悟いろにおめでとう

長年のプリキュアファン、KLPです。

かなり遅くなってしまいましたが、「わんだふるぷりきゅあ!」の犬飼いろはと兎山悟がカップルになったことについて書いていきたいと思います。


プリキュアにおける恋愛描写

私を含めファンが大いに沸いた「悟いろ」成立。
悟が告白を決意してから初デートまで3話も割くという、公式サイドの力の入れ方には驚きました。

ファンが沸いたのには、長らく描かれてきた悟の恋が成就しカップルが成立したというだけでなく、ここまで濃い恋愛描写がプリキュアでは珍しいこともあります。

プリキュアといえば、女児向けアニメや女の子が主体のアニメとしては珍しいレベルで恋愛描写が薄いことが特徴の一つとして語られていました。
過去には、初代の美墨なぎさのように片思いが設定されていることはありましたし、時に淡い恋心を抱いたり、誰かから思いを寄せられたりすることもそこそこ起きてはいますが、物語全体の大きな流れの中ではあくまでエッセンスのようなものでしかありませんでした。
また作品によっては、全く恋愛の要素を出さないものもありました。

詳しくはこちらの記事が分かりやすいです。

補足すると、5/5GoGoの夢原のぞみとココはいわゆる告白の場面がなかっただけで、両思いなのが察せられる仲ではありました。5GoGoの映画ではキスシーンまであります。「オトナプリキュア」を持ち出すまでもなく恋仲です。
また、秋元こまちとナッツ、春日野うららとシロップも概ね両思いと見ていいはずです。
「コクる」「彼氏」でブーイングが来たというのは5の次のフレプリだったと思うので、5の頃は初代~SSの延長にある恋愛模様としてまだ描けた方だったのではないでしょうか。
恋愛以前に、助けを求めている妖精とプリキュアという関係でもあったので、恋愛に傾きすぎないバランスの良さもあったのかもしれません。

ハピプリはブルーが何かと批判を集めやすく、恋愛そのものも随分辛い展開になったイメージがあります。

(ここまでのことは引用記事の筆者も知っていると思います)

それと個人的な感じ方ですが、デパプリの品田拓海は、かなり踏み込んで描かれた方だと思います。
分かりやすい進展はありませんでしたし、プリキュアメンバーを視点とした描写でないところが遠慮したポイントなのでしょうが、なにせ幼馴染が心配で変身までして戦闘に加わるのですから、割とストーリー上も重要だったように見えました。

各話短く感想

第35話 悟の告白大作戦

悟が告白するに至った第35話。皆勤賞でありながら、悟にスポットが当たったのはこれが初めてとも言えます。
「ケイジくん」は思ったとおりのオチでしたが、意外と作戦に積極的な猫屋敷ユキや、求愛行動を学びはじめる悟はかなりおもしろかったです。
そして、やはりプリキュアと言えば薄い恋愛描写と思い込んでいた私にとって、いろはにはっきりと思いが伝わってしまう展開は驚きでした。
それも、まさかメエメエがバラしてしまうとは……。

メエメエの評判が一気に下がる事態となっていましたが、私もかなり肝を冷やしました。
しかし今振り返れば、悟自身が言っていたように、図らずも事態を進展させるきっかけになってくれたと思います。

第36話 特別なワンダフル

両思いに至る展開としては文句なしの第36話。
いろはが自分の気持ちに気付く、敵にさらわれそうな悟をいろはが助ける、美しい夕日をバックにカップル成立……などなど、二人を見守っていたファンにとっては見たかった展開が盛りだくさんで、こんなに公式サイドにサービスしてもらっていいのかと思ってしまったほどです。

告白を受けたいろはの心境を中心に描かれた回でしたが、回りから励まされてもなおいろはを困らせたくないと言う悟の優しさの描き方も丁寧で、私は静かな感動を覚えました。
大福の男前なシーンも良かったですね。

第37話 みんなで初デート!?

前回であんなにサービスしてくれた公式サイドが、更にサービスを重ねてくれた第37話。
付き合い立てのいろはと悟の様子が、こちらまで照れくさくなるほどで画面を直視できませんでした……。

それにしても、メエメエがまさかあそこまで思い詰めているとは思わなかったです。確かにずっと悟を頼りにしていたようですが、あそこまで様々な手でデートを邪魔しにいくのを見てやや苦笑気味です。
それでも悟のためを思って敵に向かっていく姿はなかなか感動的でした。

大福の飛び蹴りが決まっていたのも最高です。
悟がやっと「いろはちゃん」と呼んで手をつなぐ終わり方は、第36話に続いて見たいものを見せてくれたという感じでした。

一部気になる批判

さて、概ね祝福ムードに包まれたプリキュアファンですが、一部では批判も上がっているようです。

恋愛描写や悟いろの行く末に興味がなかった、というのは個人の好みなので仕方ありません。興味のないことが3話も続けばさすがにうんざりするでしょう。

また、これまでのような淡い描写の方が好きで、はっきり彼氏彼女になってしまったことに戸惑いがある、というのも一つの意見です。

ただ、私としては気になる批判もありました。

①いろはの悟への思いが描かれていなかったので、唐突に両思いになったように見える。

これは「本当に描かれていなかったのかな?」と感じます。
いろはは何かあると真っ先に悟に相談したり、休日もあちこちに誘って一緒に出掛けたりしていました。異性に対する行動としてはかなり積極的です。誰にでも友好的ないろはではありますが、男の子の全てにこういうことをしていたわけではないでしょう。悟を特別視していたことには違いありません。
おかげで悟はプリキュアでも妖精でもない立場ながら全話皆勤賞です。

もちろん、恋とは全く違って、まるで異性として意識せず頼れる友達だと思っているからそうできる可能性もありました。
しかし、第37話での戦闘中の回想シーンから、単に思いを自覚できなかっただけだと解釈して良いのではないでしょうか。

確かにはじめから恋心を自覚していたのは悟の方ですが、だからといっていろはの気持ちが唐突に変わったとは思いません。

②こむぎの扱いが雑になっており、「ペットと飼い主の絆」を描く作品のテーマに反する。

これも「そんなに雑だったかな?」と思います。

まず、告白やデートにおいて、当人たち以外が介入しない方がいいのは言うまでもないでしょう。あれほど悟の恋に首を突っ込んでいた猫屋敷まゆも、この時ばかりは二人にくっ付こうとはしていません。こむぎが「恋愛感情を理解していない」という描写をされたので蚊帳の外という感じが増しているのかもしれませんが、こむぎ自身に問題があって遠ざけられていたわけではないのです。
また、いろはも悟も、最初はこむぎと大福を当たり前のように連れてデートするつもりでいたのを忘れてはいけません。

この話が複雑なのは、こむぎが犬でありながら人間にもなれてしまうことにあります。
ペット連れ同士のデートは本来ならありうるのですが、そのペットが人間としてふるまっていたら、どうしても「ペットを連れて出掛けている」という図式にはなりませんし、介入している感が強くなります。
一方、人間として行動できるおかげで、飼い主の手から離れている間に危険な目に遭う可能性は低くなります。
まゆたちが構ってあげることで、こむぎはいろはから離れていても安全に楽しい時間を過ごせたのですから、落としどころとして良かったと思います。

ペットを飼うのに相当な覚悟と準備が要ることは当然ですが、一瞬たりとも離れずペットだけに構い、恋愛もするべきではないと言うのなら、それは極論です。信頼できる預け先に任せてさえ、それを無責任だと非難することには、私は賛同できません。
ましてこむぎは、普通の犬とは違うのです。

「テーマに合っていない」とは、いろはがこむぎ以外のことに夢中になったその瞬間、いろはとこむぎの絆は切れてしまうということでしょうか。
しかし、彼氏の悟や友達のまゆだって、いろはと常に一緒ではないですし、ある瞬間だけ見れば忘れていることもあるはずです。
だからといって、相手への思いがなくなるわけではないでしょう。
どれくらい付きっ切りだったかで愛情を測るのは無意味なことです。

③異性愛至上主義ではないか。

まず、何かが描かれていることそのもので、それ以外の何かが否定されているとは限りません。単に男女で成立したからといって、そこまでの批判は言いすぎです。
それを言うなら、悟いろの一組しか成立していないわんぷりより、何組もの男女のカップルがいた5GoGoやハピプリの方が、よほど異性愛を強調していないでしょうか。
しかしそれらもまた、往々にしてありうることを描いただけだと私は思います。

あるいは、いろはが「特別なワンダフル」という言い方をしたことで、それが恋愛だとは限らないとか、友情などと序列をつけるのかといった声もあります。
しかし、いろはは悟への思いを自覚したばかりで、何とか表現したのが「特別なワンダフル」なのですから、あまり言い回し一つをあげつらうのもどうかと思います。
実際に恋愛感情を自覚すると、恋愛は他のどの「好き」とも違うとしか言いようがないものです。子供向け作品ということも考慮すれば、このように説明するのが精一杯だったのでしょう。

「異性愛そのものが問題なのではなく、もっと多様な表現をしてほしい」ということなら、これはプリキュアどうこうではなくて、恋愛描写を重視しがちな女児向け作品全体で考えるべきではないでしょうか。
私は今の女児向け作品をあまり広くチェックしていないので、他作品がどのような状況かは分かりません。ただ少なくとも、プリキュアは恋愛自体をここまで描くのに20年もかかった作品ですから、いきなり集中的に批判されてしまうのも気の毒です。

プリキュアは元々、様々な配慮の見える作品です。
だからこそ、「もっとこうしてほしい」と更に先を願う気持ちも湧いてしまうのだと思います。公式サイドも何も考えていないわけではないでしょうから、悟いろはひとまずこれで良しとして、今後に期待していきましょう。

二人の幸せを祈って

両思いという、一応は来るところまで来た感のある二人が、最終回までにどんな展開を見せるのかは分かりません。

恋愛ムードはこれっきりで、後は自然な仲良しぶりを見せるだけというのもアリでしょう。

そして今後のプリキュアがどうなっていくのかにも期待です。
もちろん、恋愛描写の薄い作品はこれからもあっていいですし、わんぷりとはまた違った形で、濃い恋愛模様があっても楽しいでしょう。
とにかく、このわんぷりで、プリキュアに恋人ができるという選択肢が新たにできました。

悟いろにおめでとう。
これからも二人とわんぷりを応援します。


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