「プリキュアオールスターズF」 見てきました(後半ネタバレあり)
長年のプリキュアファン、KLPです。
9月15日に公開された映画「プリキュアオールスターズF」、ご覧になりましたか?
久しぶりのオールスターズということで、私はわくわくしながら映画館に足を運びました。以下、感想を書いていきます。
公開から3週間経っているので、既に見た方も多いと思いますが、一応ネタバレの箇所は分かるようにしました。
78人の躍動
結論から言えば、プリキュアファンなら絶対見るべき映画でした。
ここではまず、総勢78人の動きについて。
先行情報では、ひろプリを中心に比較的近年のシリーズから選ばれた4人ずつのチームが4つ出てくることが明かされていました。
当然、78人全員が同じくらい見せ場もセリフもあるというのは現実的ではないのですが、とはいえ出てくる「だけ」になってしまうのもどうなのか……というのが、私が一番気になっていたところです。
でも、全く問題ありませんでした。
ちゃんと78人動いていたんです!
まず、4チームそれぞれのメンバーの絡みは、思わずニヤニヤしてしまうほど「あるある!」の連続。
メンバーの中には、出会ったら何が起きるか分からないと感じた組み合わせもあったのですが、いざ見てみれば絶対そうなるとしか思えない展開の連続でした。
特に、夏海まなつの暴走(?)ぶりや、琴爪ゆかりの奔放さには思わず笑いが出てしまいましたし、和実ゆいのデリシャスマイルには元気をもらえます。
そして限られたメンバーとはいえ、過去作のキャラは久しぶりに声が聞けて良かったです。
去年のデパプリでさえ久しぶりに感じましたね。
でも、出番の少ないプリキュアの演出は、もっとすごかったです。
例え映るのが一瞬でも、一目でそのキャラだと分かる、「らしい」動きをしているんですね。このキャラならこのキャラと協力しそう、というのもその通りに描かれています。
78人一人ひとりを完璧に網羅した脚本に、この上なく感動しました。
割合出番は短いのですが妖精たちが集合してる場面も顔が綻びました。
プリキュア以外にも……!
プリキュアオールスターズといえば、各シリーズの様々なキャラクターが姿を見せてくれるのも見どころの一つです。
今回、これがサービスの連続でした!
本当に、あのキャラもこのキャラもいます。いわゆるレギュラーメンバーでないプリキュアもいます。
長年のファンとしては、懐かしさで胸がいっぱいになりました。プリキュア以外にも好きなキャラ、思い入れのあるキャラのいる方は絶対に見逃せない場面です。
ただ、これまでのオールスターズに比べても、映る時間はかなり短いので、まばたき厳禁で見るしかありません。
思い出たち
様々なキャラクターだけでなく、様々な場面もこの映画でよみがえりました。
こんなことがあった、あんなことがあった、と20年の重みをしみじみと感じる演出です。
あれもこれもと全部の名場面を盛り込めるわけではない中、かなり厳選してファンのツボをついてきたのではないでしょうか。
78人の動かし方も、プリキュア以外のキャラの生かし方もそうでしたが、限られた時間の中での取捨選択をよくぞここまでやっていただいたなあと思います。
私は「ふたりはプリキュア」、「YES!プリキュア5」の場面辺りでとてつもない感情が込み上げて……。
エンディングテーマでも色々な場面が映っていて、映画が終わったときの満足感がすごかったです。
※ここから先はネタバレです
キュアシュプリーム
映画オリジナルキャラ・キュアシュプリームことプリムですが、あまりの強さに恐れおののきました。
これまでのオールスターズは、今ほどプリキュアの数も多くなく、逆に敵は数人がかりということもありました。
「オールスターズメモリーズ」でプリキュア55人を相手にしたミデンは単独でしたが、プリキュアから思い出を奪って赤ちゃんに変えてしまうという攻撃の仕方でした。
しかし今回のプリムは、1人で77人を撃破した挙句、世界を一度壊して再構築しています。とんでもない力ですね……。
そしてミデンのような悲しい過去があるわけでもなく、ただ強さを証明したいだけという、悪者としてのあまりの純粋さに寒気すら覚えました。
その上で、興味が湧いたからとプリキュアになろうとしたのもおもしろい展開です。人のような形はしているけれど、どこかミステリアスな雰囲気のプリムが、「プリキュアって、何?」とじっとこちらを見つめてくるところは、とても印象に残りました。
それでもしぶとく復活し、最終的にはプリムを倒したプリキュアは、やはりさすがです。プリムがこれほど強かったからこそ、勝利を収めるシーンの熱さも際立つというものでしょう。
「Final…?」の意味
さて、映画の予告映像で、ファンをざわつかせたものがありました。
「F」で始まる単語が出てくる流れで、最後に「Final…?」と出てきたことで、「プリキュアはもう終わってしまうのか?」と不安になったファンが多くいたようです。
「20」というキリのいい数字のせいでしょうか。あるいは昨今のおもちゃ市場を気にしていたり、20周年企画で様々打ち出している挑戦が「迷走」に思えていたりするのでしょうか。人によっては「終わるなら終わるで仕方ない」とまで口にしていました。
私はというと、あまり気にしていませんでした。映画の予告にはよく「絶体絶命!」とか「シリーズ最大の危機!」というフレーズが使われるので、これもまたその一つとして見ていました。その手のフレーズにしては「…?」の辺りでかなり濁している気もします。
こういうフレーズが表しているのは、「主人公がそれくらい大きな危機に立ち向かうから、見てね!」という意味でしょう。ファンがざわついている様子を見るまでは、私はむしろ「どれほど激しい戦いが見られるのか楽しみだなあ」とすら思っていました。
急速に少子化が進むこの社会情勢を考えれば、プリキュアは十分に強いコンテンツです。突飛とも思えるような挑戦は、強さがあるからこそできることとも考えられます。
何より、本当にシリーズが終わるとして、映画の予告という形、しかも「…?」なんて曖昧な表現で匂わせる方法は取らないでしょう。
ファンの中には、「わざと不安にさせるようなことを言うのはプリキュアらしくない」「あまり良い宣伝の方法ではない」と苦言を呈する方もいらっしゃいましたが、私にはこの予告のたった一言、ありがちなフレーズで「本当に終わってしまうのかもしれない」と思ってしまうことの方が、ちょっと過敏なのではないかと思いました。
私は予告そのものより、そうしたファンの反応の方に不安を抱いたくらいです。自分が見落としていただけで他にも終末のシグナルがあったのか?と勘繰ってしまいました。
映画を見た今では、「Final…?」の意味するところがよりはっきりと分かったような気がします。
まず、プリムによって本当にプリキュアは終焉を迎えそうになっていた、という点。結果的にはプリムは世界を壊しきれておらず、プリキュアが大逆転したわけですが、この展開には衝撃を受けました。
次に、メタ的な話で言えば、恐らくオールスターズはこれで最後だろう、という点。
フィーチャーされるメンバーを絞りつつ、誰も取りこぼさないという描き方は、これ以上人数が増えるともう出来ないでしょう。
だからこそこの映画は、20周年にしか出来ないものに仕上がっていたと思います。
そして、2024年の映画も決定ということで、来年もプリキュアはあります。
「F」とは?プリキュアとは?
では、「F」とは一体何だったのでしょうか?
予告を見るだけでもたくさん「F」で始まる単語が出てきますが、やはり「Forever」はファンの願うところです。
人によって当てはめたい単語は様々でしょう。予告にないものももちろんあるでしょう。
そして、敵でありながらプリキュアになろうとしたプリムから、「プリキュアとは何か?」という問いが発せられました。
このとき、キュアスカイから出た答えに、私は胸を打たれました。全くその通りだ、それがプリキュアなんだ、と思いました。
しかしこれもまた、スカイの答えに過ぎず、プリキュア一人ひとりに、私たち一人ひとりに答えがあるでしょう。
20年続いたプリキュアは実に多種多様ですが、なぜそのどれもがプリキュアと呼べるのか。それが分かった気がします。
これからも末永くプリキュアを応援していきたいと思える映画でした。