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散文|大学生のときの記憶から、今に至るまで

久しぶりに昔の友達たちと、懐かしい場所で、くだらない話を語り合うと色々と思い出してしまう。

よく考えたら別に語り合ってもいないし、みんなそれぞれの今を生きていた。それでもやっぱり懐かしいなぁと思う気持ちが大きくなる。とくに長い長い帰り道には。

昔から私の帰り道は長い。
東京に住んでいる時は全然誰にも会わなかったのに、遠くに住んでいると、なぜか人に会う機会がちょっとだけ多い気がする。
もうそういう運命なんだと思うことにする。

語り合ってはいないけれど、今日は酒とタバコの匂いがムンムンする懐かしい思い出の場所で、男の子の恋バナをみんなで聞いてた。
聞くというよりも、男の子の今後の行動についてみんなが各々の意見を出し合っていた。

男の子の話の概要は、男女の友情、みたいな話だった。

男女の友情ねぇ。

昔は、本当にあると思っていた。信じていた。

別に、友情じゃなかった関係もたくさんあった。
私が好きだったり、お互い実はちょっといいなと思ってはいるけど特に何かすることはなかったり、好意を寄せられてることを知っていながら友達のフリをし続けていたり。

でも、本当に友情なんだって思ってた関係も確かにあった。

記憶は曖昧だけれど、大学時代はその人となぜかたくさんの時間を一緒に過ごした。
あんまり他の人にわかってもらえないだろうなって話もなぜかその人にはできたし、信頼していた。
よく分かんないことでケンカしたり、でも気付いたら仲直りしていたり。

女友達とは違う、相手に対する同性ゆえの嫉妬とかもなくて、居心地が良かった。話していて楽しかった。

なぜか理由は分からないけど、一緒に出かけたことも何度かあった。今思えば完全にデート。何度も私はその人とデートをしていた。

だけど別に、恋愛関係には発展しなかったし
お互いのタイミングで誰かを好きになったり、付き合ったり、降ったりフラれたりしてた。

その人と他の友達と3人で朝まで飲んだ時もあった。
私は、カルアミルクにハマっていた。
本当に楽しい時間だった。
その人は、友達の家のトイレにスマホを落としていた。スマホが壊れたかどうかは忘れたけど、馬鹿だなーと思いながらその日も長い長い時間を帰りの電車で過ごしてた。

思い出しきれないくらいたくさんの時間を私はその人と過ごした。

卒業してからもたまに会うことはあったけれど
暫くして関係は途絶えた。
理由はよくわからない。どっちかに彼氏ができたとか、彼女ができたとかそういうのではなかったとは思う。

でも、その時はとても悲しかった。
私が何か悪いことをしたのかもしれないけれど、向こうから一方的にピシャリと扉を閉められたような記憶がある。きっと悲しい思いをさせてしまったのだろう。

私ももうこれ以上悲しくなりたくなくて、そのことについて考えるのはやめた。

そのあと、私は人生がガラッと変わるような出来事が続いて、大学生の頃の私はもうほとんど残る余地がないほど辛くて、苦しい日々を過ごした。本当につらかった。

暗くて細い道を一生懸命ひとりで歩いていたら
いま、一緒にいる男性と出会った。
そこからその男性、今の旦那との日々が始まった。

もう、大学生の私はこの頃には完全にいなくなった。

そのあとも必死で毎日を過ごして、
辛くても苦しくても、彼を一番大切にして生きてきた。

その先で、2人で生きていく人生に巡り会えて、私は少しだけ、苦しさから解放された。
1人じゃなくなった。彼が私を暗闇の中から救ってくれた。

そんな少し安定した生活を手に入れた今、昔の友人たちとも、安定したメンタルで会えて話せて。
今日なんか、代が被っていない子とも新しく知り合えたりして、とっても楽しい1日だった。

あぁ、こういう日々、懐かしいな。

そう思うけれど、私には大学時代たくさんの時間を共にした友達がいる。

もう何年も会っていないけれど、なぜだか、楽しかった記憶ばかりが込み上げてくるんだ。なんでだろう?

その人について思い出したことは今回がはじめてじゃない。何度か、あの関係は一体なんだったのかを考えたことがある。

もしかしたら、私が都合よくその人を扱っていたのかもしれない。彼は楽しかったんだろうか?なんで私なんかと多くの時間を過ごしてくれたのだろう?なぜ、心のこもった手紙をくれたりしたんだろう。

心地よくて、懐かしくて、ありふれていた日々
いつのまにか蓋をして閉じ込めていた記憶

終わりなんて待っていなかったよ

ずっと、こんな関係が続くと思っていた。

なんて、
帰り道の時間が長ければ長いほど、終わりのない問いに悶々としてしまうからさ、帰り道が長いのは嫌なんだよ。でも、仕方ないね。

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