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【映画】ボケから始まる実家バトルロワイヤル 「ファミリー☆ウォーズ」(2018)

 認知症患者が運転する車が凄惨な事故を起こす。そしてその責任はその家族が背負わなくてはいけない。今回紹介する映画「ファミリー☆ウォーズ」はそんな重く、苦しいきっかけからストーリーは展開する。2018年公開の本作の監督である坂元祐吾は最近では「ベイビーわるきゅーれ」などで頭角を表し始めた新進気鋭だ。

 物語の舞台となるのは祖父、母、父、長女、次女、長男、次男で構成されるごく普通の幸せそうな家庭、福島家。認知症の祖父が車で少女をひき殺したことで家族に亀裂が生じる。少女の死体を家族で山に埋め、一難去ったと思われたが呆けた祖父は次から次へとトラブルを起こしていく。

 この映画の見どころはなんといってもそのスピード感だ。全体で76分という短めの作品だが、その中でも話が二転三転する。アイドル志望の娘が腕に違和感を覚え、病院にいったと思ったらいつの間にかその腕は切り落とされてたり。祖父を殺そうと餅とこんにゃくゼリーを家族総出で食べさせたら、それが失敗して恋人と性行為中の長男の部屋に突撃しゲロをぶち撒けたり。とにかく話の展開が瞬く間に変わっていく。こうして呆けた祖父のトラブルによって福島家はバトルロワイヤルと化していく。

 認知症のおじいさんが少女をひき殺すという実際にあった事故をコメディカルにオマージュしたことで物議を醸した作品ではあるが、ホラー、コメディ、アクション、様々な視点で楽しめる。76分という短い作品なので、ぜひ退屈の講義中、教授に隠れて見てほしい。
脚本・監督=阪元裕吾、制作=2018年、上映時間=76分
(F)

紙面

(本記事は熊本大学新聞2024年7月22日付 第224号4面に掲載されたものです)

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