未来2024年2月号詠草 『受けいれる』
未来2024年2月号詠草 『受けいれる』 風野瑞人
生きていることがデジャブになっていく 陽ざしに光る揺れない水面
かじかんだひとさしゆびを差し出して風を求める いやもうやめる
運命はただの確率だっただけ 襟を立てるともてあそばれて
追いかけて追いつけなかったうさぎの眼 あるはずだった未来を見送る
白い息 氷るひとりごと 散策のたびに唱えてみるのも終わり
せめぎあう草木の記憶だけを抱く 永久凍土へ捧げるオマージュ
木枯らしと宵の明星 刺すような空気を胸に受けとめていゆく
半分の月が出ている 何度でも両目を閉じたら開ければいいさ
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