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「米倒産14年ぶりの高水準」の日経記事について

昨日の日経の夕刊にこういう見出しの記事が出ていた。

米倒産14年ぶり高水準」(2025年1月8日 日本経済新聞 夕刊)

この記事のリードには、『2024年の米企業の倒産件数は694件と前年比9%増え、リーマン危機の影響が残る10年以来14年ぶりの高水準になった。』

ここだけ読んだ人は、「米企業の倒産は700件もないのか?ずいぶん、少ないな~」と思ったのではないだろうか。

これは、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスが発表したもので、破綻時の資産か負債が200万ドル以上の倒産に限定されている。

もちろん、全部記事を読めば、そこまで分かるのだが、誤解を与えかねない記事だと思った。 

以前に投稿したが、米国の企業倒産は年間23,000件弱ある。
「鈍化する米企業倒産の増加率」

しかも、こちらの出典はUS Bankruptcy Courtsである。出店の権威としては、一民間企業より高い。

無論、この数値は裁判所が出したもので、法的整理に限定される。一方、S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスの集計したものは私的整理も含むのかは定かではない。

日本の倒産だって1万件前後あるのだから、経済規模が2倍以上の米国では、2倍かそれ以上の倒産件数があると考えるのが自然だ。

ちなみにこの記事は9月末時点での直近12ヶ月の数字である。今日現在、12月末の数字は発表されていない。

増加率が鈍化したといっても18%もあるので、12月末時点の数字は23,000件を超えるのは確実だ。

12月末の数字が発表されたら、Noteでも取り上げたいと思う。日本では信用調査会社による2024年の倒産件数がそろそろ発表されるはずだ。

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牧野和彦@与信管理&コーチング
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