欧米の動物愛護活動家による、アジアの犬食文化批判について
米国の動物愛護団体(No Dogs Left Behind)が、中国・広西チワン族自治区で毎年開催される「玉林犬肉祭り」から29匹の犬を「救出」し、ロサンゼルスに到着したとの報道を目にした。記事中の活動家たちの写真は、野蛮な風習の下で殺され食されていく犬たちを救い出した事に対する誇りで満ちている。この写真に大変嫌な気持ちを抱いた。
中国や朝鮮、東南アジアなどのアジア地域では、古来から貴重なたんぱく源として犬は食されてきた。日本人にとっても他人事では無く、近世まで犬食文化は確かに存在していた。私自身は犬を食そうとは思わないし、食することに抵抗を感じる。しかし、其々の国や地域、民族に固有の食文化が存在する事は尊重していきたいと思う。
「愛玩動物である犬は食するべきではない」といった欧米の価値観を基に、この活動家たちからは、アジア人の食文化を未開で野蛮なものであると蔑んだ視線を感じる。
次の引用のように、彼らの主張する犬の「救出」に当たって、一切の対価を支払っていない。この活動は愛犬家による美談ではなく、文化的な多様性を尊重しない傲慢な欧米人による、貧しい犬食産業従事者が生きていく為の資産の「強奪」でしかない。
No Dogs Left Behind does not exchange money for dogs. Rather we aim to shut down and intercept dogs being traded and sold by illegal dealers and traffickers.
(中略)
The brave activists and No Dogs Left Behind team risk their own safety for the life of the dogs.
(引用:No Dogs Left Behind "Step 1: EMERGENCY RESPONSE and EVACUATION")
活動家は「勇敢な活動家達は犬の生命の為に自らの安全も危険に晒している」とも誇らしげに記している。次のTwitterアカウントは、(恐らく牛肉食で逞しく育った)屈強な活動家が犬を愛でる姿だ。このような刺青の入った大男が押し入り、貴重な資産である犬たちを奪っていく事を想像すると、犬食産業従事者に同情を禁じ得ない。
この活動家たちは何年間も同様の活動を行っており、今後も続けていくだろう。また、AFPをはじめとする欧米メディアは美談として報じ続けるに違いない。しかし、各地の文化的な多様性を尊重しない、欧米の価値観を押し付けられるだけの国際化ならば、反意を抱く。