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与信限度額の設定方法

与信管理における確立された手法として、与信限度額による管理がある。

一方、与信限度額の設定方法については、各社各様のやり方をしていて、一律ではない。

そのため、企業の与信管理担当者の中には下記のような問題意識を抱えている方も多い。

・他社はどんな方法で設定しているのだろうか?
・当社の設定方法で問題ないのか?
・一般的にどんな設定方法があるのか?

こうした疑問を解消すべく、ここでは、与信限度額の設定方法についてまとめてみたい。

この記事を読むことで、主に下記について理解できる。

・与信限度額とは
・与信限度額を設定する目的
・与信限度額の決定要因
・一般的な与信限度額設定方法10種類
・自社にあった与信限度額設定方法


1.与信限度額とは


与信限度額とは、売掛での取引、つまり与信取引を行なう上での限度額のことで、1社に対する売掛残高に関する限度額である。

英語では、Credit Line、Credit Limitという。

与信限度額は、通常顧客の信用度に応じて顧客ごとに金額で設定される。

与信限度額を設定する上で、考慮しなければならないのは、与信限度額を絶対的なものとするかどうかという点である。

内部統制の観点から言えば絶対的が正解である。

営業機会との観点から、金額の変更を柔軟に行なうべきであるという考えもある。

しかし、与信限度額を随時に変更していたのでは、与信限度額を設定する意味がなくなる。

従って、基本的に与信限度額は絶対的なものであるとまず定め、その上で例外認める場合もあるとする。

さらに、例外的なケースへの対応や決裁権限をあらかじめ決めておくのが理想だ。

また、一般的に与信限度額は2種類の意味で使われる。また、この2つが混同して使われている場面も多い。

取引上で必要な与信限度額と理論上適切な与信限度額である。

取引上で必要な与信限度額は下記の式で求めることができる。

一方、理論値による与信限度額は全て下記の式で求めることができる。

つまり、理論上算出した与信限度額の範囲内に、取引上必要な限度額が収まっているのかどうかを検証することになる。

理論値による与信限度額の設定方法について解説していくのだが、その前に、知っておいていただきたい大前提がある。

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なお、下記の文章は弊社で25年間にわたり販売してきた「与信管理マニュアル」『第8章 与信限度額の設定』から抜粋、加筆修正したものです。

上記マニュアルは、5万円でこれまで240社以上の企業に購入いただいた実績のあるものなので、ご安心ください。

また、このマニュアルは国会図書館にも所蔵されています。

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