鈍化する米企業倒産の増加率
US Bankruptcy Courtsによれば、2024年9月末時点で直近12か月の企業倒産件数は、前年同期比で2割増加した。
3か月前と比較すると伸び率は鈍化した。
下記がChapter別の件数と合計数である(カッコ内は前年同期の数値)。
Chapter 7 12,100件(9,435件)
Chapter 11 8,608件(6,097件)
Chapter 13 1,569件(1,228件)
その他 485件(291件)
合計 22,762件(17,051件)
Chapter 7は日本の破産に相当する清算型の手続きだが、前年同期比で18%増加。
一方、Chapter 11は日本の民事再生法に相当するが、こちらは22%増加した。
また、2024年6月時点の合計件数と比較すると、3%ほど増加している。
米国企業の倒産は増加基調ではあるものの、増加率は落ち着いてきた。
11月の大統領選直後に開かれたFOMC(米連邦公開市場委員会)では、政策金利を0.25%引き下げた。
4年半ぶりに政策転換した9月のFOMCでは、0.5%の利下げだったが、その後、雇用関係の数字が予想よりも良かったこともあり、下げ幅は縮小された。
米の政策金利は4.5~4.75%となった。
12月のFOMCでは、利下げは見送られるとの観測も出ている。
消費者物価の上昇幅は2.6%であること、その他の経済指標から、利下げがインフレを再燃させる可能性があるからだ。
一方、トランプ次期大統領は金融政策への介入を公言しており、パウエル議長を任期中でも降板させると示唆しているが、法律上難しいとされる。
パウエル議長が2025年末の任期で退任すると、次は政府の意向を汲む金融政策を取る人物が指名される可能性が高い。
中央銀行が政府の意向に沿うのは恥ずべきことだという声は米国内でも強いが、そうならざるを得ないだろう。
12月は利下げを見送ったとしても、トランプ政権の圧力で2月のFOMCでは、再び利下げを行う可能性が高い。
一般的に金利の低下は、企業の資金繰りを好転させ、利益率の増加につながる。
こうした状況を鑑みると、米企業倒産のピークは来年の早い段階で訪れると思われる。