しょうゆとセラミド
前回の化粧品成分が何から作られているかと言う話から、面白い由来の化粧品原料について、何回か書いていきます。
SDGsと言う言葉があちこちで見聞きする様になりましたが、コスメの世界も無縁ではありません。今回はSDGsの観点で興味深い化粧品成分として、しょうゆの製造工程で発生する粕を用いた原料ご紹介します。
しょうゆ粕の新たな活用法
日本の代表的な調味料、しょうゆ。どの家庭にも必ずあると言ってもいいでしょう。しょうゆの製造過程では、生じょうゆを圧搾した後に粕が残ります。飼料や肥料として用いられていたものの、塩分が高いことや保存性が悪く、その他の活用が限られていたそうです。
そこで、福岡県醤油醸造協同組合やロート製薬の関連企業である株式会社ジェヌインR&Dなどが組んで、このしょうゆ粕からヒト型セラミドを抽出することに成功し、しょうゆ粕の新たな活用法を確立しました。
しょうゆ粕から作られたセラミド
ジェヌインR&Dのウェブサイトによると、化粧品における成分としてはヒト型のセラミドAP、セラミドNPの混合物となっています。
化粧品で用いられるセラミドとしては、酵母を用いてヒト型セラミドを生産する他、動物や植物からセラミド類似物質を抽出する方法や、工業的にセラミド類似物質を合成する方法などがありました。新たな製造法であり、しかも、利用が限られる物を有効活用しているのは興味深いポイントです。
ECOCERT/COSMOS認証を取得したセラミド
しょうゆ粕由来のセラミドは、ヒト型セラミドとしての作用以外に、オーガニックを重視する場合に使いやすいというメリットがあります。
ジェヌインR&Dのウェブサイトにも書かれていますが、しょうゆ粕由来のセラミドはECOCERT/COSMOS認証を取得していますので、製品レベルで認証取得を目指す場合にはぴったりの原料なのです。
実際に、しょうゆ粕由来のセラミドを配合した化粧品を開発し、COSOMOS認証を取得しているメーカーも存在します。
一石二鳥のメリット
ちなみみに、しょうゆ粕由来のセラミド製造には、もう一つメリットがあるそうです。最初にしょうゆ粕をアルコールで抽出するのですが、その際に出る抽出粕は、普通のしょうゆ粕に比べて保存性が良くなり、飼料としての利用価値が向上したという結果が出ています。
利用法が限られていた物の新たな利用法を見出し、さらに従来の利用法まで拡張することに成功しているというわけです。
今回はしょうゆの製造過程で出る粕から作るセラミドについて書きました。利用が限られていたものを有効活用しているので、SDGsの考え方にも沿った原料と言えます。
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