オタクが仕事を辞めてみくにゃん同人誌を作るまでの記録・1
仕事を辞める。同人誌を作ろうと思う。
生産性のない無職期間に好きなことをひとつ成し遂げたと胸を張りたいしょうもない虚栄心から、経緯の記録を残していく。
☆この文章は「オタクが仕事を辞めてみくにゃん同人誌を作るまでの記録」を残すために作られたものです。
かつ、つい最近職を辞した人間が持った、誰かに話を聞いてもらいたいという独善的な欲求に従って書かれています。
仕事を辞めていない人、「みくにゃん」って何?という人、オタクでない人にも極力伝わる表現を心がけますので、興味関心の琴線に触れる部分がどこかにありましたら、お時間の許す限りでご覧いただければ幸いです。
この文章を記事として公開することを前提に、記事タイトルの趣旨を説明する目的で行う自己紹介をはじめ、本記事では同人誌制作の概要をある程度の順序をつけて紹介する。
◾️仕事を辞めることについて
筆者のステータスとして挙げられる特徴は2つある。
1つ目は、2019年新卒として一企業に入職し、そして2年目の夏に退職を決意した社会の負け犬であるという点。仕事を辞める理由はしんどすぎてもう無理だったからです。2021年3月20日が退職日ということになっていたが、実際の勤務は3月8日が最終、残った期間は有給の消化に宛てていた。そして4月1日が次職の入職予定日と決まっていることを踏まえ、11日間の無職期間(いまここ)も含め、計23日は労働をしないということになる。この日々を同人誌作成の主軸に据えたい。
◾️オタクとしての自己紹介
もう1つは、スマートフォン向けソーシャルゲーム「アイドルマスターシンデレラガールズ スターライトステージ」のユーザーで、「前川みく」(通称:みくにゃん)というゲーム内アイドルキャラクターの担当プロデューサーであるということ。(※彼女を好きな者です、という意味で、自分に対してこの呼称を使っていく。)
※大百科の記事。こういった文章を作っている人は本当にすごい。熱意が。
みくにゃんとの出会いは2015年……ということを話し始めると長いしくどいので割愛。
前川みくが好きです。24年の人生の中でそこそこ長い期間好きでいてきたし、好きじゃなくなる予定もない。今後も末永く推していきたい推しです。
オタクステータスという側面からもう少しだけ説明すると、自分はあくまでデレステ(アプリの略称)のユーザーであり、アイドルマスターシリーズの熱心なファンというわけではない。
アイマスは気が遠くなるほど巨大なコンテンツなので作品形式も多岐に渡り、前川みくが登場するシンデレラガールズシリーズに関しても、原作となるモバイル版ゲームを含め多種多様な展開がなされている。その全てを追いかけることはしていないし、ちょっとできないと感じるので挑まない予定だ。触ったことがあるのはアプリゲームの「スターライトステージ」と、2015年放送のアニメ版を視聴したくらいのもので、広い目で見たときのオタク的知識はかなり乏しいのかもしれない。
デレステを、リズムゲームという面も含めて楽しくプレイしつつ応援している、そんなオタク。
◾️補足・同人誌作成の経験値
自己紹介の補足だが、実は過去に同人誌を作って販売したことが2度ある。
どちらも完全オリジナル、いわゆる一次創作の小説本で、イベント(コミティア)に出展することを目標に知人と2人で作った。初心者丸出しの出来で、ほとんど売れもしなかったが、なんとか完成させてイベント出展までこぎつけた過去がある。
そんな本が、同じ経緯で2冊出た。分野に明るい知人にほとんど全てを任せてしまっていたので出版知識というようなものは付いてきていないが、経験が役立つ場面も出てくるかもしれない。困ったら知人にも助けを求めてみようと思う。
二次創作としての創作物を頒布した経験はない。これは機会がなかったことと、作品公開に至る自信がなかったことによる。万一オタク戦闘力の高い強〜いオタクが自分の解釈に基づく作品を目にすることがあって、「こんなのはみくにゃんではありません」とイベント会場でビンタされたら頭が吹き飛ぶと思う。
ただ、自分たちで内容から装丁からイチから企画し本を作って頒布するという非日常的体験の一連の流れの中で、「前川みくへの愛を詰め込んだサイコーの同人誌を作ってみて〜〜ぜ!」という考えが脳裏を過ぎったことは1度や2度ではない。自分にとってのロマンを詰め込んだ創作物が、実物として手元にある感動は、何者にも代え難いものがあったのだ。
これが後述する、今回みくにゃん同人誌作成を思い立った経緯に繋がってくる。
◾️同人誌を作ろうと思った経緯(退職の愚痴)
☆無職の遠吠えに興味がない場合は読み飛ばして大丈夫です。
冒頭にも書いた通り、この無職無労働期間に、好きなことをひとつ成し遂げ形にしたいと考えたのが、この取り組みを始めたきっかけである。
仕事を辞める。今の環境で社会人であり続けることに挫折し、新卒で入社した会社を諦めた。そうまでして得たかったのは、身体の休息と心の余裕だ。
自分が辞めた仕事はいわゆる現場仕事で、直接お客様と対面し会話をすること自体が業務の主の部分だった。現場責任者は1つの店舗につき原則1人配属される正社員の自分で、それ以外の全ての従業員はアルバイト雇用として勤務している。
こういった形態の事業所にありがちな状態として、責任者たる自分の元には休日であろうと容赦なく現場から問い合わせの電話が飛んできた。決まった時間の枠組みで料金をいただいたお客様がその場にいるので、担当者不在のため後日、というのがどうにも難しいのだ。そうなると仕方なく休日出勤ということも特に珍しくはなかった。社員が対応すべき事項を引き継ぐ相手がいないので、似たような環境で仕事をすれば当たり前にそうなると思う。
自分の知らないところで致命的な事態が起きるのではないかと気が気でなく、気持ちが芯から落ち着くことはあまりなかったように思う。
1年やって円形脱毛を作り、ハゲに困っていたところで新型コロナウイルスの波が襲い、その間イレギュラーな対応をする必要に次々迫られ、睡眠と肌と胃とがおかしくなって、2年で心身疲れ切ってしまった。
職員は悪くない。困ったら責任者に報連相するのは正しい対応だ。休みの日に「コピー機に紙が詰まってしまって直してもエラーが消えない」と電話してくるのはやめてほしかったけど。(つい「何したらそうなるんですか?」という聞き方をしてしまいムッとされた。これは無能な上司。)
そして会社も悪くない。そういった性質の仕事であることは採用の段階で提示されていた条件から、想像するに難くなかったように思う。かわいそうな無名大学文学部所属就活貧弱者だった自分が、想像力と判断力の欠如から貰った内定に飛びついてしまっただけの話である。
好きなことをする時間がなかなか取れなかった。大学受験時代や、学費に困ってアルバイトを必死でしていた頃にも陥った状態として、心身の負担が溜まると過眠気味になってしまうので、休みがあっても日が沈むまで起き上がれないことが多かった。
仕事の会議や研修の時、背筋を伸ばして目を見開いて手にドスドスシャーペン突き刺して眠気に抗っても、その姿勢のまま白目を剥いて寝てしまうくらい強い眠気が襲ってくるのって、何かの病気なのかしら。
大好きなデレステもなかなか起動する時間がなかった。現場仕事なので通勤ルートに顧客がいる可能性が高く、電車の中であまりスマホを見たくない。(大学生時代はその懸念がなく、働いてはいたがバイトなのでそのあたりは特にどうでもよく、行き帰りは必死にレッツデレステしていた。)
今回の取り組みにも顕れているが、頑張ったことは形に残したがるところがあるので、やっとの思いで起き上がった休みには人と会う予定を入れてしまうことが多かった。
過去2度参加し小説冊子を頒布した一次創作向けのイベントも、売れなくたってまた出たいなと思うくらいには大事な経験になったのだが、本を作る時間もないし仕事のスケジュールとの兼ね合いが厳しい。
そうこうして、仕事以外の時間が形に残らなくなっていった。
な〜〜〜〜んて真剣に語ってはみたけれども、結局は辞めるのだ!
辞めるからには、辞めたかった自分の望み通り、形に残してあげないといけない。学生時代も社会人生活でも同じだったこととして、寝て過ごした連休は自己肯定感をどん底まで突き落とすということが往々にしてある。たたでさえ負け犬かつ無職の身分で惨めな気持ちを味わっているときに、そんなことになったら自分が可哀想である。見るに耐えない。
なんかしなくちゃ。
せっかくのモラトリアムなので、たくさん遊びに行きたい気持ちもある。ただこの疫病蔓延る世にそれも憚られるという考えもあり。そしてそもそも遊びに行く友だちがいない。これは感染症がどうとかではなく、元々友だちが全然いないということである。
それはさておき、みくにゃん本つーくろ!
◾️ニ次創作同人誌を制作する自分のために必要なこと
前述した自分が二次創作作品の頒布に踏み出せずにいた理由は、①機会がなかった ②自信がなかったの2点である。今回の不労働期間はその両方を解決できる可能性がある。
①機会がなかった
→「仕事を辞め、長い休みがある」ことをきっかけにしましょう。
②自信がなかった
→主な問題点となってくるが、こちらも時間が解決してくれる可能性がある。というのも、「強〜いオタク」への引け目が自信の欠如に繋がっているということは、オタク的経験と知識の不足を最低限補う方向に努力を積むことで、解消が期待できる、気がする。即ち、公式から与えられた現時点で知り得る情報を確認し、できる限り精査し、自分なりに探求すればいいのだ。
前川みくは約10年前から世間に知られているアイドルなので、その歴史の全てを知る古参の強〜いオタクにはそれでもなお、敵わないだろう。パンチされたら頭が吹き飛ぶと思う。そこで大事になってくるのが、「きちんと予防線を張っておく」ということだ。
いいよね、予防線。友人関係を築く上での、予防線。契約を交わす際の、予防線。予防線が大好きである。実は予防線を張ることで身が助けられることはあまりないのだが、何事かが大失敗したときに、「でもあのときちゃんと予防線、張る努力をしたもんね。失敗した自分は無能だけど、失敗を予期できた賢い無能だね」と自分を慰めてあげることができる。
みくにゃん同人誌制作における予防線とは、ズバリ「こんな風に、こんなにもがんばりました」という記録を残すこと、すなわちこの文章である。
今回の同人誌制作は、①最低限のオタクレベルまでレベル上げをする、ところから始め、ある程度の段階を踏んで計画的に進めるつもりだ。万一強〜いオタクに「なんだこんなゴミ作りやがって」と言われたとして、努力の過程を示して土下座をすれば、パンチはされても命だけは助けてもらえるかもしれない。
みくにゃん同人誌は遺書ではない。自己満足というエモーションを可視化させることだ。
これは生き延びるための活動である。
以下は、今回の活動における【目標】と【計画(予定している過程)】の2点。
◾️目標
・みくにゃん本を完成させる
・時間をかけてもいいので妥協せず、自分の納得いくものを作る
・ツイッターとnoteで制作記録を残す
※販売を第一の目的としない。
◾️計画
1.みくについて公式から与えられている情報を確認する
※調査を行うのはスターライトステージに限定する。その他の資料を参照する場合はあくまで参考とする。
2.解釈したみく像を記録する
3.小説のテーマを決める
4.プロットを立てる
5.書く
6.本の装丁について考える
7.印刷を依頼する会社を決めて、必要なデータの種類と規格を確認する
8.カバーイラストのイメージを書く
9.カバーイラストを依頼する
10.本文データを作成しながら、推敲する
11.表紙デザイン(カバーの内側)を決める
12.入稿する
※多少の順序入替は許されるものとする。
◾️まとめ・今後の展望
以上、これらに基づいて活動を進めていく。
noteでは、導入としての本文書の他、【計画】の各項目についての詳細や、作業進捗、発作が起きたら辞めた仕事の愚痴などを記録し公開したいと思っている。目的は3つある。
一つは、きちんとした文章を書く練習のため、読み手に伝えることを意識した文筆に手をつけていきたいから。
次いで、この取り組みを成功失敗に関わらず備忘として残し、今後なんらかの機会に活かせたらとの考えから。
もう一つ、誰かに見てもらえるかもしれないと期待をする気持ちがあるから。制作予定の同人誌はイベントでの頒布やオンライン販売を予定していないから、最後まで孤独な闘いとして完結する可能性がある。欲張りな話だが、それでは少し寂しいなと思うのだ。誰でもいいから、いつになってもいいから話を聞いてくれ。辛かったことと、好きなものの話を。
また、あえて全てのことに期限を設けていない。そして、基本的に制作は単独で行う。
一次創作冊子を作ったときに痛感したのだが、無からアイデアを手繰り寄せそれを文字にするという行為を経験する間、本来の時の流れを大きく超越していく。そして、締め切りまでに何文字、と焦れば焦るほど、何が楽しくてこんなことをしているのか、ということを考える。だ、だ、誰かに求められたわけでもないのに。それでまた自分が嫌になっちゃう。どうしようもない。
自分のための無職期間だし、自己満足を第一に考えたみくにゃん同人誌だ。自己嫌悪に陥っていては本末転倒なのだ。
あと過去を振り返ると普通に一緒に頑張ってくれた知人に引くほど迷惑をかけてしまったことがひたすらに恥ずかしい。ごめんなさい。無職の身分で、誰にも迷惑をかけたくはない。
最後に。
仕事を辞めるまで、ずっと誰かに話を聞いてほしかった。好きなものを好いて推しを推したかった。
そうできているつもりになるだけでもいいから、それが許される今、ちょっとだけがんばってみようかな。