツアーが開催されることを知った。
ファンクラブにはまだ入っていなかった。チケットなんて取れるはずがない。しかも、ツアーは明日からスタート。完売だろうと思いながら、『ローチケ』を覗く。
「チケットをご用意いたしました」
奇跡だった。明日ツアー初日を迎える欅坂46の福岡公演初日のチケットを手に入れた。その後、急いで新幹線の乗車券も抑えた。
とりあえずねるちゃんのタオマフと、訳の分からない三角のペンライトを買ってマリンメッセに乗り込んだ。
座席は端の端の端。
ステージセットを主に観ていた。
でも、メンバーが近くで観れる。
ねるちゃんがいた。可愛くて死んだ。
アイドルのライブは思いのほか最高に楽しかった。ペンライトを両手で振りたくなった。何かよく分からん「オイオイ、ハイハイ」コールも覚えたくなった。
初ライブはとてつもなく楽しかった。
そんなこんなで、次のライブはすぐやって来た。
まさかのひらがなちゃん。
そう、この頃には完全なるケヤヲタになっており、ひらがなも大好きになっていた。
推しメンは小坂菜緒ちゃん。
なんなん、あの子…
まさに『超絶可愛い菜緒ちゃーん』(←覚えた)だった。
ひらがなくりすますは仕事キャンセルして駆けつけた。
2019年2月
ひらがなちゃんが日向坂46に改名した。心から祝福した。泣いた。
3月
私は横浜にいた。
ひらがなちゃんラストライブ
日向ちゃんファーストライブ
最高だった。
しかしその後、
ーー長濱ねるちゃん卒業発表ーー
寝込んだ。
発語不能になった。
でも最後に会いたい。そう思い、幕張メッセに乗り込んだ。大量の握手券と共に。
初めての握手会。最初で最後のねるちゃんとの握手会だった。
長蛇の列だった。後ろに並んでいた中学生の少年に断って、トイレに行った。ちょっと漏らした。それも思い出。
ねるちゃんにありがとうを伝えることが出来た。
オタクは忙しかった。
4月。
5月。
日本武道館って、そんなに何回も来るところじゃないと思ってた。
この頃、欅坂46のパフォーマンスや演出に惹かれていった。
『避雷針』『もう森へ帰ろうか?』『東京タワーはどこから見える?』
このあたりが大好物だ。
9月。
福岡公演2days参戦した。
初日はなんとアリーナ中央最前2列目。5m先で鈴本美愉ちゃんがステージセットの檻を叩いた。
そんなこんなで、いつの間にか2020年。オタク歴3年目に突入していた。
1月。
1期生の脱退・卒業ニュースが飛び込んできた。
7月。
欅坂46は改名を発表。
9月。
ドキュメンタリー映画も観た。色んな感情が込み上げてきた。
欅坂46ともっと早く出会いたかった。それを強く感じた映画だった。
10月、今日。
欅坂46 LAST LIVE
欅坂46は5年間の活動の歴史に幕を下ろした。
そして、生まれ変わった。櫻坂46として。
これまで本当にあっという間だった。
欅坂46に教わったことは沢山あった。
とても濃い2年と4か月だった。
欅坂46は私に新しい世界、価値観を教えてくれた。楽曲やライブパフォーマンス、メンバーひとりひとりの個性や努力から美しいモノをいくつも見せてもらった。
狭い世界や価値観の中で生きていた私の好奇心や可能性を拡げてくれた。こんなに素晴らしい世界があったなんて、もっと早く知りたかった。
応援したいと思える存在、推しがいる暮らしはとても気持ちが良かった。生活にハリが出た。生きる楽しみをもたらしてくれた。
今ではすっかり日向坂46のおひさま(ファンの呼称)であるが、きっかけをくれた欅坂46には心から感謝をしている。
勿論、櫻坂46として歩みを始める彼女たちも引き続き応援していくつもりだ。
誰かが言っていた。
『アイドルの世界を知らない人は損している』と。
正しくその通りだ。
過去の私は恥ずべきことをしていた。
アイドルの世界だけではなく、誰にだって守りたい世界、愛おしい世界が存在する。それを絶対に否定してはいけないし、軽蔑してもいけない。
私はこのことを胸に刻んだ。
これからもそう思いながら生きていくだろう。
好きなモノ・人がいる世界は本当に素晴らしい。
最後に、多くのことを教えてくれた欅坂46に、櫻坂46として生まれ変わる欅坂46に、心からの感謝の意を表したい。
脱退・卒業したメンバーも含め、全ての欅坂46メンバーの今後の活躍を願いながら…
ありがとう、欅坂46。