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人生邂逅 ・まなび編 ◆仏教読書会から -41
正法眼蔵随聞記 六節 14項 「世間の人自ら云く」より
学道の用心と云ふは、我が心にたがへども、師の言、聖教の言葉ならば、暫く其れに随って、本の我見をすてて改めゆく、この心、学道の故実なり。
【口語訳】
仏道を学ぶ心がけというのは、自分の気持ちに合わなくても、師の言葉、聖教の言葉ならば一応それにしたがって、もとからの自分の見解をすてて改めていくことである。
この心が仏道を学ぶ秘訣である。
この一節を読んで、心に浮かんだのが現役時代に会社で受けた研修。
今から思い返してみても、人材育成には力を入れていたのだと改めて感謝です。
新人研修に始まり、階層別研修や部署別の独自研修や希望を募っての研修もありました。
ただ、強制的に指定された研修では、
どうしても
「なぜ、いま。仕事を離れてまで」
「そもそも、これだけ時間をかけて、意味はあるの?」
といった思いが先に立ち、
素直に受講する気にはなれない。のが本音でした。
半日ならまだしも、丸一日、一泊二日、二泊三日となると、もう観念するしかありません。
まさに、我見をすてて、講師の話に真剣に耳と心を傾ける。
毎回がそうだったとは言えませんが、結果的には、その姿勢で臨んだ時のことは今でも記憶に鮮明に残っているものがあります。
その中でも特に印象深いのは、階層別研修で川上真史さん(ビジネススクール教授)の研修です。
以前にも一度お話した記憶がありますが、
「カマスの話」と「ある製薬会社の話」が、強烈に記憶に残っています。
「カマスの話」は有名ですので、割愛しますが、
「製薬会社の話」に、少し触れさせて頂きますと
有名な製薬会社の経営者に頼まれて、成長が鈍化している事業を立て直す策を提示することになったそうです。
そこで、会社に出向き、いろいろな方と会って話を聞いたところ。
これだ! という結論に辿り着いたと。
それは、役員昇格試験で合格と判定された論文を実行すること。
だったそうです。
立派な論文が会社に提出され、高い評価を得るが、そこで終わり。
まさに、絵に描いた餅。
ここで、川上さんが提案したのは、
「その立派な論文の内容を実践してください」
でした。
それ以降、この企業は目覚ましい成長を遂げたそうです。
この研修で学んだことは、行動することの重要性。
どんなに素晴らしいアイデアも、考えているだけでは何も価値を生まない。
行動することによってのみ、成果となる。
とても、わかりやすい論理です。
もう、かれこれ20年も前のお話です。