2024年公開映画ベスト74
今年は、74本の新作映画が対象。
ベスト10
1 化け猫あんずちゃん
化け猫や妖怪が実態をもって存在する。子供にしか見えないとか、そういう訳でもない。あまりにも自然にいるから、パニックにならない。皆受け入れざるを得ない。化け猫は親戚の気さくでだらしないおっちゃんみたいな感じでちっとも可愛らしくないが、好きにならずにいられない。
お母さんが亡くなり、親父は借金まみれのダメ人間(しかもいなくなっちゃう)。主人公のかりんちゃんは、まあまあ捻くれてて素行がまあまあ悪い。そんな背景もあり、シリアスになってもおかしくないが、本作は世界観的にすべてがちょっとだけシュールで、ずっとうっすら笑って観てた。住職の目が点で落書きみたいなキャラデザなのも妙に面白い。最初の五分ぐらいで「これ好きなやつだ」と確信。
終始ニヤニヤしながら観てた。あらすじも予告編も観てなかったから、山下監督だし日常系のまま終わるかと思ってたら(それでも良いと思えるぐらいには面白い)、終盤にはしっかりとスペクタクルが用意されていて、それがしっかり面白い。ノーマークだったが、素晴らしい作品だった。シリーズ化してほしいぐらいだが、興行的に厳しいか。
2 数分間のエールを
最初はCGに違和感があったし、やたら爽やかな雰囲気でついていけないかもと思ったが、かなりしっかり苦味を描いているのが良かった。まだ挫折を知らない主人公が故の失敗。
MV制作に没頭する若者が主人公という所が珍しく、デフォルメされているとはいえ、制作過程を見せてくれるシーンが熱かった。
クライマックスの成果物もとてもよくて、ちょっと泣いた。
クリエイターの端くれだったあの頃が強く思い起こされた。
3 ミッシング
娘が行方不明で疲弊していく母。サスペンス的な展開はほぼないが、登場人物の描き方が丁寧でリアルで見応えがある。役者全員良いが、主演の石原さとみには圧倒された。
超シリアスな状況なのに、笑ってしまう瞬間をサラッと入れてくるのも憎い。下手したら台無しにしてしまいそうなのに、それがあることでシリアスへの振れ幅がより大きくなっていて、ドラマとしての厚みも増している。
皆、「もう見つからない」と思っているが、それだけは絶対に誰も口にしない。安易なオチをつけないことで、非常に真摯な作品として仕上がっている。
4 フォールガイ
こういうハリウッド映画が観たかった!ド派手なアクションラブコメディ。一昔前の景気の良い時代をパロッてるように無駄に爆発が起き、無駄にありえないクラッシュが連発する。主演をスタントにしたことで、必然が生まれているわけでもないのに、そんな出来事が次々と起きるのが可笑しくて嬉しい。どこかで見たような展開ばかりなんだが、むしろそれが面白さに繋がっててて、エンドロールまでひたすら面白い。
5 落下の解剖学
ある男が転落死し、状況的には妻が犯人である可能性が極めて高い。しかし、果たして真相は…?と、ミステリー仕立てではあるが、むしろ本作は法廷劇を通じて語られる夫婦間の話であり、それ以上に、確定しない真実との向き合い方の話であり、重要なのは真相ではない。
一つの地味な事件で、大きな展開もなく、リアリティ重視の硬派な内容で2時間半走り切る。諍いの内容もめちゃくちゃリアルで面白い。すべての人が関係者になりうる、投げかけるような作品で、集中力が切れず没頭できた。
6 青春18×2 君へと続く道
青春ものでありつつも回想の形なので、割と40代の私も過去の後悔を思い出したりしながら、グッと心をつかまれ、ダメージを負いながら半泣きで観た。ふてくされた役多めの実力派女優、清原果耶が表情豊かに、溌剌とした笑顔を見せたりすると、そりゃあ恋に落ちずにいられない素晴らしい魅力。
よくある話ではありつつも、岩井俊二リスペクトを込めつつ、瑞々しさと痛みを美しい映像とともに表現する藤井道人監督の手腕が冴えまくっていた。
7 セーヌ川の水面の下に(Netflix)
サメ映画の名作がまた一つ。フランス映画らしく映像はカッコよくて高級感あって、それでいてしっかりえげつない。犠牲者めっちゃ多い。
サメさん大暴れの見せ場が多く、しかも見事に右肩上がり。テンポ良くてずっと面白い。まさかそんな結末になるとは…。なんて豪快で素晴らしいのだ。
8 十一人の賊軍
囚人達で構成される賊軍が、生き残るために戦う。アクションもりもりの派手な時代活劇。こういうの定期的に見たくなる。ちょっと長くて疲れるけど、だれることなく「13人の刺客」に負けないぐらい面白かった!
9 ツイスターズ
冒頭の悲劇が相当怖かった。パニック映画としては地味かもしれないが、竜巻の迫力はあるし、次々と出てくるので緊張感は持続されていて、ずっとドキドキできた。登場人物も魅力的。主人公可愛いし、登場時は速攻死にそうな振る舞いをしてたカウボーイのキャラも意外性あって良かった。
10 密輸 1970
昭和な雰囲気の密輸海女さんサスペンス。三つ巴四つ巴で、手を組み、騙し、命がけで敵を出し抜いて金塊を手にせよ!という大好物な作品だった。
ストーリー展開も面白いのに、バイオレンスアクションもめちゃ面白い。海女さんだからできる水中アクションも面白い。更にサメも出てくるんだから、サービス精神どうなってんだ。
ベスト30
11 シティーハンター(Netflix)
12 ベイビーわるきゅーれ ナイスデイズ
13 あんのこと
14 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 前章
15 あの人が消えた
16 サユリ
17 ラストマイル
18 レッド・ワン
19 あのコはだぁれ?
20 FLY!/フライ!
21 罪と悪
22 地獄でも大丈夫
23 ソウルメイト
24 アット・ザ・ベンチ
25 蛇の道
26 ダム・マネー ウォール街を狙え!
27 リトル・エッラ
28 デッドデッドデーモンズデデデデデストラクション 後章
29 変な家
30 哀れなるものたち
「シティーハンター」もNetflix。やっと邦画で、超面白いシティーハンターが出来上がって大満足。まさか鈴木亮平があんなにハマるとは。
「デデデデ」は前章の終わり方で期待がぶちあがっただけに、後章が盛り上がりに欠けたのは本当に惜しかった。
「変な家」かなり酷評されてるけど、普通に面白かったんだよね。後に雨穴さんのYoutubeを見ることになり映画が怒られる理由は分かったが。
ベスト65
31 カラオケ行こ!
32 ゴールド・ボーイ
33 陪審員2番(U-NEXT)
34 マッチング
35 ホールドオーバーズ 置いてけぼりのホリディ
36 エイリアン:ロムルス
37 ジャワーン
38 ゴジラ×コング 新たなる帝国
39 ルックバック
40 夏目アラタの結婚式
41 辰巳
42 サウンド・オブ・フリーダム
43 アングリースクワッド 公務員と7人の詐欺師
44 きみの色
45 DOGMAN ドッグマン
46 梟 -フクロウ-
47 トラップ
48 Chime
49 チャレンジャーズ
50 52ヘルツのくじらたち
51 正体
52 ぼくのお日さま
53 ARGYLLE / アーガイル
54 ボーはおそれている
55 みなに幸あれ
56 悪魔とよふかし
57 夜明けのすべて
58 正体
59 カラーパープル
60 リトル・ワンダーズ
61 コンクリート・ユートピア
62 ありふれた教室
63 ナイトスイム
64 キラー・ナマケモノ
65 胸騒ぎ
このあたりも、上位は結構好きな作品群で、
下位群もそこまで大差ないが、あまり好みにハマらなかったものたち。
下位と採点不能
66 朽ちないサクラ
67 ペナルティループ
68 かくしごと
69 告白 コンフェッション
70 エクスペンダブルズ ニューブラッド
71 侍タイムスリッパー
72 ある閉ざされた雪の山荘で
73 毒娘
74 オーメン:ザ・ファースト
このあたりは、褒めどころがあまりなく、面白くなかった作品。
「侍タイムスリッパー」は絶賛の嵐ではあったが、よくある古臭い話と感じてしまって低予算をひっくり返すような面白みはあまり感じなかった。
「エクスペンダブルズ ニューブラッド」は、本当に長期間空けての続編で、すべてがパワーダウンしているという、存在意義を疑うような作品。シリーズのファンだっただけにガッカリ度が高かった。
「オーメン」もそんなに評判悪くないんだけど、オーメンの名を冠して、グロテスクで気持ち悪いホラーになっているのが、まったく受け付けなかった。ダミアン君は謎のままで良い。
・碁盤斬り
・ドリーム・シナリオ
・マンティコア 怪物
・オッペンハイマー
この4作品は、コンディションの問題で、グーグー眠ってしまって採点できなかった。他の三作品はともかく、「オッペンハイマー」はすごかったので、ちゃんと見られていればベスト30には確実に入れただろう。もう一回見に行けばよかったかな。