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”生存者バイアス”

世の中には「こうして私は東大に受かった」「たった〇〇だけで億り人になった」「逆境を乗り越えてきたからこそ成功できた」というキャッチが溢れています。

もちろん役に立つ部分、参考になる部分は確実にあって、それはそれでよいことなのですが、組織でのリアルな状況では大きな問題があります。

生存者バイアス
「自分はこうして苦労してきたからこそ、役員にまでなれた」
これくらいのことでへこたれるような奴はどうしようもない」

これらはあっていることもあれば、あっていないこともあります。”その苦労があったから”ではなく、”その苦労にもかかわらず”、他の実績があって出世したのかもしれませんし、要は、ほかの要因の検証がないのでよくわからないのです。

このような「認知バイアス」が起きるのは、次の脳の仕組みから来ています。
・処理する情報を絞って脳の負担を下げる"省エネ"の仕組み
・過去情報(経験)を学習して判断する"AI機能”の仕組み

上司によっては、てっとりばやく自分がやってきたことを見習わせて結果を出させようという”生存者バイアス”のかかった指導をしてくるかもしれません。

しかし、その上司の論理はあくまで厳しい出世競争を勝ち抜いてきたごくわずかなサンプルです。それがだれにでもあてはまる成功要因なのかは疑問に思ったほうがよいと思います。

特に自分が尊敬する上司や、逆にパワハラ上司などから極端な指導をされると、脳の省エネ機能が働いて間違った道(=自分にあわないやり方)にすすんでしまうおそれがあります。

逆に、指導する立場としては、自分の指導にバイアスが入っていないかを確認することが必要です。例えば「若いうちは質より量」とか「多少のパワハラにも耐えるほうがよい」とか「気難しい上司には忖度しておいたほうがいい」といったことが自分の成功の秘訣だと思い込んでいると、なかなかそれができる部下はいないので、心が折れるか、希望がなくなって辞めるか、といった結果に終わることになりやすいので要注意です。