思い出ばいばい ―ショートショート―
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へい、どうしたんですお嬢さん。
ふむ、恋人の記憶を返して欲しい、とな? その恋人ってぇと……ああ、あの青年ですかい。私としても返してあげたいところではありやすが、しかしこれも商売でしてね、ええ、もともと彼が借金をしでかしたんでしょう? とんでもねぇ額だってもんで、臓器を売っぱらおうにも強盗しようにも、ちょっとやそこらじゃあ返し切れねぇってぇ私のところに来たんでありやす。
世の中、もの好きってやつぁヘンテコが多いもんでして、ひとりひとり変わったご趣味を持っていらっしゃる。だからこそ、私のような商売も成立するんでありやす。
ええはい、〈記憶屋〉ってやつですぁ。
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