見出し画像

関係人口創出をめざす ワデュケーション in 秋田県鹿角市

こんにちは!ミライ研 研究員の水谷です。

ミライ研の取り組みとして、昨年から実証をはじめている「ワデュケーション」。2024年は秋田県鹿角市にて、5月と8月の計2回実施しました。
本日はワデュケーションの概要と、その実証模様についてご紹介いたします。


ワデュケーションとは

”地域を学ぶ”新しいワーケーションの形

リモートワークの普及によって加速したワーケーション(Work(仕事)+Vacation(休暇))はみなさんも良く耳にするかと思います。地域にてリモートワークを行いながら、その地域の観光要素にも触れるものですね。
 
対してミライ研で実施しているものは、Work(仕事)+Education(地域学習)+Vacation(休暇)を組み合わせた体験プログラム「ワデュケーション」です。
 
せっかく地域に足を運ぶのであれば、一般的な観光で終わるのではなく、その地域固有の文化・食・自然を体験したり、地元の方々と交流できるような要素を混ぜることで、地域への愛着醸成にも繋がり、再訪や購買、口コミ発信など、その地域への関与も増えていくと期待しています。
 
ワデュケーションには、地域活性化に興味があるさまざまな企業の社員が参加することによって、地域外に拠点を持ちながらも多様なかたちで地域に関わる「関係人口」創出の可能性を検証する取り組みでもあります。

(参考)ワデュケーション in 佐渡島

2023年には新潟県佐渡市にて廃校を活用した酒蔵のコワーキングスペース"学校蔵"にてリモートワークを実施しながら、業務以外の時間で佐渡島の方々とともにJA羽茂のおけさ柿選果場にて「おけさ柿」の選定・箱詰めの就業体験や島内の観光等を行いました。実証の結果はレポートとしてまとめておりますのでぜひご覧ください。


ワデュケーション in 鹿角

祭りをフックにしたワデュケーション

佐渡市でのワデュケーション実証によって見えてきた課題のひとつが、いかに地域との継続的接点をつくるか、ということでした。

そこで、秋田県鹿角市では、地域の深い文化である世界遺産の「花輪ばやし」祭りへの参加等による地域愛の醸成や地域交流を意識したワデュケーションプログラムを行いました。

秋田県鹿角市のワデュケーションモデル

また、今回の取り組みは、地域で関係人口コミュニティを創ることをめざす「アグリ・スマートシティ」プロジェクトを行っているANA総合研究所と連携しております。https://www.anahd.co.jp/group/ari/vitalization/agri-smart-city/

プログラム概要

第1回(5/22〜24)
リモートワークをしながら3日間地域に滞在し、地域貢献活動や地域の魅 
力と課題を深く知り、考えるプログラムを実施しました。

▼体験活動
・ボランティア活動(世界遺産 ⼤湯環状列⽯の史跡整備)
・就業体験(リンゴ農家 佐藤秀果園での摘果作業)
・商店街街歩き(千歳盛酒造、関善賑わい屋敷)
・お祭り(花輪ばやし)の事前学習

▼地域住民協働ワークショップの実施
・鹿角市の魅力や課題を出し、地域活性化施策を地域のみなさまと検討

▼交流会
・「ホルモン幸楽」で鹿角ソウルフード、鹿角ホルモンを堪能

第2回(8/19〜22)
リモートワークをしながら4日間地域に滞在し、班別で地域リサーチや、地域密着の祭り参加等の体験活動を行い、シティプロモーションを考えるプログラムを実施しました。

▼体験活動
・花輪ばやし(ユネスコ世界無形文化遺産)祭りの担い手として参加
・⿅角紫紺染・茜染研究会、ゲストハウス、農業法人、鹿角高校などに訪問
・澄川地熱発電所⾒学、尾去沢鉱⼭⾒学など

▼地域住民協働ワークショップの実施
・全二回のワデュケーションでの学びをふまえ、「鹿角の魅力をどう認知 
 拡大させるべきか」地域住民と共同で検討

▼交流会
・地域の方と「道の駅おおゆ」にてバーベキュー交流 

最後に


今回のワデュケーションには多くの方が参加し、鹿角市の魅力や地域性について学びました。特に、花輪ばやしに担い手として参加できたことは、人手が不足する祭りの運営に貢献できました。

また、地域の方々と18時から27時にかけて夜通し一緒に過ごして会話を重ねたことで、祭りの一体感と共に、地域住民の温かいお人柄も良く分かり、参加者の地域愛醸成につながりました。

人の魅⼒や温かさに直接触れることは、関係人口創出のトリガーとしても重要です。

次に、課題であった継続接点の強化については、参加者が鹿角市の関係人口施策である「鹿角家」や、地域住民とのチャットグループ(メンバー42名※9月末時点)に参加することで、継続的な鹿角市とのつながりが生まれています。チャットでは、地域住民から市内イベントの情報発信や、参加者が鹿角の地酒「千歳盛酒造」を東京の飲食店で堪能している写真が発信されるなど、域内外双方で発信されています。

引き続き、関係人口を増やすことによる地域の活性化をめざし、ANA総合研究所をはじめ、多様な企業との連携を進めていきたいと考えています。

最後に、本プログラムの成果と課題を取りまとめた実証レポートを作成中ですので、その詳細等については、改めて記事を書きたいと思いますので、お楽しみに!

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?