リードしてから逆転されずに勝ちきる為の3つの方法✌️
(1)卓球は流れのスポーツ
前回の記事では、「ビンチから逆転する為の3つの方法」を紹介した。
そこでも書いたように、卓球の試合には流れがある。たとえ実力が拮抗した相手であろうとも、圧倒的に点差が開くこともある。あるいは、デュースまでもつれ込む接戦を繰り返した末の最終ゲームで11-3で決着がつく、といったこともごく普通にある。
またあるいは、10-5で誰もが勝敗が決まったと思ったとたん、大逆転で試合がひっくり返る、ということもよくある。あなたもそういった経験はあるのではないだろうか。
これらは卓球というスポーツにおいて「試合の流れ」という要素が非常に強いことから考えられる。
あっさりと試合が決まってしまうこともあれば、あっと驚く大逆転劇も起こる、というのが卓球の面白いところであり、同時に怖いところでもある。
今回は、前回の記事とは反対に、あなたがリードしている状況で、逆転負けを喫しないための方法を紹介させていただきたいと思います。
(2)なぜ逆転されてしまうのか
綿密に練った作戦を実行し、気迫のこもったプレーを繰り広げ、得点は10-6。
「ふう、10点取ったぞ。あと1点とれば勝ちだ」
そんな状況からの逆転負けは、精神的にもかなりのショックを覚えることだろう。
では、それまでリードしていたのに、あと「たった1点」取れば勝ちなのに、なぜ逆転されてしまうのだろうか。
それは、間違いなく心理的な状況の変化によるものだ。
❶気が抜けてしまう
9点、10点を取ったら、勝ちはもう目前である。というところで、人間はどうしても気が抜けて余裕が生まれてしまう。「もう、ほぼ勝ったな」と安心してしまうのである。
試合会場でも、点差を離して余裕があるから、入らなさそうなボールを無理に打ちにいったり、11点目をかっこよく決めようとしてミスしたり、といった光景をよく目にする。しかし、こういったプレーは非常に危険である。その1本のミスが、相手の「逆転のきっかけ」となってしまうケースも十分に考えられるからだ。
大きく点差を離した、10点目を取った、そこで「ほぼ勝った」気持ちになるのは分かる。だが、もちろん「まだ」勝っていはいない。勝負は最後の最後まで、何が起こるか分からない。11点目を取るまで、絶対に気を抜いてはいけない。
❷勝ちを意識して硬くなる。
2011年世界選手権の、張継科vs王皓の決勝戦。張継科がゲームカウント3-2とリードし、得点が9-5。ここで王皓が痛恨のサーブミス。10-5となり、誰もがそのまま試合が決まると思いきや、ここから張継科はミスを繰り返し10-10にまで追いつかれてしまう。
張継科は「勝ち」を意識して体が硬くなり、それまで普通に入っていたボールが、全く入らなくなってしまったのである。
こういったことは、ビッグゲームになればなるほど顕著に見られる。
結局最後は張継科が踏ん張って勝ちをもぎ取りはしたが、10-5の時点では余裕の表情だったのが、失点を重ねるごとに表情がこわばっていく様が見てとれる。
そして王皓の方も、相手が硬くなっていることを把握したうえで、サーブを出す位置をフォア側に変えたり、ロングサーブを出したり、それまでより若干トスを高くしたり、わざとスピードを落とした緩いボールを出したりと、揺さぶりをかけている。このあたりは逆転する側としては非常に参考になるプレーだ。
(3)逆転されない為の3つの方法
❶リードしているということを忘れる
リードした状況から逆転されない為に、まず大前提となるのが、「絶対に気を抜かない」ことである。「気を抜かない」と簡単に言っても、気は抜けてしまうものなので、気が抜けない為の方法を考えよう。
▣得点を見ない
審判の得点板を見て、「10-7」となっていれば、どうしても少しは気 が緩んでしまうものである。それならば、いっそ見ないようにするのも手 である。これまでの状況は忘れて、ただただ、目の前の一本を取ることの みに集中しよう。
▣得点が逆だと思い込む
あるいは、「10-7でリード」ではなく、「7-10で追いかけている んだ」と思い込むのはどうだろうか。さらに言えば、「3-10だったと ころから、追い上げて7-10まで来た」という風に考えれば、気持ちが 抜けることはなく、より引き締まって積極的にプレーができるであろう。
❷これまでどうやって得点していたのかを分析し、そのまま継続 する
逆転する方法と同様に、リードしている際もこれまでの自分のプレーの分析は重要である。
▣どのサーブが効いていたのか
▣どのレシーブが効いていたのか
▣ラリーでの得点が多かったのか、3,4球目での得点が多かったのか
しっかりと振り返り、そのプレーを継続しよう。
リードしていて余裕があるからといって、急に今まで出していなかったサーブを出したりすることは、危険である。
フォア前へのサーブが効いていたなら、徹底してフォア前。バック対バックのラリーで得点していたなら、そのままバック対バックでの戦法で押し切る。
余計なことは考えず、これまでと同じことを徹底して続けよう。もし相手がそれに対応してきたなら、そこで初めて作戦を変更すればよいのである。
❸強気で攻める
リードしたときに自身の心理的な変化があるのは当然のことである。そこで、あと1点を取る為に、「安全に入れるか、強気に攻めるか」の選択に迫られることがあるだろう。
ここは間違いなく、「強気で攻める」ことを勧める。
リードしている状況ということは、相手は崖っぷちなので強気でガンガン攻めてくるはずである。安全に入れにいったところで、相手は攻めてくるので、いいボールを打ちこまれることが想像できる。
それに、安全なプレーはどうしても気持ちが消極的になりがちだ。それは相手にも必ず伝わる。相手に「お、勝ちを意識して入れに来たな」と思われたら、逆転負けパターンまっしぐらだ。そうならない為に、強気で攻めることを心掛けよう。
また、「強気で攻める」とは「なんでもかんでも強打する」という意味ではない。
ストップならピタりとネット際にストップ。ロングサーブなら思い切ってスピードを出す。ループドライブならネット深くに思い切り、とミスを恐れず積極的なプレーを選択しよう。
(3)それでも、逆転されることはある
「10-5でリードした。ふう。よし、勝ちはもうすぐだ。」
↓
「あれ、10-7になったぞ。このまま逆転されたらどうしよう」。
↓
「あっという間に10-10に追いつかれた。どうしよう、目の前が真っ暗だ。」
↓
「そのまま10-12で逆転負け。最悪だ。」
これまで逆転されない為の3つの方法を紹介してきました。しかし、どれだけこれを実践しても、逆転されるときは逆転される。これは仕方がない。
それを少しでも防ぐために、こういう考え方もある。
将棋などは、一手目から勝負が決まるまでで、1試合だ。
しかし卓球の場合は、点取り合戦だ。
「“試合をして勝った方が1点を得る”ということを、どちらかが11点になるまで繰り返している」というようにも考えられる。
要はジャンケンを11勝するまで繰り返しているようなものだ。
仮に自分がジャンケンで10連勝したからとって、その後相手が11連勝したって、なんら不思議なことではない。なので、「リードしてもどうせ逆転されるんだ」というように考えれば、変に気負わず、平静を保ったプレーができるだろう。
もしくは「自分が5点連続で取ったなら、次は相手が5点連続で取る番だな」くらいに思っていればよい。そのように考えていれば、たとえ10-10に追いつかれたとしても、「ほらやっぱりね」という気持ちで、プレッシャーを感じることなくプレーができる。
♣まとめ
❶リードしているということを忘れる
❷これまでどうやって得点していたのかを分析し、そのまま継続する
❸強気で攻める
以上が、筆者が考える逆転されない為の3つの方法です。
実は、わたし自身も逆転負けを喫することがよくある。そのときわたしは、典型的な逆転負けパターンのプレーをしている。
▣リードしていることから余裕が生まれて、安全に入れてしまう
▣余裕があるとこれまでと違うプレーをしてしまう
▣追いつかれだすと弱気になり、どんどんプレーが消極的になる
こうなった時には、ほぼ100%逆転負けを経験している。なので、これと逆のことをすれば必ず勝ちきることができる。
普段、リードしていて逆転負けをよくするという方は、今回の内容を参考にして、目の前に迫った勝利を確実にものにして頂きたい。
次回は、ヤマを張って攻めろ!!を紹介させていただきたいと思います。
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